アクアトト岐阜(2022/1/3・2023/2/25) 後編
1.初めに・構成
おはようございます。こんにちは。こんばんは。IWAOです。今回は、アクアトト岐阜の後編になります。ここでは、2階部分の残りであるタンガニーカ湖、南アメリカの淡水魚、特別展示「新ヒキガエルのすすめ」について記述していきます。
また、前編、中編のリンクも載せます。もし、初めて後編から見たという方がいたら、是非、こちらからもご覧ください。
2.タンガニーカ湖
アフリカには、いくつか「古代湖」と言われるものがあります。湖ができて万単位の時間が経つ湖のことを言います。アクア・トト ぎふでは、そのうちの一つである「タンガニーカ湖」に生息する淡水魚について説明されており、このタンガニーカ湖は、約2000万年前の地殻変動によりできた大地溝帯に水が溜まって形成された湖となります。形は、南北に長く、その長さは、650㎞最も深い所では、約1500mの水深のある湖になります。
まず、タンガニーカ湖での最大の特徴は、カワスズメ科の淡水魚であるシクリッドという魚が「適応放散」を起こしていることです。「適応放散」とは、「限られた祖先が、競争者のいない地に入った場合、多くの多様な種へと分化する」ことを指します。一番有名な例は、ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチになります。ガラパゴス諸島にたどり着いたフィンチの仲間が、他の鳥がいなかったまたはそれまで獲得されていなかったニッチにそれぞれ進出し、定着していった結果、それぞれの種での交配がなくなり、分化していきました。つまり、植物の実を食べるのに特化したもの、昆虫を食べるのに特化したもの、サボテンをたべるのに特化したものなどと分かれていったということです。
*適応放散の例となるものの一つにマダガスカル島のコガネムシが挙げられます。こちらをご参照ください。
そして、ここに生息するシクリッドの約90%以上が、タンガニーカ湖にしか生息しない固有種です。祖先となる種がタンガニーカ湖にたどり着いた時、ライバルがいなかったためにそれぞれのニッチへと一気に拡散したのでしょう。それゆえ、ここのシクリッドの「食性」と「繁殖法」が、非常に多様な所が最大の見どころとなります。
まず、「繁殖」では、産卵する場所と繁殖方法が非常に多様です。岩の隙間に産卵し、稚魚の成長を見守ります。これが、一般的にイメージされる繁殖法だと思います。ただ、中には、「貝殻の中」に産卵するもの、「口の中に産卵」し、子育てを行うものなどとシクリッドという同じ分類でも非常に繁殖法が多様です。子育てを行うと言っても、「オスとメスのペア」とは限りません。つまり、兄弟も子育てを行う種がおり、繁殖法が、私たちが思っている魚とはイメージが全く違う生態をもつものがいます。まして、魚でも家族のような関係を持つことがあるのかと驚かされました。
また、私が、来館した時には、実際に岩や貝殻の中に巣や縄張りを持ち、子育てを行うものもいました。水族館の魚はただキレイな姿して泳いでいるだけではないということを思い知らされました。
繫殖法で、注目してほしいものがおり、それは、シクリッドではなく、「ナマズ」の仲間、シノドンティス・マルチプンクタータ(別名:カッコウナマズ)になり、「托卵」を行います。口の中に卵を入れれば、魚本体さえ無事でいれば、稚魚に危険はないでしょう。しかし、このカッコウナマズは、鉄壁の防御を見事に破りました。それは、卵を産んでいる時にすり替えればいいということです。つまり、シクリッドが産卵し、卵が口の中に入る寸前に自分たちの卵とすり替えています。鉄壁のようで隙があったということが分かります。生き物の世界は、食う、食われるが基本の世界です。ただ、タンガニーカ湖の魚たちの繁殖からいかにして子孫をどのようにして守るのかという防御策の進化といかにして相手を騙すのかという戦いと進化のいたちごっこが行われているフィールドだということが分かります。
また、日本の淡水魚にもムギツクという魚がおり、これが托卵を行います。托卵というと鳥のカッコウのイメージが強いと思われますが、以外にも魚などで多くの生き物が獲得してきた繁殖戦力であることが分かります。また、アクアピア芥川では、このムギツクが、目玉展示、アイドルとして扱われています。是非、ご覧ください。
