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Photo by
rajidays
逢いたい菜 【毎週ショートショート note】
雪降り頻る山の麓、私は古い伝説を頼りに積雪を掻き分けて、遂にそれを見つけた。
逢いたい菜。紫の葉に小松菜のような見た目。口にすれば会いたいと願った人物に会わせてくれる不思議な野菜。その葉をかじかむ指で少しちぎり取って齧った。ある男を思い浮かべて。
翌日、念願叶って私はその男とベットの上にいる。男はあの夜と変わらぬ燻んだ青い瞳と低い声を嬉々とさせて、私の首を絞めている。十年前、十七歳だった私の目の前で、親代わりだった姉を殺した時と同じ様に。
けど、すべて計画通りだ。
私はコートのポッケに忍ばせていた逢いたい菜の葉を齧る。今度は警察官を思い浮かべた。
「何をしている、警察だ!」
男の部屋に警察官が雪崩れ込んできた。私は安堵で気を失った。
諸々が終わって、私は家で独り夕飯を作っていた。テレビでは「二十代OL連続絞殺事件、十年越しに犯人を逮捕」と報じられている。犯人はあの男だ。
復讐を遂げた私は姉に想いを馳せながら、逢いたい菜が入ったシチューを口にした。
「ここは……?」
姉の声がした。
嘘だ。それでも期待に胸を膨らませて振り返った。
淡い光を纏った姉が、戸惑いを隠せない表情で立っている。
本当に逢いたい人に、やっと逢えた。
(了) 503文字
拙文を最後まで
読んで頂きありがとうございました!
今回はたらはかにさんの企画に
参加させていただいております✨
文字数オーバーは実力不足・・・。
どうやって主人公の「私」が
報われるべきか悩みに悩みました。
気に入って頂けた方も
ハッピーエンドって難しい!🤣
という方もスキ・フォローして頂けたら幸いです😌