「post it story〜iso/lation」
2011年の震災、2020年から続くコロナ禍をモチーフに制作した
2つの映像作品をシナリオを修正、文章化しました。
新たなストーリーを構築できればと思います。
制作時期は異なりますが、同じ世界線でも繋がる構成の為
同時に掲載します。
(受賞歴)
「post it story」(https://vimeo.com/41300459)
Halicarnassus Film Festival(トルコ)BEST EDITING賞(2021)
「iso/lation」
Halicarnassus Film Festival(トルコ)BESTCINEMATOGRAPHY賞(2021)
PARADISE Film Festival(ブダペスト)BESTCINEMATOGRAPHY賞(2022)
「post it story〜
登場人物
山下太一
職業システムエンジニア。几帳面。神経質。震災以降情報収癖。
不安と孤独を感じ、人の行動を盗聴して安心感を得る。
前田純二
自由人。一見チャらく見える。震災以降無常感を抱える。東北出身。
ナナミ 純二の彼女。同棲中。
光永友喜
純二とマナミの共 の友人。震災で現在行方不明。
シナリオ
○ 太一の部屋 朝
ポストイットがパソコン、デスク、キッチンまで異常なまでに貼ってある。
ラジオDJ「次の地域では強い揺れに警戒してください。」
玄関を出る音。
○ 太一の部屋・玄関外・夕方
帰宅する太一。
隣人の純二と彼女・マナミが帰宅してくる。
純二は見向きもせず部屋に入る。
マナミ「こんにちは」
会釈だけして部屋に入る太一。
○ 太一の部屋・昼
PCをみながらポストイットに書き込む太一。
綺麗に並べられたにポストイットが揺れる。
周辺を見回し過剰に反応する太一。
地震警報音が鳴る。
さらに驚く太一。
地震がおさまり壁にもたれかかる太一。
隣から声が聞こえ壁の方を見る太一。
隣の部屋から笑い声が聞こえる。
マナミ「地震大きかったね」
純二「あー」
マナミ「昨日もお風呂はいってないでしょ、銭湯いこうよ」
純二「んー」
興味のなさそうな声の純二。
マナミ「いこうよー」
声に反応して思わず立ち上がる太一。
○ 銭湯
入り口に昔ながらの券売機。
整頓された洗面器。
湯船に入る太一。
隣が気になりちらちら視線を送る太一。
気にせず湯船に入る純二。
水面が揺れる。
風呂桶が崩れ落ちる。
慌てて立ち上がる太一、周囲を見渡す。
微動だにしない純二。湯船に浮かんでいる。
地震がおさまり純二を見ながら再びお風呂に浸かる太一。
○ 純二の部屋・夜
談笑しながら、食事をする二人。(カレー)
○ 太一の部屋・夜
つられて同じカレーを食べる太一。 (レトルトカレー)
○ 純二の部屋・夜
純二とマナミが寝る支度をしている。
電気を消すマナミ。
○ 太一の部屋・同・夜
同じくライトスタンドを消す太一
○ 銭湯・湯船・夜
湯船に浸かる純二、少し離れたところに太一も浸かっている。
○ 同・脱衣所
腰に手をあてコーヒー牛乳を飲む純二。少し離れたところに座り、
太一もコーヒー牛乳を飲む。
○ 純二宅
純二「まだ行方が分からないんですが、はい名前はみつながゆうき、
年齢は29、で地元の幼なじみで。はい、はいよろしくお願いします」
マナミ「まだみつからないの、、、大丈夫だって 」
光永の写真を見る純二
○14 太一宅 FIX)
壁に耳を当てている太一。
ポストイットに書き込む太一。
○銭湯・脱衣所
純二ロッカーをあける。
そこにコーヒー牛乳。
不審がりあたりを見回すが気にせず飲み干す。
純二が飲むのを見つめる太一
○ 純二の部屋・夜
純二が電話をしている。
純二「そうですが・・・・・・はい、いろいろありがとうございました」
マナミ「だめだったの?」
目をあわせずうつむく純二
○ 太一の 屋 同・夜
壁に耳を当て聞いている太一。
PC画面に貼ってあるポストイットを手にとる。
「みつながゆうき」
キーボードに打ち込む太一。
○銭湯
湯船に浸かる純二。
脱衣所。ロッカー。
あけると再びコーヒー牛乳。
とポストイットが貼ってある。
ポストイットを手に取る純二。
辺りを見回す純二。
○ 純二達のアパート前・夕方
辺りを見回して、家を探している光永。
純二宅を探している光永。
