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[前略、卓の上から] 10代による10代のための夏フェスで、考えたこと

こんにちは、岩沢兄弟の弟・たかしです。

私は、空間・什器デザインだけではなく、映像の仕事もしています。

8月25日に新木場STUDIO COASTで開催された「マイナビ未確認フェスティバル2019」ファイナルステージでもライブ配信担当として参加してきました。

10代のための音楽フェス「未確認フェスティバル」

今回は、「ライブ配信って、どうやってるの?」というような技術の話ではなく、「10代の照れてない表現活動を見れて光栄!」というお話と、空間におけるコミュニケーションの話を少々書いてみたいと思います。

今回、ライブ配信スタッフとして参加したイベント「マイナビ未確認フェスティバル2019」は、ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」(22:00~23:55TOKYO FM/全国38局)と音楽コミュニティサービス「Eggs」の主催によるイベントです。

特徴は、演奏する出演者も、会場に見に来ている人も10代だということ。10代のための夏フェスです。ある意味少し特殊な環境なわけですが、スタッフ含めた相互の「信頼」や「安心」がベースとなったステージパフォーマンスが展開されていて、それを見れてよかったなあと感じました。

「信頼・安心」と「表現」の関係

この信頼感と安心感って本当に大事ですよね。自分の10代を思い返してみるに、「反発」するにせよ、「表現」や「主張」をするにせよ、何がしかの「照れ」との戦いがあったと思うわけですよ。

で、その照れとの戦いにエネルギーを使っちゃって、奇を衒ってみたり、斜に構えてみたり。その遠回りも大事な糧だったりするんだけど、でも、もっと素直に真剣に向き合ってみることも必要になります。

音響や映像のプロフェッショナルが集まって、10代のプレイヤーをサポートする。その時に、萎縮させず、けれど、変に持ち上げるでもないコミュニケーションって、難しいと思います。

もちろん、ラジオ番組を通じての選考過程で濃密なコミュニケーションがあり、各地での予選イベントもあったわけで、そこで培われたものだと思いますが、これって、相互の「信頼」が無いと出来ないし、大人たちもちゃんと「弱さ」や「感情の揺れ」を見せる必要があるわけです。

なんて思ってステージのサウンドチェックや楽屋の様子など見ていると「わしゃ、いいもの見させてもらっとるなぁ」などという、おじいちゃん感情が溢れ出てきてたりも。

大人だって出来ているか?

10代の若者には上から目線でも良いんじゃない? ……なんてことは全くない。演奏者それぞれのポテンシャルを引き出す時には、相手の属性は関係ないんです。

舞台裏を支えるプロは、10代だろうと誰だろうと一人の人間として、バンドとして、「出し切って良いんだ」「意見して良いんだ」という安心できるステージを用意することで、最高のパフォーマンスを引き出すのが仕事。

それでこそ、10代の演奏者達は、本来の目的であるコンテストの優勝を目指してプレイすることができる。そのために、フェスを運営する(大人の)スタッフは、信頼関係を築くためのコミュニケーションを日頃から積み重ねておく必要がある。

これ、簡単なようで、職場で実現するのなかなか難しいですよね。だからこそ、オフィス空間のコミュニケーションを専門とする自分としても、学びが多く、刺激的な時間でした。

(だって、コンペのプレゼンで「自分を出し切って」「失敗してもいい」と言うのは簡単ですが、本当に失敗しちゃうとコンペには勝てないわけで。「萎縮して出しきれないくらいなら、失敗してもいい覚悟でパフォーマンスした上で、勝て」と、これまた矛盾が多く、上から目線な応援になってしまいます。)

「1対1」のまま「1対n」へ。ラジオ的コミュニケーションの可能性

あともうひとつ。「未確認フェスティバル」の信頼と安心に支えられた熱い表現の場……という感じは、ラジオ番組が母体だというのも大切なポイントかもしれません。

ラジオはリスナーとの距離が近い。音声のみのメディアとSNSのコミュニケーションは、掛け合わせがしやすい。

ビジネスコミュニケーションだと、SlackでDM(直連絡)を使い続けちゃう人がいた場合に、チーム全体・会社全体で情報の不均衡性が起きがちになります。けれど、ラジオ的コミュニケーションならば、オープンな場でリスナーの電話をつないでみたり、パーソナリティがメールやFAXを読み上げたりすることで、「1対1」を維持しなつつ「1対n」のコミュニケーション状態に移行できる

社内SNSやビジネスチャットツールが、うまく機能していない場合に、ラジオのコミュニケーションスタイルを見つめ直してみることで変化が生まれたり……するかも。面白いかも。

「未確認フェスティバル」の熱気は、そんなことまで考える機会を与えてくれました。

では、最後に舞台裏の写真をちょっと紹介して終わります。「マイナビ未確認フェスティバル2019」の皆さん、おつかれさまでした。ありがとうございました!

いわさわたかし/岩沢兄弟

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▲「マイナビ未確認フェスティバル2019」の会場。イベント演出チームによって撮影されたカメラ映像と、持ち込んだリモートカメラの映像を組みわせて、10代のアーティストによるライブの様子をライブ配信しました。(撮影:ライブ配信スタッフ)

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▲配信機材・映像機材をDJブースに並べて長時間配信を行いました。(撮影:ライブ配信スタッフ)

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▲フェス中の配信・映像デスクの様子。画面がたくさん!(撮影:ライブ配信スタッフ)

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▲独自リモコンで市販の雲台を制御するシステムは、今回の配信スタッフでもあるProject92.comの加賀さんが開発したもの。(撮影:ライブ配信スタッフ)

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●マイナビ未確認フェスティバルとは?
未来の鍵を握るラジオ『SCHOOL OF LOCK!』と『Eggs』が贈る、未来の音楽シーンを揺るがす、10代アーティスト限定の夏フェス。
https://www.tfm.co.jp/lock/mikakunin/

●ライブ配信スタッフ
・配信音声制御 池田匠(匠音響)
・リモートカメラシステム開発・オペレート 加賀誠人(Project92.com)
・配信技術 田中英和(A+Plus)
・スイッチング いわさわたかし(岩沢兄弟)

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