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必ず昇格する。その思いに懸け、ここに来た。DF小田島怜【Voice】

今年8月、J3のSC相模原から加入したDF小田島怜選手の登場です。シーズン途中の移籍にも関わらず、巧みな守備でチームに適応。今やDF陣に欠かすことのできない存在となった「オダジ」に、お話をうかがいます。

▼プロフィール
おだじま・りょう
1996年生まれ。東京ヴェルディユース→桐蔭横浜大→SC相模原
2020年いわきFC入団

■移籍を決意し、2日後にはいわきへ。

今年8月、J3のSC相模原からいわきFCへの移籍が決まった時は、どのような状況だったのでしょうか。

「5月に膝のケガから復帰し、試合でプレーできる状態に戻ったところでした。すでにJ3のリーグ戦は再開されていたものの、チーム事情でベンチ入りは難しい状況にありました。

移籍の話をいただいたのは、そんなタイミングでした。もともとアナリストの村上(佑太)が桐蔭横浜大の同級生で、彼を通じて連絡をもらいました。J3からJFLへ。プレーするカテゴリーが下がることは多少気になりましたが、ほぼ即決でしたね」

SC相模原時代は実家(東京都多摩市)住まい。とりあえず生活できるだけの荷物をまとめ、移籍が決まった2日後にはチームに合流。JFL第18節・FCマルヤス岡崎戦のわずか3日前のことでした。そして、すぐさま3バックの中央でマルヤス戦に先発出場。2対0の完封勝利に貢献し、チームは貴重なアウェーの勝ち点3を得ることができました。

「SC相模原は今年4バック。相手DFの裏にロングボールを蹴ることが多く、DFラインはそれほど上げない。でもいわきFCは3バックが基本で、DFラインの位置取りはめちゃくちゃ高いし、DFも積極的に前に出る。サッカーがぜんぜん違うので、適応するのが大変でした。

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しかもあの日はまだ、チームメイトの名前すら覚え切れていない状態(笑)。とりあえずDFラインとボランチの選手の名前だけは頭に入れて、試合に臨みました。

ただ、試合勘は問題ありませんでした。公式戦でプレーするのは久しぶりでしたが、相模原でトレーニングマッチに出ていたので、緊張も特になかったです」

■引きずり続けたヴェルディへの思い。

小田島選手はかつて、東京ヴェルディジュニアユース~ユースでプレーしていました。ジュニアユース時代からセンターバックでプレーし、将来はヴェルディでプロ選手になることを夢見ていました。

「ユース時代は高校1年生のころから試合に出ていて、チームからは『このまま行けばトップチームに上がれる』と言われていました。

でも結局、それはかないませんでした。悲しかったですね。

トップチームに昇格するつもりでいたので、大学進学は考えていませんでした。でも『自分にはこれしかない。卒業したらプロでやっていく。大学で頑張ってヴェルディに戻ろう』と、気持ちを切り替えました。サッカーを辞めるという選択肢だけはありませんでした」

桐蔭横浜大時代、チームは華々しい成績を残すことこそなかったものの、小田島選手は3年生からリーグ戦に出場して活躍しました。その傍らでヴェルディへの思いを持ち続け、大学4年間、夏に練習参加。卒業したらヴェルディの選手になることを目指していましたが、またしても夢は遠のいていきます。

「大学4年の12月に『獲得は難しい』と言われてしまいました。この時は落ち込みました。しかも、他に決まっているチームもない。今後どうしようかと途方に暮れていたら、11月の練習試合で目をつけて下さっていたSC相模原からオファーをいただきました」

前向きな心で挫折を乗り越えていった小田島選手。SC相模原では持ち味のカバーリングと正確なパスでポジションをつかみ、1年目の春から計14試合に出場。しかし、ここで不運に見舞われてしまいます。

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「夏に膝の前十字靭帯を負傷してしまいました。J3でやっていける感触をつかんだ矢先のケガだったので、ショックでしたね」

たび重なる挫折。でも、落ち込んだのはケガをした時だけ。『ここでは終わらない』と思い直し、手術を受けてリハビリに取り組みました。苦しい日々を経て、8カ月後に完全復帰。そして新天地・いわきFCへとやって来たのでした。

