見出し画像

ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』を読んで

 アメリカが何をしてきたのか知らずにいたので、この本の内容を事実と受けとめ、読んでショックに感じたのと同時に、アメリカの影響を受けた英国の女性首相に感じていた憧れが無くなり、ネオコン者として挙げられていたチェイニー、ラムズフェルド、シュルツ、ジャクソン、キッシンジャーの名前を見て改めて納得した。そして、もしかしたら戦後の日本に来たアメリカにより、日本もそうなっていたかもしれないし、実際そうなっているかもしれないと思った。
 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン~惨事便乗型資本主義の正体を暴く 』は2011年に岩波書店から出版された本で上下2冊ある。著者は研究者ではなく、ジャーナリスト・作家。サブタイトルにあるように自然災害や戦争といった惨事があった時に、公共領域に新自由主義が介入してくるとはどういうことかを書いたものである。  
 ショック・ドクトリンとは「災害処理がまたとない市場介入のチャンスで公共領域にいっせいに群がる襲撃的行為」のことで、このモチーフがこの本を通じて出てくる。下巻p556「破壊と再建の両方におけるありとあらゆる任務が外部に委託され、民営化された結果、攻撃を開始しても、停止しても、そしてまた爆撃を再開しても、あらゆる局面で経済は活性化することになるのだ。壊しては新たに造るー破壊と再建が作り出す収益の回路がここにある」がわかりやすい表現であろう。新自由主義とは「国家による福祉・公共サービスの縮小(小さな政府、民営化)と、大幅な規制緩和、市場原理主義の重 視を特徴とする経済思想(注)」であり、これは社会的弱者にとっては社会的地位の格差を広げるもののように見える。
 また、惨事におけるコーポラティズムは政府の行動=企業利益に加担するということが書かれており、現在の日本のさまざまなところで感じるところである。この本に書かれていたことを日本に反射させて考えたい。847字(20231203)


(注)新自由主義|経営コラム・レポート|日本総研 (jri.co.jp)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?