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2017ジャズアルバムベスト5(ジャズ批評、2018.3)

【1】チャールス・ロイド /Passin’Thru /ユニバーサル /UCCQ-1071 /2016 /CD
【2】アヴィシャイ・コーエン /1970 /ソニー /SICJ223 /2017 /CD
【3】BIG YUKI/REACHING FOR CHIRON /ユニバーサル /UCCU-1559 /2017 /CD
【4】 クリスチャン・スコット/ルーラー・レベル /AGATE /AGIPi-3596 / 2016/CD
【5】 三宅純/Lost Memory Theatre –act3- /P-VINE /PCD-26069 /2017? /CD
 
間もなく80歳を迎えるサックスの巨人が発表した①は鮮烈。王道のソロプレイからフリージャズのような思索的表現、最先端ジャズに通じる精緻なフレーズまで、実に様々な顔を見せる。
②はイスラエル・ジャズをけん引するベーシストのヴォーカル作品。アラブやアフリカの音楽、クラシックなど様々な要素を内包した音楽は、混迷を深める今の世界でこそ聴く価値がある。
③はニューヨークのジャズミュージシャン、ヒップホップアーティストから称賛される日本人キーボード奏者。ジャンル分け不可能な音楽はクールで近未来的、かつ複眼的。規格外のスケールだ。ニューオーリンズ出身の新鋭トランぺッターによる
④も、近年のジャズの多様性を感じさせる一枚。アフリカン・ドラムやタンバリンを駆使した民族的なリズムと機械的打ち込み音が混在し、そこに意外なほどリリカルなトランペットの音色が美しく重なる。
⑤は2016年リオ五輪の閉会式で君が代のアレンジを担当した音楽家が、「失われた記憶が流れ込む劇場」をテーマにした3部作の完結盤。ジャズトランぺッターとして出発し、あらゆる分野の音楽や時代の空気を吸い込んできた彼の記憶をたどる旅は常に刺激的。

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