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竹島水族館ー特別企画展示(2024/8/13)

1.はじめに

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。IWAOです。世間でいうお盆休みの時に、私は竹島水族館へ行ってきました。どのような水族館か、全く知らなかったこともあり、それを見たいがために行ってきたのですが、たけしま展という特別展示が行われていることを知り、それが中々面白い展示だったっため、急遽、ブログで書くこととしました。よろしくお願いします。

2.構成・竹島とはどのような島なのか?

 この特別展示は、竹島に棲息する生物の生体とその解説パネルを中心に展示が構成されていました。竹島そのものも近くにあったため、水族館の特別展示のついでに竹島にも行ってきました。
 今回は、特別展示と竹島で見てきたものについてここで書いてきます。

・竹島の概要

 竹島は、三河湾に浮かぶ周囲680mの無人島です。島には橋がかかっており、竹島には歩いて行けます。また、竹島には、希少な植物が自生していることもあり、島そのものが国の天然記念物に指定されています。竹島は、島が隆起してできており、沿岸は岩礁となっています。ゴツゴツしているということです。全ての沿岸が岩になっているということではなく、アマモ場や干潟になる所もあり、干潮時には橋の下を島まで歩いて行くことも可能です。ここの生物、特に、海に生息する生物の多くが、「竹島」の自然を反映した生き物になっているなと感じることができました。

竹島
いい天気で、満潮でした。

3.生体

 ここでは、3つの水槽で竹島に生息する生物が展示されていました。以下の生き物がリストになります。その中で、私が注目したものをここでピックアップします。

・カサゴ

 竹島という島を象徴する魚ではないかと思います。カサゴの生息の中心は、岩礁です。岩の隙間に入り込み、そこでジッとしています。子供の頃は、竹島周辺でたくさん見られるらしいのですが、大人になると、岩陰やテトラポッドで暮らすようになります。名前の割に見た目が、一般的には地味な生き物であまり注目されないのですが、刺身、唐揚げ、塩焼き何で料理しても非常においしく、料理にはなんでももってこいの魚です。

カサゴ(稚魚)
常設展示のカサゴ
マンションの個室に住むカサゴを演出するという工夫に面白さがあります。

•ヤドカリ

 ここでは、2種類の小型のヤドカリと大型のヤドカリが2つの水槽に分かれて展示されていました。小型のヤドカリは「ユビナガホンヤドカリ」で、大型のヤドカリは「コブヨコバサミ」です。

ユビナガホンヤドカリ
上の王者はウミニナ(?)、手前はイボニシっぽい
コブヨコバサミ
手前2匹がアカニシ、奥がナガニシを利用

 注目ポイントは、それぞれのヤドカリが入っている貝の「種類」が違うという点です。これは、2種類のヤドカリで、背負う貝が違うという意味ではなく、「同じ種でも違う」という意味です。飼育員の方に聞いて初めて知ったことではありますが、「条件さえ合えばどんなものでも背負う」と教えてもらいました。つまり、特定の貝に依存するスペシャリストではない(*ここで紹介されたものはという意味で、全てとは限らないと思います)ということです。その顕著な例が、「ペットボトルを背負うヤドカリ」です。環境問題の象徴的な出来事でよくないことですが、これは同時にヤドカリの持つ習性でもあります。「ユビナガホンヤドカリ」の場合、イボニシ、ツメタガイ、ウミニナ、ムシロガイが候補になり、コブヨコバサミは、アカニシが多く、ナガニシも候補になるとのことです。竹島では、ペットボトルを背負うヤドカリはあまり見られないらしいです。それは、貝が十分にあるためであり、ペットボトルのゴミがあまりないからです。つまり、竹島は、ヤドカリの貝への選択肢が十分にあるいい環境にあるということです。竹島で展示されていたヤドカリから、ヤドカリそのものと関係性を持つ貝が違うなどとヤドカリと一言言っても違いが多いのだと知らされました。

・アオホシフナムシ

 海岸に行くと、黒くて塊になってガサガサする奴らがいます。それが、ナナフシです。ここで展示されていたナナフシは、「アオホシナナフシ」という種類のものになります。フナムシの面白いところは、水中では生きられないのですが、水なしでも乾燥に弱いため、海の近くに生息しているという所です。磯の陸場、浅橋、神社の階段等に生息しています。基本、群れており素早く動くため、真っ黒いものがガサガサ動く光景が見れます。つまり、海のGとその大群です。

