| エッセイ #20 | 「メル恋」受け取り評価までの恋物語
久しぶりにメルカリに出品をした。夫に頼まれて、仕事で使わなくなったものをたくさん出品した。
早速、出品したカメラのバッテリーに
「いつ頃購入したものですか?」
と質問が入り、夫に確認しているうちにすっかり返事を忘れてしまい1週間がたった頃、別の人から値下げのコメントが入った。
あとで返事をしようと思っていたらまたまたすっかり忘れて1週間くらいたった今日、値下げのコメントをくれた人が提示価格で即決購入してくれた。
購入した時はスマホをさわっていたから
すぐに「ありがとうございます。」のメッセージを送ることができたのだけど、1週間値下げの返事はしなかったくせに購入したらすぐメッセージを送るのはなんだか調子のいい奴だ、と思われるのがいやであとから送ることにした。
3時間くらいたって、相手から
「早く送ってほしい」
とだけ最初の取引メッセージがきた。
言い方が気にくわなかったけれど、もしかしたら拗ねてる可能性もある。ちょっと強気になりたい気持ちも分かる。1週間コメントの返事がなく、結局提示価格で購入したのだから。
念のため相手の評価を見ると、145件あって普通に大丈夫そうな人だった。
出品も3つしていた。
花柄のヴィンテージパンツと
古着のTシャツと
そして本が一冊。
本!!
その本は、まさに今日私が買った
ハライチ岩井さんの「僕の人生には何もおきない」だった。
喜多川泰さんの小説「君と会えたから」の中に、
「同じ時期に同じ本を読んだ人と出会えるなんて、滅多にない素晴らしいことよ。経験や気持ちを共有できるんですもの。私はあの本を読み終えたとき、あなたが読み終えたときの気持ちがわかった気がする。」
この台詞が大好きで初恋のように大切にしている言葉だ。
私が選ぶ本や映画はあまり王道ではない。とくに映画は女友達で分かりあえる人がまずいない。
キラキラの恋愛ものはみないし、イケメンにも興味はないし。もちろんたまたまイケメンだったことはあるけどさ。
だから同じタイミングではなくとも、同じ本を読んだことのある人、同じ映画を見たことがある人に出会うと、学生のころに片思いした先輩に「おはよう」と言われただけで一生いきてきていける、みたいな気持ちになるんだ。
まさか、今日私が買った本と同じものを出品している人に出会うだなんて、なんだかロマンチック、いや、ティックだ。
すぐに丁寧に感じのよい取引メッセージを送った。もちろん
「私も岩井さんのエッセイ読みました♡」
なんて気持ち悪いメッセージは送ってないから安心してよ。
でもそういうドラマありそうじゃない?
"
メッセージをおくって、会うことになって、打ち解け会うのにはやっぱり時間はかからなくて、付き合おうなんて言葉はなかったけど休みの日はいつも一緒に部屋でそれぞれ好きな本を読んで、夕方になったら銭湯いって、特別なことがあるわけではないけれど、あ~なんか幸せ~
"
そんな物語。
あ、でもやっぱりただ幸せなだけでは物語としてつまらないか。ならば、
"
メル美がよくいく古本屋にメル夫を連れて行ったら、メル夫がずっと片思いをしていた今もまだ忘れられずにいる古井屋本美(ふるいや ほんみ)が働いていた。
メル美はすぐに何かを察した。帰り際、
「私達、付き合ってるんだよね?」
と強い口調でいいよる。
「ごめん─」
とだけ言ってメル夫はメル美のもとからいなくなった。
それから1年後、メル美は幼なじみと結婚した。
絶対に幸せなはずなのに、一人になるとメル夫のことを思い出す。きっとあの時のメル夫も、メル美が好きだった。あれはちゃんと恋だったんだ。
でも古井屋本美(ふるいや ほんみ)を忘れられない気持ちが無邪気なメル美の笑顔を見るたびに苦しくて、自分がゆるせなかった。
今ならメル男の気持ちが分かる気がする。
ありがとう。わたし、幸せになるよ。
おわり
"
そうだ、
商品カテゴリーはメンズだったよ。
でも、
彼氏のかもしれないし、旦那のかもしれない。
なんだっていいわ!
現実にもSNSにも疲れた私に残された道は
妄想しかない!
これでも38歳、10歳の息子をもつ母、
ちなみに、無言評価はしないタイプ♡
さっさと商品おくりなはれや。
「メル恋♡」
➹えりな