ファミレスでブサイクにしてるあの子のSOS
4つ下の弟がまだ母なしでは生きていけないくらいの時、
わたしたち家族は毎週末決まって外食した。
スーパーを2軒はしごして、一週間分の食材や必要な日用品を買い込んだ後に、同じエリアに隣接した20号線沿いのファミリーレストランへ行くことが多かった。
外食文化が東京郊外にも浸透し始めた頃で、週末のランチタイムの店内はいつも満席でどのテーブルも家族づれで賑わっていた。
いつからなのか、なにが原因だったのか。
その外食中、わたしは大概いつも不機嫌だった。
あからさまにふてくされた態度で
「いらない」「食べたくない」「別に」
わたしの口から出てくる精一杯の言葉だった。
「またふてくされて。何が嫌なんだよ?」
乱暴で殺人的な質問だった。
なぜ自分がこんなにもふてくされているのか、
その感情の理由がわからなかった。
溢れてくるぐちゃぐちゃの感情が何なのかわからないし、
どう説明したらよいかもわからない。
テーブルのナプキンの上にお上品に並べられたナイフとフォークから目をそらさず、今にも溢れそうな涙を必死に我慢することに神経を集中させなければならなかった。
こうなってしまったらもうそっとしておいて欲しいのに、
彼らの言葉の衝撃でついに涙が溢れてきてしまう。
運ばれてきた鉄板の上のハンバーグの油がキラキラ小さく飛び跳ねる。
周りの目が拍車をかけて二人の怒りを倍増させる。
彼らの大きなため息を、わたしはしっかり確認する。
なぜいつもこうなってしまうのか。
帰り道、父のイライラの感情は車のスピードに比例した。
母が「急いでないでしょ」と言う。
父が「うるさいよ!」と言う。
家に帰って解散するまで、誰もが黙って時間を流すしかなかった。
何回くらい同じ状況を作ったのだろうか?
そんなわたしを父は見切ったらしく、
ある時母が「◯◯(わたし)がふてくされるからもう外食はしないとお父さんが言っていたよ」と冷ややかにわたしに伝えた。
そして本当にそんな日はもう二度と訪れなくなった。
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