アオホシフナムシ
黒くてガサガサしているGみたいな奴らがナナフシです。

 しかし、彼らは気持ち悪い存在というだけでは終わりません。竹島を含めた海岸では「海の分解者」として非常に大切な存在です。海岸に打ち上がった死肉、海藻、植物を主な餌としています。もし、彼らがいなかったら竹島はどうなっていたでしょう?死肉などは分解されず、そのまま残り、物質は高次の消費者に再利用されることはありません。海岸生態系の縁の下の力持ちとして、海の掃除屋として大切な役割を持っています。
 じつは、このナナフシは、この竹島水族館で人気者としてある生き物と分類的に近いです。それは、「オオグソクムシ」で、彼らも深海では「分解者」として死肉や骨などを食べています。分類や生態的な位置から、新規感は持てたでしょうか?

オオグソクムシ
写真は、クジラ(種は不明)の尾椎と思われるものを食すオオグソクムシ

・アカエイ

 アカエイというといかにも「エイ」らしい見た目と印象を形作る存在で、沿岸に生息するエイの代表格だと思います。竹島では、広範囲で見ることのでき、砂地に生息しています。運が良ければ、桟橋から見ることができるそうです。アカエイの最大の特徴は、「毒」を持つことにあると思います。アカエイの毒は、毒針として尾の付け根にあり、間違って踏んだり、変な持ち方をしない、変に距離を近づけないなどと触れ方にさえ気をつければ問題ないと思います。
 ここで展示されている個体は、子供のサイズですが、40センチ近くはあり、子供という割には、大きいです。ただ、アカエイは大きものだと最大で2mになるそうで、大の大人よりも大きくなる存在です。この個体については、今回の展示でアカエイを出したいから、捕まえられたらいいなと話していた最中に見つかったものであり、その場で捕獲するという運命のような出会いをしたエイになります。
 ここでアカエイを見た時に思ったことは、めちゃくちゃ綺麗だなということです。写真上でしかわからない面はありますが、実物は、黄色味がかかった茶色でピカピカしていました。魚の場合、大きい個体よりも小さい目の個体の方が、発色が良かったりします。それは、エイにおいても同じだと思います。

アカエイ
裏側の顔が可愛いと話題だが、縁の色もなかなか綺麗

 アカエイというと、どこの水族館でも沿岸でも見られる普通の生き物だと思う方が、多いと思いますし、実際、私はそうでした。しかし、近年、アカエイに関してサメ、エイ類に関係する重大な発見がありました。それは、「繁殖法」です。まず、サメやエイの繁殖は、「卵生」と「胎生」の2通りがあり、アカエイは「胎生」です。アカエイの場合、ある程度の大きさになったら、幼生が体外へ出てきます。(*大の大人の手のひらサイズです。)アカエイは、子宮内でうまれ、体が出きてからから外へ出るのではなく、ある程度の大きさに育ってから、体外に出ます。体内にいる時は、卵黄からの栄養に加え、子宮内で分泌されるミルクを吸収します。
 アカエイの繁殖法で注目されるのは、「体外にいるまでの間どのように排泄物を処理しているのか?」という点です。アカエイは、哺乳類のように臍の緒が繋がり、それを介して栄養と老廃物を交換しているわけではありません。究極の閉鎖空間である子宮内で糞便を出してしまったら、子宮内は汚染され、生命に関わることとなります。アカエイは、「体に糞便を溜め込む」という方法で処理しています。子宮内にいる間は、腸の長さが成魚の4〜6倍となり、腸の出口は閉まっているそうです。つまり、何が何でも糞便を体外へ出さないということです。また、腸の最後の部分は栄養吸収のための柔毛ではなく、粘液で満たされていることから、細菌の繁殖も抑えられるようになっています。この繁殖法の注目される点は、「他のサメの繁殖の解明にも活きる」ということです。直近だと、赤ん坊を産むサメであるホホジロザメ、シロワニのようなネズミザメ目のサメの排泄物の処理のヒントになると思われます。彼らは、ミルクではなく卵などを子宮内にいる時に食してます。その時の排泄物の処理がどのように行われているのか、その研究を行う際の参考または指標となりえます。アカエイの発見によって、繁殖法が解明され、他の生き物の繁殖法の解明に繋がります。つまり、アカエイは、サメ・エイ類の謎に対して貢献する生き物であるということが分かります。

ハチワレの胎仔
シロワニ

 下の写真は、ハチワレの胎仔の腸の写真です。右側でボコっと膨らみ、色が変わっているところがあります。ここで子宮内にいる時の糞便を溜め込まれていると思われ、アカエイも同様になっていると思われます。