■周りの選手をもっと引っ張っていきたい。

FCマルヤス岡崎戦以降、小田島選手は第23節の鈴鹿ポイントゲッターズ戦を除くリーグ戦全試合に先発出場。今や立派なDFの中心選手となっています。

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「フィジカルはほぼ負傷前の状態に戻りましたが、まだまだ課題は多い。僕はセンターバックとしては、決して身体が大きいわけではありません。だからこそ、もっとパワーをつけたい。今までほとんど筋トレをしてこなかったので、しっかり取り組みたいですね。

わかってはいましたが、いわきFCのトレーニングはかなりきつい。他の選手と比べてまだまだ筋力が足りないので、頑張らなくてはいけません。ただし膝のケガから復帰して日が浅いので、焦らずにやっていこうと思います」

もう一つの課題が、リーダーシップ。周囲の選手に積極的に声をかけ、コミュニケーションをより深めていくつもりです。

「相模原にはベテラン選手が多く、若手扱いされていたので、率先してリーダーシップを発揮する必要がありませんでした。でも、今は違う。DF陣の層は薄く、自分より少し前に加入した黒宮渉など若い選手も多いですから。

自分は今、24歳。あらためて気づいたのですが、いわきFCではどちらかというと年上の方なんですよね…。周りの選手をもっと引っ張っていかないとダメ。そこはもう少し頑張ります」

■昇格できたら、ステップアップのチャンスは確実に増える。

チームは第26節のHonda FC戦を終え、4勝2分け5敗で11位。目標とするJ3昇格への道のりは、険しいものになっています。

「これまでの試合で印象に残っているのが、FC大阪戦。僕は前半で交代しましたが、チームはいい勝ち方ができたと思います。あの試合のように自分達のサッカーができれば、負けることは決してない。

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ただし、守備にはまだまだ課題があります。裏へのボールの対応やセカンドボールのピックアップ、サイドからのクロスに対するマークやペナルティエリアでのポジショニングなど、課題をしっかりと解消して、勝ちにつなげていきたいですね」

たび重なる挫折を乗り越え、JFLの舞台で戦う小田島選手。ここまでのリーグ戦で、J3とJFLのさまざまな違いを感じたそうです。その上で、今後についてこう語ります。

「J3にはつなぐサッカーをするチームが多いですが、JFLの場合、多くのチームは裏にロングボールを蹴ってくる。見て面白いサッカーよりも、結果を求める傾向がありますね。

正直な話、J3とJFLでは注目度が違う。J3に昇格できたら、今よりずっと多くの人が見てくれます。世間の目に触れる機会が増えますし、試合にはJクラブのスカウトもたくさん来る。当然、個人的なステップアップの可能性は増えるはずです。

いわきFCだったら、きっと来年J3に上がれる。その思いに懸けて、僕はここに来ました。チームとしても個人としても、最後まで諦めずに戦って昇格して、Jリーグの舞台で戦いたい。そして、いつかヴェルディに戻る可能性が生まれた時、そのチャンスをつかめたらいいですね」

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■小田島選手をもっとよく知る4つのQ&A                                                Q1:移籍して、いわきFCの環境についてどう感じますか?
A1:めちゃめちゃいいです。きれいなクラブハウスがあって筋トレもできる。一人暮らしは初めてなので、練習後に食事を出してもらえるのも助かります。SC相模原時代は実家住まいで、食事は親が作ってくれていたんですよ。いわきFCに来て本当によかったです。

Q2:仲のいい選手は誰ですか?
A2:MF前田尚輝選手やGK白岡ティモシィ選手です。時々、一緒にご飯に行きます。

Q3:東京からいわきに来ましたが、街の印象はいかがですか?
A3:建物が低いですね(笑)。来たばかりのころは、休みの日に何をしていいのかわかりませんでした。東京に住んでいたころはダーツやビリヤード、ボウリングなどによく行っていたので、こっちでも探してみようと思います。

Q4:彼女はいますか?
A4:いないです。好きなタイプは、芸能人で言うと永野芽郁です。



▼小田島選手のプロフィールはこちら

次回はいわきFC在籍4年目の頼れる守護神・GK坂田大樹選手の登場です。お楽しみに!



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