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文化人物録17(小澤征爾)

→日本が世界に誇る大指揮者。病気発覚以降は指揮台に立つ回数が激減し、特にコロナ以降は体調面への配慮もあって表に出ることはかなり少なくなった。しかしそれでも、数年前までは自身が長野県松本市で毎年主宰する「セイジ・オザワ松本フェスティバル」を中心に、短時間ながら指揮活動をやっていた。僕は近年の小澤さんの演奏はわりと聴いてきたし、仕事柄ご本人の話を間近で聞く機会もあった。
小澤さんのすごいところは、なんと言っても人間性と包容力。師であるカラヤンやバーンスタインのほか、リッカルドムーティ、シャルルデュトワ、ファビオルイージ、サイモンラトル、ズービンメータ、マルタアルゲリッチら世界の一流音楽家が小澤さんとの縁で日本と深く関わるようになっているからだ。
そして、師である斎藤秀雄の功績をたたえて秋山和慶とともに創設したサイトウ・キネン・オーケストラは、非常設ながら世界屈指のオーケストラとして国内外で認知されている。特にこのオケは、小澤さんが指揮せずにその場にいるだけでも音が大きく変わる。そして、演奏が終わればすさまじいスタンディングオベーションの嵐。こういう瞬間をなん度も目撃した。この事実こそ音楽家はもちろん、万人から慕われている証。まさに究極の「人たらし」である。

・皆さんどうもありがとう(2015年9月、自身の80歳を祝うコンサート、セイジ・オザワ松本フェスティバル)

・(Jシュトラウス2世のオペレッタこうもりは)リズムは気軽だが深い音楽性に支えられている。評判になるものを作りたい(2015年、小澤征爾音楽塾オペラ制作発表)

・この楽団は指揮なしでも演奏できる実力がある(2017年、水戸室内管弦楽団リハーサルにて)

・僕にとって次世代の音楽家は宝。子供が面白がってもらえる音楽をやるのが一番いい(2019年、セイジ・オザワ松本フェスティバル)

・ソ連に 留学に向かう前、ビニールの河童の人形を手渡された。小澤征爾さんからだという。道中寂しくならないようにという、小澤さんらしいユーモアたっぷりの餞別だった。(バイオリニストの前橋汀子さん)

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