適応放散したシクリッドは、当然、食性においても多様性を見せます。藻類、プランクトン食、底生生物、魚…などと非常に食性そのものもあり方が多様です。しかし、その中でも特に注目してほしいシクリッドがいます。それが、「ペリソダス・ミクロレピス」になり、このシクリッドは、なんと、「鱗」を食べます。ただ、うろこを食べるという理由だけで注目すべき魚ではありません。注目すべき点は、「利き腕ならぬ利き口が存在する」ということです。つまり、襲撃対象の左側の鱗を食べるのか、右側の鱗を食べるのかの偏りがあるということです。
アクア・トト ぎふから発表されたプレスリリースでは、ペリソダス・ミクロレピスが利き口を獲得するのは、いつになるのかという実験を行い、その実験から分かることとして以下の点が挙げられます。「幼魚(*この実験では、幼魚、若魚、成魚の3段階で実験)の時期に効きが獲得されやすい」、「利きを獲得する能力には、感受性期がある」「魚の利きも経験学習で獲得される」ということになります。この実験から、「能力はいつ獲得されるのか」であったり、「能力や行動の獲得は遺伝、または経験、環境によって獲得されるのか」を示唆する非常に興味深い事例です。つまり、「能力の獲得は、いつ、どこで、どのように起こるのか」を示した研究です。人間だけでなく、他の生き物でもどのように能力が獲得されるのかの研究を積み重ね、「我々との共通点や相違点は何か」を知ることで、「人間とは何か」であったり、「生物は何者であるのか」などにも繋がる非常に重要な研究になると感じます。
「ペリソダス・ミクロレピス」は、(*私が現在知る限り)アクア・トト ぎふでしか展示されていない超激レア生物です。つまり、アクア・トト ぎふに来たときは、必ず見るべき生物です。
*能力の獲得という点では、テッポウウオでも謎があります。こちらにその謎を記述したため、是非、ご覧ください。
3.アマゾン川
ここから、1階の展示となり、南アメリカの淡水魚、その中でも世界最大規模の流域を持つアマゾン川の淡水魚が展示されています。やはり、アマゾン川の淡水魚に関して思ったことは、ピラルクーを代表にして、とにかくでかいものばかりということです。
アマゾン川を代表する魚と言ったら、まずは、ピラルクーではないでしょうか。ピラルク―は、最大で4mにもなる世界最大の淡水魚です。このピラルク―のすごさは、「でかさ」だけではありません。まず、「肺呼吸」ができるという点です。魚なのに、肺呼吸をするのか?と驚くと思います。アマゾン川のような大河川では、暮らすことに困るような水量が十分に確保されていると思われるかもしれませんが、「乾季」があり、その時期になると川の水の量は、一気に激減します。よって、生きる場所そのものがなくなることになります。ただ、魚にとってさらに恐ろしいのは、水の激減に伴う「酸欠」です。水温が上がると水の中に溶ける酸素の量が少なくなってしまいます。よって、鰓呼吸をする魚にとっては、「アマゾン川の乾季」は、生息範囲が狭まり、生きるための空気量が少なくなるという地獄の時期になります。この乾季を乗り越えるために「鰓呼吸」を得られたものが、生き残り、今のピラルクーに至るということになります。つまり、アマゾン川の厳しい環境から生き残るために手に入れた適応策ということです。
私が紹介した魚は、ピラルク―以外にもいます。それは、「オキシドラス」というナマズになります。このナマズが激レアなナマズというより、私が、お気に入りのナマズだからということになります。私が、オキシドラスの気に入っている部分は、アジの「ゼイゴ」のようになっている点になります。アジの特徴は、ゼイゴがついていることになりますが、ナマズでも見られるとは思いもしませんでした。
また、レッドテールキャット、タイガーショベルノーズキャット、プラニセプスなどといったアクアリスト憧れの大型ナマズも展示されています。大型ナマズを見るために行くのも面白いと思います。
アマゾンとアフリカ
アマゾン川の生き物を見た時に、注目してほしい点があり、アフリカと南アメリカは、かつて同じ大陸だったということです。それは、淡水魚の分類を見た時に両大陸が繋がります。ここでは、「カラシン」と「アロワナ」が挙げられます。
まず、カラシン(*大きく言うと、カラシン目)の代表格といったら、ネオンテトラが挙げられます。カラシンの最大の特徴は、背鰭と尾びれの間に別のヒレ、つまり、「アブラビレがある」ということになります。