お風呂道具をもって歩く太一。
光永の持ってるポストイットに目をやるが気づかず通り過ぎる太一。
エンドクレジット
○cast
コッセこういち
石田順三(Sun Set Swish)
蔦谷麻衣子
AZI a.k.a 橋本悠一郎
落合隼亮(ラジオDJ)
○staff
撮影 吉川昌太
音楽 石田順三(Sun Set Swish)
録音 岩尾将平
ヘアメイク 山下ひろし
サポートスタッフ 小川裕介
撮影協力 湯パークレビランド
脚本 成田多栄 岩尾勝
編集・監督 岩尾勝
〜 iso/lation」
概要
2022 年 コロナウイルスに変わる、新たなウィルスが蔓延。⼈との物理的な「接触」が禁⽌され、⾃ら選択して「隔離」を選択できるようになった。山下太一は⾃ら「隔離」を選んだ。AI スピーカーに導かれ、過去を思い出すうちに⾃分の選択は正しかったのか、⾃問⾃答する。記憶の中でかつての恋⼈や過去の記憶が現れ、外部との接続を遮断している中、ノックの⾳が聞こえる。連絡が途絶えた太一を根気強く探していた同級⽣が現れる。記憶の海を漂っていた男は⻑い年⽉が経っていた。
⼈物設定
山下太一
⾃ら「隔離」を選び部屋の⼀室に閉じこもっている。
家族と死別し、隔離を選ぶことに抵抗はない。
太一のかつての恋人
太一の昔の恋⼈。 芯があり太一の記憶の中で神格化されている。
太一の同級生
「隔離」を選んだ同級⽣を⻑い年⽉をかけて執念深く捜索。
プロット
○ホテル
木漏れ日。公園。風に揺れるカーテン。AIスピーカー。
現在の太一(40代)が机に座っている。
太一インボイス「2022 年 コロナウイルスに変わる、新たなウィルスが蔓延。⼈との物理的な「接触」が禁⽌され、⾃ら選択して「隔離」を選択できるようになった。
AI スピーカが光り太一に話しかける。どことなくかつての恋人に声が似ている。「おはようございます。2022 年9 ⽉、現在の気温は31度、体温は正常。室内の空気、範囲内。今⽇も1 ⽇穏やかにお過ごしください」
無機質な⾷事がドアの前に置かれている。
受け取り部屋に戻る太一。
⾷事をする太一。
太一「外部との連絡も遮断した。名前もなくした。
全て⾃ら選択した、後悔はない」
記憶の中の木漏れ日。公園。風で揺れるカーテン、寝ている子ども。
AI スピーカー「今⽇は20年前の9 ⽉に戻りましょう」
○動物園
楽しそうな太一と恋人
○公園
現在の太一が佇んでいる。
かつての恋人が太一を見つめる。
○ホテル・太一の部屋
かつての恋人が座って太一を見つめている。
⼥性「あなたの選択は正しかったの 」
○ホテル・太一の部屋
部屋で頭を抱えている太一。
太一インボイス「隔離の選択は正しかったのか」
恋人の笑顔。子供の寝顔。
太一インボイス「あの子にはもう会えないのか。」
「あの時に戻れないのか」
「あの時に自分の選択は正しかったのか」
「戻れないのか」
「あの子にはもう会えない」
○街中
歩いてる恋人。
⾒ている太一。
太一「僕の選択は正しかったのか」
○ホテル・太一の部屋
鍵を閉める太一。
ソファに座るかつての恋人
恋人「あなたの選択は間違ってないないわ」
部屋を出て⾏く恋人。
⽬を閉じて熟考する太一。
意を決してホテルの鍵を開け、ドアを開けようとする太一。
不意にノックが聞こえる。
ノックが続く。
鍵を開ける太一。
ドアが開き男が入ってくる。
外から声が聞こえてくる。
興奮気味に太一に近づき、
同級生「おい!久しぶり、オレオレ覚えてる、20年ぶりだな
お前よく狂わずにここに⼊れたな」
現在の男「20年?」
同級生「もうとっくに終わったんだよ、解決したんだ」
外からの声「 20年そこにいるのは辛かっただろ? 」
太一インボイス「あの選択は正しかったのか」
AI スピーカーの声「今⽇は20年前の2022年の9 ⽉に戻りましょう」
iso/lation
出演
コッセこういち
保永 奈緒
藤原光博(リットン調査団)
post it storyはvimeoで公開してます。(https://vimeo.com/41300459)
再構築してまた発表できればと思います。
改めてご協力してくれた皆さんありがとうございました。
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