ハチワレの胎仔の腸
右側の詰まっているものが糞便

 Rickyさんに写真をお借りました。ハチワレの画像を含め、アカエイの繁殖法についてもと詳しい内容が動画とブログで解説されています。アカエイの動画は胚の成長、毒のある棘の向き合い方などここでは取り上げていないことが多く紹介されています。アカエイという身近でも盲点だったところが多く、知ると驚かされる面が多いです。
 ブログのハチワレは必見です。胎仔の腸を実際に観察した時の様子が実際に書かれています。アカエイで分かったことだけでなく、実際に見たことも合わせて書かれている上、かなり調べて書かれているので、

・動画

・ブログ

4.竹島軽探検

 水族館の目と鼻の先に竹島があり、どのような島になっているのか簡単であって見てきました。竹島の第一の印象は、ゴツゴツしているということです。つまり、島の周りは岩だらけということです。しかし、私が来館した時は、満潮時でした。干潮時は、干潟が現れ、砂浜が一直線に見えるとのことです。その時に来たかったのも本音です。

島の海岸です。ゴツゴツした岩礁ばかりです。
こちらからみてもゴツゴツしています。

 沿岸部分には、貝殻も多くありました。圧倒的に多かったのは、「マガキ」です。感覚的にも99%がカキだったのではないかと思います。どのような貝殻が落ちているのか、見た所、アサリ、オキシジミ、アカニシ、アカガイ(?)、イボキサゴなどとマガキ以外にも貝は見つかりました。それでも、マガキで埋め尽くされるほどマガキだらけです。ヤドカリを水族館で見たこともあるので、巻貝がそこそこいると思ったのですが、2〜3匹ほどしか見つからなかったです。ただ、行けたのが満潮時だったため、干潮時はまた違ったものが見られるのではないかと思います。

この白いものほぼ全てがマガキ
私が見つけた貝殻
左から、アカニシ、イボキサゴ(?)、アカガイ(?)、オキシジミ、マガキ、アサリ

 竹島の魅力は、自然の豊かさだけではありません。島の中に5つの神社があり、島を歩くことで「歴史」を感じることもできます。階段を最初に登った所に宇賀神社、島の頂上に八百富神社があり、その奥に八大龍神社があります。私自身が行くまで知らなかったことではありますが、竹島に神社があること、まして3つも同時に見られるとは思いもしなかったです。
  八百富神社は、「竹島弁財天(市杵島姫命)」を祀っており、養和元年3月18日(1181)に創建されたと伝えられています。これは、1145年三河国司の三河守となった藤原俊成が、在任中に未開だったこの地を開拓した時に、琵琶湖の竹生島に似ているこの竹島に竹生島弁才天を勧請せられたことから始まったとされています。創建が、源平合戦の時期にあたることから、かなり古くからあったことが分かります。

宇賀神社
八百富神社
八大龍神社

5.まとめ

 竹島水族館の特別展示と竹島で見てきたものについてでした。竹島、特に沿岸部分にどのような生き物がいるのかがよく分かる展示構成になっていたのではないかと思われます。島全体を歩いてゴツゴツしていたため、島の環境が岩礁で、カサゴが展示されていたことは、非常に納得させられました。今回の特別展示で、私が1番面白いと思ったのが、「ヤドカリ」です。これまで興味がなかったため、知って受けた刺激も衝撃も大きかったのはあります。利用する貝とはどのようなものか、竹島にいる貝はどのようなものか、ヤドカリを介して知ることができたなと思います。展示を構成された方からの話からも1種のヤドカリの利用できる貝の種類が多い話から、竹島の自然が豊かであることが垣間見えたのではないかと思います。
 今回は、特別展示と簡単に竹島を歩いて見えたものを書きました。内容的には、かなり簡単なものになりました。いつかは、竹島水族館そのものがどのような水族館なのか?についても書いてみたいなと思います。面積的には小さくても工夫や知恵は豊富な水族館であることが、よく分かりました。10月に別の施設がオープンする予定なので、そちらも楽しみにしています。
 以上になります。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

6.謝辞

 今回、ブログを書くにあたり写真や動画、ブログをサメ社会学者Rickyからお借りしました。この場にてお礼を申し上げます。また、Rickyさんは、サメやエイについての内容を発信しています。更新されるYouTubeの動画は、非常にレベルが高いです。より詳しく生き物について学びたいに特に向いています。今回のブログをきっかけに動画やサイト、Xをフォローされてみてはいかがでしょうか。よろしくお願いします。

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