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形が変わって見える星たち

どうして光る?どうして欠ける?

惑星や衛星は「自分で光っていない星」でした。ではどうして夜空に月や金星、木星が見えるのでしょうか。それは、太陽の光を反射しているから。太陽の光が当たって、明るくなっているところが、私たちの目に見えています。だからこそ、月や金星は満ち欠けをします。

痩せて太って、太って痩せて。リバウンド名人の月

月を例にしましょう。月は地球の周りを回っています。そのとき、太陽と、月それから地球の位置関係が変わることによって、月の見え方が変わります。
例えば、地球から見て、月と太陽が同じ方向にあるときを考えましょう。月の太陽の光が当たっている面は、地球から見えません。このとき地球から見た月はほとんど姿が見えません。新月の状態です。
一方で、地球から見て、月と太陽がまったく反対の方向にあるときを考えると、月は太陽の光が当たっている面を地球に向けていることになります。このとき、地球から見た月はまん丸の満月です。
この2つの場合の中間、地球から見て太陽と月が90°の方向にあるとしましょう。このとき、月の太陽の光が当たっている面のうち、半分が地球から見えます。地球から見た月は半分の月、半月です。上弦の月、下弦の月ともいいます。


同じ方向にあると新月(左)
反対向きにあると満月(右)
そのちょうど真ん中は半月(中央)

どっちが上弦下弦?もういい加減にして!

ちなみに、この上弦、下弦というの言葉、最近は鬼滅の刃で「上弦の鬼」「下弦の鬼」というのが出てきているように、なんとなく「下弦より上弦の方が格が上」というイメージがあります。

上弦、下弦というのは、半月を弓に見立てたとき、弦(つる)が上にあるか下にあるかという意味で付けられていると習いました。どっちが強いとかじゃないんですね。

しかしよく考えてみて下さい。月は東から昇って、西へ沈みます。
昇るときと沈むときで、上下がひっくり返るわけです。「じゃあ弦が上か下かなんてわからないじゃないか」と思います。
さらに、上で言ったように月の満ち欠けは太陽と月の位置関係によるものですから、上弦・下弦の月はそれぞれ見られる時間帯が決まっています。上弦の月は夕方から夜、下弦の月は夜から明け方にかけて見ることができます。その時のそれぞれの見え方は画像のようになります。


上弦の月が見える日は、夕方~夜に南~西の空(右)
下弦の月が見える日は、夜~朝に東~南の空(左)
に月が見えるのだが…

「どっちも上に弦があるじゃないか」。その通りです。

とまあうだうだ言っていますが、どうやら「西の空に沈むとき」の時点で弦が上にあるか、下にあるかを基準として上弦・下弦と名前が付けられているようです。
ちなみに、下弦の月は昼間に沈むので沈む様子はほとんど見られません(えぇ…)

「半月を弓に見立てて、西の空に沈むとき、上下のどちらに弦があるか」と覚えるよりは、「東半分なら上弦、西半分なら下弦」と覚えたほうが簡単そうです。
ほかにも、旧暦で上旬に見られるから上弦、下旬に見られるから下弦という説もあるようです。
こっちの方がしっくりきますね。

満ち欠けする星しない星

星が満ち欠けをする条件は、①自分で光っていないこと、②太陽(恒星)と地球の間を通ることの2つです。

例えば、地球よりも外側を回る火星、木星、土星、天王星、海王星の太陽の光が当たっていない面が見えることはありません。
一方で、地球よりも内側を回る水星と金星は満ち欠けをします。
国立天文台のwebに掲載されている写真を引用しますとこんな感じ。


金星が満ち欠けをしていることが分かる。
全体の大きさが変わっているのは地球との距離が変わるから。
右が近くて大きい、左が遠くて小さい。


水星はなかなか見るのが難しい(後述)
太陽から離れた半月型に見えるときがチャンス。

確かに、まん丸ではなく欠けているのが分かりますね。

水星をつかまえろ

ちなみに、金星はよく見える星ですが、水星はなかなか見るのが難しい星です。
地球から見たとき、あまりに太陽に近いところにあるので、明るさが太陽に負けてしまいなかなか見られません。
「太陽が沈んでいるけど、水星が沈んでいないとき」がチャンスということになります。
しかし、水星と太陽が一番離れて見えるときでもすごく短い時間(1時間程度)しかありません。
さらに、すごく低い所に見えるので、分厚い大気の層を見通さなければなりません。
そういうわけで水星を見るのはかなり難しいです。
天文ファンの中でも水星を見たことがない人は珍しくありません。

参考

もっと詳しく知りたい方は日本天文学会の「天文学辞典」がおすすめです。
本シリーズ「宇宙の入り口」では「天文学辞典」で小学生レベルに指定されている用語をメインで紹介していきます。

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