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寝たきりの人でも働ける、繋がれる。分身ロボットカフェDAWNに行ってきた

OriHimeロボットを知っていますか?
私がこの存在を知ったのは5年くらい前、ある展示会場で。「コレがあれば、寝たきりの人や登校拒否児なんかも家に居ながらにして、仲間と一緒に勉強したり過ごすことができるんです」という解説を聞いて、めちゃくちゃ感動した記憶があります。そしてついに、彼らは家に居ながらにして働くことができるように! 最高にやさしいカフェDAWNができた。

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↑左手前が受付コンシェルジュ。床のラインに沿って配膳係のOriHimeは移動する。おでこあたりがカメラになっていて、彼らはそこに映る映像を家に居ながらにして見ている。

ココで働いているのは、ALS(筋ジストロフィー)など難病の人たちが多いのだそう。彼らは実際にはココにいない。自宅にいて、場合によってはベッドで横になっていたりする。テクノロジーの進化で、彼らはPCなどを操作しながら遠隔で私たちと対話をし、注文を取ったり運んだりといった接客もしている。

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↑ドリンクをこぼさずに運べるように設定されたトレー。彼らの働き方は個人差があり、毎日のようにシフトを入れる人や数時間だけの人など。通常のバイトシフトなどと同じようなものだ。

OriHimeロボットは入り口と各テーブルにそれぞれ配置されており、あとはドリンクを運ぶOriHimeは厨房からテーブルまでを移動している。レストラン以外に物販コーナーもあり、そこでもOriHimeが数台設置されていた。それぞれのOriHimeは、シフト制で担当が決まるようになっているのだそう。

私たちは入り口で常駐スタッフにテーブルに案内されるのだが、その時に横にいる受付嬢?コンシェルジュ?のOriHimeとおしゃべりを楽しむ♪ 受付担当を任されるだけあってか、とてもおしゃべりが上手。

レストランのテーブル席には接客担当がつくセレブ待遇♪

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↑私のテーブル担当者は元自衛隊で働いていたのだとか。自衛隊の知り合いはほとんどいないので、面白かったー。

テーブルに座ると、OriHimeを通じて、担当者に注文をする。間もなく、ドリンクを移動型OriHimeが運んできてくれる。料理は常駐スタッフだ。待ち時間はテーブルのOriHimeと雑談。ご自身の話はもちろん、メニュー説明、人気メニューの話などしっかり接客対応もしてくれる。

私のテーブル担当者は山形の方だったので、ちょうどさくらんぼシーズンの終わりごろだったため、佐藤錦の話をしたら「今年はあまり獲れなかったんですよ」と教えてくれた! 情報ツウ!!

ロボットと言っても、まったく違和感なく会話ができる。ついつい取材モードのスイッチが入ってしまい、アレコレ質問攻めしてしまったw

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↑ヘルシーな塩麹漬けマグロのポキライスプレート。こちらにドリンクがついて2500円。美味しかったですよ〜。

働ける喜び、つながる楽しさ、仲間に出会えた心強さ

彼らは、働くことで「ありがとう」と言ってもらえること、いろんな人と繋がれること、似た境遇の仲間と出会えたこと、それらがとても嬉しいと言っていた。
私たちと何ら変わらない。私たちが当たり前にできることがなかなか実現できずにいただけなんだってことがよくわかった。

そんなOriHimeを開発したのが吉藤オリィ(健太朗)さん。自身は引きこもりで不登校な時期を過ごした経験があるのだそう。その時に感じた孤独をなくしたいという思いで、高校生の時からさまざまな開発を行なっていたのだという。

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「孤独の解消」を人生のテーマにし、どんな人にも「選択肢を増やす」ことを目指している彼の著書『サイボーグ時代』。ぜひ手にとって欲しい1冊。

誰一人取り残さず、孤独を解消していくために

彼がどうしてこのビジネスを行なっているのかは、著書を読むとよくわかる。この本に書かれていた彼の考え方がめちゃくちゃ好き。

障害とは、自分がやりたいと思ったことを妨げるハードルのこと。
誰にとってもある。
できないことをゼロにするより、困ることをゼロにする。
できないことは誰にだってある。
なりたいじゃなくてやりたいを目指す。
なれるかどうかはわからないけど、やりたいことはたいていできる。

彼は多くの障害者の方達と付き合い、その中でいくつもの死を経験したという。だからこそ、逃げずに死と向き合い、生きている今を大事にしているのだと言う。

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↑店内はグリーンが多く演出されていて、とてもリラックスできる空間。予約制のレストラン以外にも、カフェはいつでも利用できる。

SDGsでは「誰1人取り残さない」という考え方に基づいている。このカフェを訪れて、彼の本を読んで、改めてこの言葉を噛み締めた。

私たちは障害のある方を、自分たちとは違う人たちとして見ていないだろうか? でも、私たちはそもそも同じ人間なんて1人もいない全員が違う存在なんだ。
たまたま生まれた土地や家庭、体の状態に違いがあっただけ。そんな偶然の上にあぐらをかいて、それを当たり前のように享受しているなんて、やっぱり何かがおかしい気がする。自分の努力ではないところで優っていたって、それがどーした?って感じ。

私たちは人生の時間を使って何をするのか?
この地球上に生まれたことの意味をどう記すのか?

一人一人が考え、行動すれば世界は変わる! 自分にできる小さな一歩がいずれ世界を変える大きな変化になるかもしれない。そう考えて行動するようにできたら、もっともっとやさしい社会になる。

SDGsゲームで学んで、楽しく交流するワークショップ

9月4日(土)15時〜@日本橋CONNECT
多くの学校や企業研修でも取り入れられている2030SDGsゲームを体験しませんか? 
ビジネスにどう活用するのか? 暮らしの中で私たちにできることは?
などを対話を通して学んでいきます。室内BBQをしながらの懇親会も開催!

YoutubeでもSDGsに関する情報を発信中。ぜひチェックして下さい。


下町の2D&3D編集者。メディアと場作りのプロデューサーとして活動。ワークショップデザイナー&ファシリテーター。世界中の笑顔を増やして、ダイバーシティの実現を目指します!