このブログの中編で、アフリカにカラシンがおり、コンゴテトラやタイガーフィッシュを紹介しました。彼らの形態にも注目すると、「アブラビレ」があることが分かります。形態だけで、生物が全て同じ分類になるとは限らない所はありますが、アブラビレという共通する特徴を持ち、分類も同じカラシンになることから、アフリカと南アメリカには、共通祖先がいたことの証明になるのではないでしょうか。
次のアロワナになりますが、代表格は、南米のシルバーアロワナになり、別にブラックアロワナがいます。また、先程紹介したピラルクーもアロワナ目アロワナ科に分類されるため、アロワナの仲間です。
一方、アフリカにアロワナがいるのか?と疑問に思われた方もいるかもしれませんが、アフリカのアロワナの代表格は、ジムナ―カス、バタフライフィッシュ、ナイルアロワナが挙げられます。このアクア・トト ぎふでは、「バタフライフィッシュ」に会うことができます。一見して、同じアロワナに見えないかもしれませんが、「舌に歯があること」や「舌や上顎の中央に歯があること」などがアロワナの特徴になります。
アロワナとカラシンは、淡水に生息しており、特に、アロワナは、淡水要求性が非常に高いため、汽水や海を介して別の場所に移動することが難しいです。この場合、生物が移動するのではなく、地面、つまり、大陸そのものが分裂・移動すれば問題ありません。
地球の歴史は、まず、パンゲア大陸という一つの大陸があり、それが、「ローラシア大陸」、「ゴンドワナ大陸」と分裂しました。そして、ゴンドワナ大陸が、オーストラリア、南アメリカ、アフリカ、南極へとさらに分裂しました。特に、南アメリカとアフリカは、くっついていたこともあり、共通する生物がいることにもおかしい点はあまりないです。特に、カラシンが、アフリカと南アメリカにいるということは、ここで説明がつくのではないかと思えます。以上の点を考えた場合、カラシンとアロワナが、アフリカと南アメリカに生息する理由は、「共通する祖先が、過去の大型大陸(ここでは、ゴンドワナ大陸)に生息していた」ことが挙げられます。よって、同じ分類になる者が、違う大陸に生息することは、「過去の地球は、一つにだったことと分裂をしたこと」を証明する存在になるのでは、ないでしょうか。つまり、カラシンとアロワナは、地球の歴史を証明する存在になるのではないでしょうか。
アロワナやカラシンとはまた別の事例で、「ペンギン」も取り上げることが可能です。ペンギンというと南極のイメージが強いのかもしれませんが、南極だけではありません。南アメリカには「フンボルトペンギン」、アフリカには、「ケープペンギン」、オーストラリアやニュージーランドには「フェアリーペンギン」が生息しています。これらペンギンの特徴をあげると「過去は、全てゴンドワナ大陸の一部だった」ということが挙げられます。つまり、ペンギンが、南極以外の南半球にも生息する理由にゴンドワナ大陸という一つの大陸に共通祖先がいたという理由を求めれば、説明がつきます。
下記の天王寺動物園のブログでは、南極以外にも生息し、どのように適応したのかについて記述しました。この大陸移動の関係からも是非、ご覧ください。(*また、サンシャイン水族館でも、カラシンについての説明、魅力について記述されてます。こちらも是非、ご覧ください。)
4.特別展「新ヒキガエルのすすめ」
最後は、特別展示であるヒキガエルの解説になります。日本には、どのようなヒキガエルが生息しているのか、人とどのような付き合いがあるのかについて解説されていました。
まず、日本には、どのようなヒキガエルが生息しているのでしょうか?日本には、4種類のヒキガエルと1種類のヒキガエルの計5種類のヒキガエルが生息しており、下記の通りのものが生息しています。
まず、ヒキガエルとは何者でしょうか?全体的に共通する特徴は、「大きなカエルで、体はイボに覆われている点」や「足は短く跳ねるのではなく歩く」、「耳腺や皮膚から毒を出す」という点が挙げられます。また、ミヤコヒキガエルを除く在来のヒキガエル3種では、「耳腺の大きさ」、「鼓膜の大きさ」、「前足・後足の長さと比率」などで見分けるそうです。
私が、このヒキガエルの特別展示で面白いと感じた点は3点あります。
