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グリーンフィールドを満員にしたい【ROOM -いわきFC社長・大倉智の論説】

いわきFCを運営する株式会社いわきスポーツクラブ代表取締役・大倉智のコラム。今回は2023年シーズンのここまでをレビューし、残り4試合のホームゲームについて語ります。


■J2は簡単ではない。

2023年シーズンもいよいよ残り7試合となった。今、試合を重ねるごとに、お客様の熱量の高まりを感じる。選手達はそれに応じるように、必死で戦っている。

あらためてシーズンを振り返ると、今年は本当にいろいろなことがあった。

負傷者の多さから、チームは開幕から春にかけて思うように勝てず「らしさのない」試合を続けていた。これはJ2に上がった時点で、ある程度わかっていた。

J2ではそう簡単に勝てないし、負けが込み、心配や批判の声が上がることも想定内。なぜなら、プロスポーツの興行とはそういうものだからだ。

でも、ファンの皆さんの心には、創設8年目にして初めて"モヤモヤ感"が生まれたに違いない。

我々が目指すのは、スポーツで社会価値を創造すること。地域の皆さんの心に寄り添い、浜通りの光となること。「魂の息吹くフットボール」で熱狂空間を作り上げること。だから、勝ち負けや昇格・降格がすべてではない。

そんな理念をファンの方々と共有し、ここまでぶれずにやってきた。それを理解し、勝てないチームを批判したい気持ちを押し殺してきた方も多いことだろう。

だからこそ、皆さんの思いに応えたかった。だからこそ、断腸の思いで監督の交代に踏み切った。

その後、負傷者の復帰、新戦力の台頭、そして田村雄三監督の就任を経て、チームは持ち前の躍動感を取り戻すことができた。

ただし、J2は簡単ではない。

第33節のファジアーノ岡山戦、第34節の徳島ヴォルティス戦、そして第35節のザスパクサツ群馬戦と、チームは田村監督体制になって初めて連敗を喫した。試合内容にはさまざまな想いがあるが、後ろを向いている時間はない。受け入れて前に進むだけだ。

第35節終了時点で勝ち点37の19位。残り7節、選手達は自分に矢印を向け、日々研鑽を重ねている。

■組織としてもっとレベルアップせねばならない。

一方、興行面ではどうだろうか。今年は「初めて尽くし」のシーズンだった。

まず、ホームゲームという4000名規模の興行を、年21回も打てるようになった。これは大きな成長だ。しかも7月下旬のジュビロ磐田戦では、5000名を超えるお客様に来場いただき、初めての満員を経験できた。

まだまだ足元にも及ばないが、夏のナイトゲームを「いわき七夕まつり」や「いわき花火大会」に続く、地域の皆さんが集うイベントに育てていきたい。そのためにも来年、例えば「金曜ナイター」なんてどうだろう?

そんなことを考えられるようにもなった。

今年は、多くのアウェーチームのファンの皆様が来てくださっている。ここ浜通りはかつて震災があった時、原発事故の影響もあって避けられてきたゾーンだ。そこに遠くから来てくださり、試合を楽しみ、名物に舌鼓を打ち、浜通りを満喫してくれていることを喜ばしく思う。シーシャルメディアなどでよく目にするサポーターの皆さんの「感謝」という表現が最近はよく理解できるようになった。

また、いわきFCが理由になって帰省する人が増えた、という話も聞く。

「ここはいい所だけど、何かが足りない」

そう考えて浜通りを後にした人達が、この土地に戻って来るきっかけを作れたとすれば、光栄極まりない。それもまた、スポーツの大きな力だ。

しかしその一方、こちらの体制がファンの皆さんの熱に追いついていないのも確かだ。

4000~5000名規模のホームゲームを開催したことで、初めてわかったことも多い。例えばスタジアム内の通信障害や車イス席の不便さ、熱中症のお客様への対応など。J2という注目度の高いカテゴリーに昇格したことで、昨年まで見えなかった課題が一気に顕在化してきた。そんな印象である。

生じた問題はできるだけ早く解決することを心がけている。私自身もソーシャルメディアに頻繁に目を通し、少数のご意見も含めて迅速に対応してきたつもりだ。

ただし設備面など、早急にどうにかできないことも多い。今すぐにすべてを解決することは難しい。

そのように未熟な我々を温かく見守ってくださっているファンの皆さんには、感謝の気持ちしかない。皆さんの熱に負けないよう、我々も組織としてもっとレベルアップせねばならない。

そう痛感させられている。

■ぜひスタジアムへ。選手達にさらなるパワーを。

2023年のホームゲームは、いよいよ残り4試合となった。

今年の集客目標は1試合平均3500人。それに対して、第33節までの平均入場者数は3196人。

残り4試合で平均3500人を達成するために、何をすべきか。まずはこの先の集客について、我々はこのような目標を立てた。

・9/23 第36節 vsツエーゲン金沢:4200人
・10/8 第38節 vsベガルタ仙台:5000人
・10/21 第39節 vs清水エスパルス戦:5000人
・11/4 第41節 vsモンテディオ山形戦:5000人

今年の目標である1試合平均3500人を達成するためには、上記の数字は最低ラインとなる。まだまだ未熟な数字だが、未来に向けて残り4試合、何が何でもこの目標を達成したい。

「グリーンフィールドを満員にしよう」

そんな合言葉のもと、ファンの皆さんと一体となって目標を達成したいと思っている。

ここから4試合の対戦相手のうち、金沢・清水・山形の3チームは前期に手痛い負けを喫した相手だ。そして仙台、山形の2チームは同じ東北勢。相手に不足はない。

満員のグリーンフィールドが醸す空気は、間違いなく選手達の闘志に火をつける。彼らが必ずや最後の最後まで止まらず、倒れずに走り続け、「魂の息吹くフットボール」を体現することをお約束する。そして最後、みんなで笑ってシーズンを終えたい。

だから皆さん、あと4試合、ぜひスタジアムに来てください。選手達に熱い声援を送り、いわきFCにさらなるパワーを与えてください。

グリーンフィールドを満員に。

どうぞよろしくお願いいたします。

(終わり)


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