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ママため将棋講座#1 「うちの子、天才じゃないかしら?」



きっかけは色々だと思います。
「将棋教室に連れて行ったら褒めちぎられた。」
「上級生と将棋をして勝った」
「詰将棋が誰よりも早く解ける」
「同学年では敵がいない」

親でしたら「この子には将棋の才能があるかも?」とか「この子には将棋の才能があったら伸ばしてあげたい。」と思うからこそ、将棋を習わせてみようと思ったのではないでしょうか。又は、お子さんの方から「将棋をやってみたい」と言い出して、「自分からやりたいなんて言うのは初めてだし、もしかしたらすごく伸びるかも?」と思い、将棋教室を探し出すと言うところがスタートになっていると思います。

私は才能には2つの才能があると思っていて、これはどの分野にでも言えることですが、
1.将棋をずっと好きでいる才能
2.将棋の技術的な才能

この2つです。皆さんなら将棋の天才少年 藤井聡太さんを思い浮かべて、どちらが大事な才能だと思いますか?
もちろんどちらもあるに越したことはないのですが、圧倒的に必要とされる才能は、将棋をずっと好きでいる才能だと断言できます。

 技術的な才能も大切ではありますが、絶対に必要なものではありません。技術的な才能とは、具体的に相手の王様を追い詰める力だったり、どちらが早く相手を追い詰められるかの速度が計算できる力だったり、どうやったら相手より有利になるか戦略を組める力だったり、そう言うテクニック的な部分での才能で、これは明らかに子供達の間で力の差があります。生まれ持ったものとしか言いようがない。
 しかし、それだけで強いならプロは要りません。技術的な才能だけで大人より強いならプロは皆、子どもだらけになるでしょう。

 つまり、逆説的に言うと、テクニック的な才能があまりないからと言って、それが全てではなく、努力次第ではセンスのいい子に勝てるようになると言うことです。例えば、手前味噌で申し訳ありませんが、うちの息子は小学4年生で将棋を始め、始めて半年足らずで、大人に勝つようになりました。所謂、テクニック的な才能があったのです。級位者の大人には面白いように勝つので、私ものぼせ上がって他県の大会にまで遠征に行き、息子がポンポンと同年代の子供達や大人に勝つ姿を見て楽しんでいました。

 しかし、だんだんと出場する大会のランクが上がってくると、勝てなくなってきます。生まれ持った才能だけでは勝てないレベルになってきた訳です。ここから先は手を研究し、終盤で取りこぼしがないよう詰将棋を解き、努力をしないと勝てません。しかし、息子は勝てなくなりました。今までは感覚的に指しても十分勝負になったのに、作戦から負けるようになったからです。しかも、今まで感覚的に指してきたので、いざ勉強と言われても、勉強する習慣がないし、億劫なので全然勉強できないのです。教室にも通っていましたが、毎回同じような進歩のない将棋を指すので先生も困っている様子でした。

 そのうちに、小学校の時は一度も負けたことのない相手にも負けるようになりました。その相手は、テクニック的な才能はそれほどありませんでしたが、とにかく将棋が好きで、大会ごとにうちの息子に負けていましたが、毎日毎日本を読み、詰将棋を解き、NHK杯を録画して、とにかく将棋が好きで好きで堪らないと言った子でした。結果、中学3年生になる頃には、うちの子は全く勝てなくなったのです。

 うちの息子の名誉のために言いますと、息子もただただ努力しなかった訳ではありません。毎日のように詰将棋も解いていましたし、教室にも行っていましたし、日々の対局で創意工夫もしていました。しかし、そう言った努力が苦痛に感じる方だったのでしょう。好きで努力を努力とも思わずやり遂げてしまう子と、頑張ってるのに・・・と苦痛に感じてしまう子では、どうしても前者に軍配が上がります。

 この私の体験エピソードからも分かりやすく解るとおり、好きでいることの才能は、テクニック的な才能を凌駕するのです。

 ですから、現時点での強い・弱いは関係がないのです!(本人のモチベーション的には気を遣ってあげる必要はあると思いますが。)
 お子さんが、将棋が面白い!と言っていることが一番大切なことなのです。

 でも、ゲームをやる方が面白かったり、サッカーチームにも入っているし、テレビも面白いし・・・やりたいことは他にたくさんありますし、何より将棋は相手が必要なゲーム。親御さんが将棋教室を探してあげたり、相手をしてあげたり、だんだん強くなってきたらネットで対局をする環境を整えてあげたり。子供が好きで将棋を続けられる環境を整えるのは意外と大変。

 そして、それはお母さんのバックアップなしには続かないのです。

ですから、タイトルにした
「うちの子、天才じゃないかしら?」
と言う親御さんの気持ちは、全く否定することなく、子どもさんがプロになる若くは将棋を辞めるその日まで、ずっと信じていていただきたいと思っています。


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