1点目は、「アズマヒキガエルは場所によって大きさが違う」という点になります。アズマヒキガエルは、ヒキガエルの中で、一番見られるヒキガエルになり、公園の池から標高2500mの山地にまで幅広く生息するヒキガエルになります。ただ、地域によって大きさが違う傾向にあるようで、高知のものは小さく、低地のものは大きくなる傾向にあるようです。大きさに違いがあることから、過去には、「ヤマヒキガエル」と別種扱いされていたそうです。このような傾向になるのは、「遺伝」あるはい「栄養」なのか分からない部分があるのですが、その違いを生む要因は何かを考察するのは、面白いと思います。
2点目は、「ヒキガエルの毒は役に立つ」です。主に、アジアヒキガエルの耳腺から出るシノブファギンやブファリンという毒にもなる成分ですが、これを少量使用することで、人にとって有益な薬として使用されています。中国では、漢方薬として使用され続けており、現在も市販薬として販売されています。毒=悪いものと思いますが、そうとは限らないですね。
3点目は、「ヒキガエルは 外来種問題を引き起こしている」という負の部分になります。
まずは、「オオヒキガエル」を取り上げることになります。オオヒキガエルは、本来は、南アメリカを中心に生息するヒキガエルになります。日本(*主に大東島や石垣島のような温暖な地域)を含めて多くの国でオオヒキガエルが導入されました。その目的は、「サトウキビ畑の害虫駆除」になります。しかし、サトウキビ畑での害虫駆除どころか、在来の昆虫や無脊椎動物、小型の脊椎動物に対して非常に強い捕食傾向を示し、在来種を絶滅の危機に追い詰めています。
そして、何より厄介な点は、「強い毒を持つ」ことです。耳腺から強い毒を生み、定着先で毒の耐性を持たない生物が捕食した場合、死に至る、家畜が誤って触れたり、噛んだり、食べることで、死んでしまうという事故を発生しています。さらに、強い毒を持つことが、「天敵がいない」ことに繋がり、進出先で爆発的に増殖することができます。つまり、強い捕食と毒を武器にオオヒキガエルは、在来種を捕食し、導入先で天敵がいない独壇場になりました。
以上の点から考えた場合、オオヒキガエルは、外来種として非常に強力であることが分かります。そもそもの原因は、「目先の被害だけを食い止めることしか考えていない」ということになります。特に、生物に関しては、「安易な導入は絶対にやめるべき」というのが、教訓になります。一番の事例で紹介されるのは、ジャワマングースですが、オオヒキガエルもそのまま同じことが言えるのではないかと思います。
(*外来種の導入による問題をこのブログで取り上げました。是非、ご覧ください。)
また、沖縄本島でもオオヒキガエルが再発見され、定着しているのではないかとの恐れがあります。非常に強力な外来種であるため、再定着したということは、絶対に防いでほしいです。
外来種として問題になっているヒキガエルは、オオヒキガエルだけではありません。つまり、在来のヒキガエルも外来種(この場合、国内外来種)となってしまっています。当然、日本でも場所によって生息するヒキガエルが違います。その一例は、東京では、アズマヒキガエルが中心になりますが、本来その場所にいなかったニホンヒキガエルが定着し、交雑し、遺伝子汚染が発生しています。
在来のヒキガエルで、特に問題を起こしているのが、「北海道」になります。そもそも北海道と本州では、生物相が違うという特徴があります。簡単な説明をすると、北海道と本州は、地続きになった歴史が非常に浅いため、あまり生物の移動が起こらず、北海道独自の生物、本州独自の生物が進化しました。つまり、北海道と本州では、生物の世界が違うということになります。人間で例えた場合、日本と中国の2つを比べた場合、両者で文化や慣習が違うと感じるのと同じことです。
北海道と本州の生物相の違いは、青森県と北海道の津軽海峡を挟んで別れるため、この境界線を「ブラキストン線」と言います。生物の違いを現すと、北海道にはカブトムシが自然分布していない点が挙げられます。また、クマもあげられ、植物食の傾向が強いツキノワグマは、本州以南に生息し、肉食で大型のヒグマは、北海道以北に生息するなどと動物で違いがあります。
