見出し画像

ふるさと納税の申告手続が簡素化します!(令和3年分~)

 ふるさと。私は、地元へUターン組なので、現在住んでいる高崎市がふるさとでもあります。

 今、GoogleでもYahoo!でも、検索バーに「ふるさと」と入れると「ふるさと納税」が予測変換のトップ。その後も表示される予測変換全てが「ふるさと納税 限度額」「ふるさと納税 仕組み」といった関連ワード。

 「ふるさと」と「故郷 ふるさと」は別物になってきましたね。

 総務省が公表している「ふるさと納税の意義」は以下の通り。

総務省:ふるさと納税ポータルサイトより
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/

 ふるさと納税における「ふるさと」は生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域、応援したい地域(自治体のアピールを見て選ぶ)を指します。

 地域の取組みや特色よりも「どの町だかは忘れたが、美味しかった」というようなお礼の品至上主義な部分も濃く感じますし、「節税ならふるさと納税」という風潮もなんかどうなのかなぁと思うとこがありますが、理念の通り、良い面もたくさんあります。地域の取組みや特色を知り、応援したい地方が増える。返礼品がきっかけでも、心の中でその寄付した地域と繋がるような関係が本制度からたくさん生まれるといいなと思います(いろいろ書きたいことはありますが、本題は別なので今日はここまで)。

 さて、今回はすでにふるさと納税を実施している方に向けて新制度を説明したいと思います!

■「寄附金控除に関する証明書」添付制度


1 従来の手続き

 ふるさと納税による寄附金控除の適用を受ける場合には、

 ⑴ 確定申告
 ⑵ ワンストップ特例制度の利用

 いずれかを選択します。
 ワンストップ特例制度は、基本的にサラリーマンで寄附金控除以外に確定申告する必要がなく、かつ寄付する自治体が5自治体以内の場合、確定申告をしなくても寄附金控除の適用が受けられるというものです。

 ワンストップが利用できない又は利用しない場合には、確定申告が必要です。確定申告の場合、寄附金控除に関する記載(入力)とともに、寄付先の自治体が発行した受領書(領収書)を添付します。また、e-TAX(電子申告)をする場合には、申告書の作成時に受領書に関する情報を入力することで、添付省略の可能となります。

 さて、ここまでサラッと書きましたが、今まで実務上やや厄介な点がありました。

 申告書の作成時に受領書に関する情報を記載(入力)する

 という点です。

 ふるさと納税は、高所得者ほど節税?というか返礼品の恩恵を受けられる制度です。例えば給与年収約400万円であれば、条件によって前後がありますが実質負担2,000円で損せず制度が利用できる寄付金額はだいたい3万円前後でしょう。これが給与年収2000万円だと50万円前後になる可能性があります(詳しくは以下サイトをご覧ください)。

 もし仮にふるさと納税を50万円、各自治体1万円で寄付した方がいたら、まず受領書を整理し、情報(自治体の名称や寄付金額など)を50件入力する必要がありました。

 令和3年から、この入力する作業が簡素化できるようになります。


2 新制度の内容

【 国税庁HPより 】
 寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告書に特定寄附金の受領者が発行する寄附ごとの「寄附金の受領書」の添付が必要とされていますが、令和3年分の確定申告から、特定寄附金の受領者が地方団体であるとき(ふるさと納税であるとき)は、寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができることとされました。

令和3年分の確定申告からふるさと納税(寄附金控除)の申告手続が簡素化されます
(国税庁)

 特定事業者とは「さとふる」「ふるさとチョイス」などのポータルサイトです。特定事業者は以下リンクの通り。

 発行される証明書のイメージはこのような内容です。

 受領書の代用書類が追加されたというだけではありますが、実際多く寄付されている方にとっては、とても助かる簡素化かなと思います。


(参考:医療費控除)

 この簡素化の流れは少し前に「医療費控除」でもありました(平成29年改正)。従来は医療費の領収書を全部集めて、病院名や金額を入力する必要がありましたが、領収書の添付が省略可能になったり、保険適用分は健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」で対応できるようになりました。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/iryohikozyoQA.pdf



■ 手続き等は各ポータルサイトにて


 この新しい制度の利用開始や発行申請の手続きは、各特定事業者(ポータルサイト)によって異なります。国税庁長官が指定した指定事業者(令和3年11月12日現在)の資料に基づき列挙してみました↓。

⑴ ふるなび


⑵ さとふる


⑶ 楽天ふるさと納税

(※ 1/16現在準備中・マイページからDLの流れ)

⑷ ふるさとチョイス


⑸ ふるさとパレット

 ※ 1/16現在、案内は確認できませんでした。会員の方はログインすると案内があるかもしれません。


⑹ ふるさとプレミアム


⑺ ふるさとぷらす

 ※ 1/16現在、案内は確認できませんでした。会員の方はログインすると案内があるかもしれません。


⑻ セゾンのふるさと納税


⑼ ANAのふるさと納税


⑽ ふるさと本舗

(※ 来年以降から対応とのことです)


⑾ 三越伊勢丹ふるさと納税


⑿ JALふるさと納税

 ※ ログインするとDL機能があるとのこと(問い合わせ結果)


⒀ au PAY ふるさと納税

 ※ 1/16現在、案内は確認できませんでした。会員の方はログインすると案内があるかもしれません。


⒁ ふるラボ

 ※ 1/16現在、案内は確認できませんでした。会員の方はログインすると案内があるかもしれません。
 



■ おわりに

 今回の確定申告から上記の新しい証明書を用いる場合、注意すべき点は2つです。1つは発行に要する期間。各事業者で異なります。2つ目は、複数のポータルサイトを利用している場合には、それぞれで証明書の発行が必要になること。当然ではありますが、ウッカリにご注意下さい。もちろん、今まで通り各自治体発行の受領書を添付する方法も可能です。

 今回、お客様への対応の備忘録としても各サイトの動きをまとめてみましたが、途中から「ふるさと」のゲシュタルト崩壊が始まりそうでした。いろいろな運営会社が参入しているんですねぇ。

#確定申告 #所得税 #ふるさと納税

お読みいただき、ありがとうございました。 FB:https://www.facebook.com/takayoshi.iwashita ㏋:https://ibc-tax.com/