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「君しか勝たん」が切り開いたセンター依存脱却の糸口

初めに

先日、日向坂46の5thシングル『君しか勝たん』の表題曲「君しか勝たん」のMVが公開され、自分も含め多くの”おひさま”が歓喜したことであろう。

日向坂らしさ(≒ハッピーオーラ)全開な疾走感ある楽曲に見る人全員を笑顔にする素晴らしい映像。可愛いの大応酬でした。

ところで、このMVを見ていてあることに気づかないだろうか。
そう、センターのフィーチャー率(単体での出演率)が過去のMVと比較して極端に少ないのである。

おそらくMV視聴時点でフォーメーションを知らなかった人はラスサビまで観てようやく加藤史帆(以下メンバー名敬称略)がセンターだと気づくことだろう。

実はこれがかなり異例なことで、今回のタイトル『「君しか勝たん」が切り開いたセンター依存脱却の糸口』というところにつながるわけだ。

1.これまでのスタンダードを紐解く

周知のとおりアイドル楽曲においてはフォーメーションが存在し、必然的にその中心に置かれるメンバー、すなわちセンターが存在する。

坂道グループのMV、特に表題曲のものにおいては基本的にセンターがメインに据えられた映像がスタンダードともいえる。わかりやすくいくつか例を挙げていこう。

・「キュン」日向坂46

この曲のセンターはここから4作連続で表題曲センターを務める言わずと知れた絶対的エース小坂菜緒。

欅坂46のアンダー的存在から改名、新たに狼煙を掲げる今作だが、全編通してセンター小坂菜緒のソロ出演比率が高くかなりフォーカスされている。

ただ、グループ周知を目的とした第一作目センターとして既に対外的な人気を獲得していた(Seventeen専属モデル等)彼女が大抜擢されフォーカスされるのも妥当であったともいえる。

・「黒い羊」欅坂46

欅坂46としてラストシングルとなった8枚目。
センターは1作目から8作連続センターを務めた圧倒的センター平手友梨奈。

ほぼ全編平手友梨奈を通してワンカットで映像が展開していき圧巻のパフォーマンスをまざまざ見せつけられる。
期せずして欅坂46のラストシングルになってしまったが、彼女が、欅坂46がいかに伝説であったかを痛感するだろう。

・「僕は僕を好きになる」乃木坂46

センターは3期生新進気鋭のエース山下美月。
彼女を追う形で”アイドル”としての山下美月”と”プライベート”の山下美月をシームレスに切り替え追っていく、そのなかで乃木坂46のメンバーであること、アイドルでいることとは。と言うテーマを描いている。
これもまた映像構成の都合上かなりセンターにフォーカスした映像となっている。


このように例に挙げた3本のMVに見ても、のみならず、その他坂道グループのMVにおいてもセンターがフィーチャーされる映像構成が多く取られていることがよくわかる。

ではなぜMV制作に於いてセンターにフォーカスする作品が多いのか。
答えは明確で”センターはファン人気が高く、一定以上の対外的な宣伝効果も兼ね備えているメンバーが選ばれているから”である。

気持ちのいい表現ではないが、広告塔として外部(ファン以外の人間)を惹きつけるためには華を飾るのは商売として最適解だといえる。
そしてその形式がスタンダードになっているというのも流れとしては非常に順当である。

2.なぜ「君しか勝たん」が異例なのか

上項を読んだうえで改めて「君しか勝たん」のMVを見るとやはり楽曲のセンター、加藤史帆のソロカットが他のMVと比較して極端に少ない事が如実にわかると思う。

筆者調べではあるが、映像意図として明確にソロで写っているシーンはCメロ終わり、ラストのサビにかけてのワンシーンだけであり、表題曲のMVとして極めて異例なことと言っていい。

だが、ソロの出演が少ないからと言って実際MV内に登場してる回数が少ないかと問われると答えはノーでラスト全メンバーが集まるシーンでもフォーメーションとしてセンターたる堂々としたパフォーマンスを決めている。

では、センターソロのカットが減った代わりに何が増えたか。
それはセンター以外のメンバーの出演である。
これも異例であり、今までのMVはセンター、フロントメンバーが中心で構成され作られていて3列目は写っていても端だったり一瞬であったりしていたものが、今作では全員が均等にまんべんなく映るようになっており、演出面でも1サビでフロントメンバーが裏方として2,3列目のメンバーを撮影するといった”誰かが目立つ演出”ではなく”日向坂46が目立つ演出”が随所にちりばめられているのだ。

このように今まで”メンバー誰かを主軸に据えたプロモーション”がスタンダードだったものを覆したのがこの「君しか勝たん」のMVなのである。

3.「”センター依存”からの脱却」について

さて、”今までのスタンダード”と今作「君しか勝たん」の差というのが上項で理解いただけたのではないかと思うが、もちろん何かグループにわかりやすいトレードマーク、シンボル的な存在がいることはとてもいいことだ。

実際に自分自身まだ坂道グループは全然知らない頃にも生駒里奈や白石麻衣、生田絵梨花など「この人たちは乃木坂46ってグループのメンバーらしいぞ」と認知はせずとも存在を知る手立てにはなっていたのでやはり宣伝広告として大々的にセンターを打ち出すのも正しいと思う。

だがその”センター依存”の状態で思考停止してはいけないのだ。

実際グループには1人1人個性あるメンバーがそろっているにも拘らず、表層的なセンターのみを見て判断されてしまうのはもったいないことだと思う。
今までグループを知らない新規の層を取り込みやすいシングルの表題曲(今回はタイトルも含め注目されやすいもの)だからこそ、あえてセンターばっかりにフォーカスするのではなくメンバー全体、”日向坂46”を魅せるMVを制作しグループの雰囲気すなわちハッピーオーラ全開な姿を見せることが日向坂のみならず他の坂道グループもさらに飛躍していく足がかりになったのではないだろうか。

終わりに

本当はこんな長い文章にするつもりはなかったんですけど楽しくなってきてめちゃくちゃ長くなってしまいましたね。

簡潔にまとめると「センターのみに頼らずともグループの雰囲気を押し出していけば既存ファンも楽しめるし、新規ファンの間口も広げられるんじゃない?その一歩を「君しか勝たん」が踏み出したね」って話です。


長々書きすぎてて読みにくかったらほんとに申し訳ないです・・・精進します。

何はともあれ5/26リリース日向坂5thシングル「君しか勝たん」大ヒットしますように。微々々力ながら精一杯協力はさせていただきます。

以上。


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