この違いは、人間にも違った形で現れます。北海道と本州では、「円筒式土器」という共通した土器を使用しています。つまり、文化圏が共通しているということです。しかし、人骨に残っている炭素と窒素の同位体を北海道と本州で見た場合、「北海道の遺跡から出土した人骨の方が窒素同位体が高いため、北海道の人たちは、海産物(*ここでは、オットセイやトドを指す)を利用していた傾向が強い」ということが言えます。つまり、同位体だけを見た場合、文化圏が同じでも別人種または別の生態を持った人間にも見えてしまうということです。生物層の違いが出る違いは非常に大きいということです。
*下記のリンクをご参照ください。
https://www.isan-no-sekai.jp/report/8636
*円筒式土器とは
ここから、ヒキガエルの説明に戻ります。北海道で問題になっているヒキガエルは、「アズマヒキガエル」になり、北海道には、本来、生息しておらず、人為的に持ち込まれました。このアズマヒキガエルの外来種問題の一面もオオヒキガエルと引き起こしている問題や状況は非常に似ています。持ち込まれたアズマヒキガエルの方が大型で、北海道の在来のカエルよりも大型です。つまり、ライバルとなるであろう存在がいません。また、ヒキガエルは、毒を持っており、その毒は成体だけでなく、卵や幼体であるオタマジャクシも同じです。北海道では、在来のエゾアカガエルやエゾサンショウウオがオタマジャクシを食べることがあります。その際、ヒキガエルのオタマジャクシも食べます。このヒキガエルのオタマジャクシを食べた時の問題点があります。それは、「毒に耐性がない」という点になります。つまり、オタマジャクシを食べても中毒死を起こしてしまいます。さらに悪いことに、中毒死を起こしたカエルやサンショウウオの死骸を別の個体が食べに来て、そこから毒をもらって中毒死するという中毒死の連鎖が起こっています。
これらの点から、ヒキガエルが外来種として北海道で猛威をふるい、生態系を壊していることが問題となっています。よって、北海道では、「指定外来種」となり、駆除活動が積極的に行われています。外来種というと、「国外から」というのがすぐにイメージされると思います。しかし、このヒキガエルでは、「国内外来種」として起こっている問題の深刻さが分かる話で、「国内外来種」で引き起こされている一例として非常に参考になると思います。
5.まとめ
以上が、アクアトト岐阜の後編の解説になります。水族館の全館の解説と特別展示の解説は、これで終了になります。最終章とはなりますが、水族館に加え、水族館周りの施設や自然公園も魅力が、たくさんあります。再び、アクア・トト ぎふに来ることがあれば、関連施設について紹介していきたいです。特に親子連れで遊びに行くには最高の場所です。また、フロアの展示も更新されているという話も聞いているので、それも確認し、何がどう違うようになったかを紹介したいです。
この後編で、「進化」、「地球の歴史」、「生物多様性」、「動物地理区」などと幅広いテーマについて紹介することになるとは思いもしませんでした。よって、今回は、広く深く多くの生物と関連するテーマを紹介できる内容になったと思います。
この後編の最後は、「ヒキガエル」から分かることについてまとめて締めます。ヒキガエルが外来種として脅威であることは分かりますが、特に「毒」に耐性がないことが、大きいと思います。本州では、ヒキガエルの天敵はいますし、特に、ヤマカガシは、ヒキガエルの毒をため込んで、獲物を捕まえる時の毒として利用しているくらいです。これらの事実から分かることは、「生態系は、生物の関係でできている」ということです。生きていくための手段を獲得しても天敵や獲物が対抗手段をまた別で得るという関係性ができ、個体数が激増することは、まずありません。しかし、外来種として猛威をふるうということは、「定着先では対抗手段がない」ということでもあります。外来種は、強い生物だから、定着できるのではなく、ストッパーになる存在がいないことも要因になります。その上、国内外来種として問題になっているアズマヒキガエルは、本来の生息地では、「絶滅危惧種」としても問題になっています。保全の問題も考えた場合、外来種問題は、脅威であり、危機でもあることを忘れないでほしいです。つまり、外来種は、複雑化しているということです。
以上で、アクア トトぎふの解説を終了します。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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