9/10 子うさぎの名付け親になった
昨夜は三原市で地域おこし協力隊として活動し、
今年の8月に退任したばかりの方がやられているゲストハウスに
宿泊をした。
9日の朝完成したばかりだという出来たてほやほやの一軒家。
木の香りで満たされていて、安心できる場所だった。
宿泊者第1号は全部で6人。
静かな山に囲まれた穏やかな場所で柴犬とヤギと子うさぎがいた。
子うさぎは生まれてまだ1週間かそこらという感じで、レモンと書かれた
段ボールの中にいた。
干し草はまだ食べられた形跡がなく、持ってみると驚くほど軽くて小さかった。とくとくと心臓が動くのが手のひらに伝わってきて、じんわりとした
温もりが広がった。
レモンの箱に入っていたからレモンちゃんとひねりも何もない
単純な名前で呼んでみたら、その場にいた全員が賛成してくれた。
夜遅くまで話し込み、初対面とは思えないほど打ち解けた。
悩み事や恋愛トークなど、新しい知識を得ることもできた。
移住してから2か月。同志と呼べる存在がいなかったわたしは
同じ中国地方で頑張る仲間を得た。
またここに集まろうということになって、半年後に成果をここで
語り合うのがすごく楽しみだ。
次の日の朝は日も明けやらぬ頃から近所のおじちゃんの草刈り機の
低音が響き、ひんやりとした山の空気が心地よかった。
犬のヤマトの散歩に行き、ヤギのつくしが畑の草を食べるのを眺める。
ゲストハウスのオーナーは、いつかこの畑で育てた野菜を食事で
出したい。水も近くの井戸水を使って生活できるようにしたいと夢を
語ってくれた。動物と生きることで、会話以外の方法でコミュニケーションをとることもやっていきたいと言っていた。
ぼんやりとそんな話を聞きながら、わたしもそんな暮らしに憧れたことも
あったなと思った。
日々の暮らしに必死で、目の前の事を片付けるのに一生懸命で、
自分がどう在りたいかを考える時間をしばらく取れていなかった。
色んな人の生き方に触れて、自分がどう在りたいかをもう一度
考え直したいと今回の研修で思った。
後日、レモンちゃんが亡くなったと連絡があった。
与えた子猫用のミルクがいけなかったのかもしれないし、
わたしたちが触ってしまったのが小さな体にはストレスだった
のかもしれない。
命の儚さと、母親の存在の大切さ、野生の生き物が生き残ることの
厳しさを感じた。
人間がどれだけ恵まれた環境で生きているのかということも。
レモンちゃんの成長を見ることはもう叶わないけれど、
恵まれたわたしはこれから何をして、どこで生きていくのか
レモンちゃんの分までしっかり生きていこうと思った朝だった。