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私の就活回想記

※最後の部分を除いて無料で読めます。

楽しかった学生時代。しかし……。

私が4年制大学に通っていたのは、平成19年から平成23年までの期間でした(わけあって、現役から2年遅れ……)。日本大学の史学科に入学し、単位取得に苦労したものはありましたが、無事4年間で卒業できました。
この4年間は私にとってとても充実した期間でした。気の合う友人と旅行に出かけたり、大学図書館に篭ったり、キャンパスで一人ぼーっとしたり。何より、自分が好きな「歴史」を専門的に学べたこともとても大きかったといえます。就職のために大学に行く人も多いと思いますが(もちろん現代の社会でそれはやむを得ないことです)、私は「学問」ができた大学時代を楽しく回想できます。
ただひとつ、「就職活動」を除いては……。

今も思い出す

就職活動を本格的に始めたのは、確か平成22年、つまり大学3年のころからだったと思います。ただし、早い人は2年ぐらいから色々と情報を集めており、私ですら就活イベント(?)に行った記憶があります。
それから、本格的に就活が始まると、まさしく「就活漬け」の日々が続きました。面接時の細かいマナー講座、志望する業界や会社の分析や対策、会社説明会への参加、エントリーシートや履歴書の作成、そして入社試験…。一体、どれぐらいの会社に履歴書を送ったのか、覚えていません。私の周囲では、50社ぐらいという人も珍しくなく、その時見ていたニュース番組では100社という人もいたと思います。
履歴書などは、ほとんど全部が手書きだったと思います。考えても見てください。履歴書やエントリーシートは丁寧に書かなくてはいけません。それも、鉛筆やシャープペンではなく、ボールペンです。修正液なんか当然使えません。印鑑を押す際もまっすぐ、はっきり見えるように押します。神経を尖らせて仕上げまでいき、最後の一文字を間違えたらもう一度書き直しです。それを✖️数十枚です。書き上げたら、これも丁寧に写した証明写真を慎重に貼ります。
書き上げたら、今度は郵送です。1通2通ならともかく、数十通となれば大学生には馬鹿にできない金額になります。
こうして履歴書やエントリーシートを書いている間にも、様々な就活イベントや情報が入ってきます。登録している就活サイト、大学はもちろん、テレビのニュースでも就活の情報が流れてきます。
私が就活をしていた時期は、新卒の就職率はかなり悪化していました。そうした話は、ニュースでしょっちゅう流れてきました。

上記内閣府のグラフを見ると、いわゆる「就職氷河期」ほどではないにしろ、私の世代が就活をしていた期間はかなり悪かったのがお分かりいただけると思います。

面接

人気のある会社の中には、「会社説明会に参加することが選考の条件」というところもありました。「〇〇月〇〇日〇〇時から説明会受付開始」という風に始まって、あっという間に席が埋まってしまうのです。アーティストのチケット争奪戦じゃあるまいし…。
なんとか書類選考を通過すると、今度は面接です。これがまたキツイ。
真夏の35°を超えるような気温の日でも、スーツにネクタイを締め、会社を訪問します。呼び出された時の返事の仕方、ノックの回数、お辞儀の角度、椅子に座るタイミング…。こういう細かな所作も細部まで練習しました。
面接が始まると、これも練習した通りに「志望動機」をできるだけ綺麗にしゃべります。複数人で面接を受ける際は、他の人がしゃべっている時の顔の向きや目線も気にしなければなりません。
この「志望動機」はかなり苦労しました。何十社も受ける以上、当然ながら「本命ではない会社」がたくさん含まれます。「滑り止めです」「何となくです」なんて言っていいわけがありません。会社のことを調べ、何とか理由を捻り出すのです。

この「志望動機」ですが、果たして必要でしょうか?会社側も、学生が何十社と受けていることは知っているはずです。その中で、志望動機を聞いて「この学生は本当に弊社を希望しているに違いない」と見抜けるものなのでしょうか?これがなくなれば、少なくとも学生側の負担は少し軽くなると思うのですが。

面接ですが、たまに「圧迫面接」というものもあります。面接官が威圧的な態度で学生を面接し、厳し目の質問を浴びせるのです。私も、一度だけですがこの圧迫面接を受けたことがありました。
しかもこの面接を受けた会社、さして入社したいわけでもありませんでした。
だからといって、緊張している学生側が「別にあなたの会社が第一志望じゃありません」なんて言って席を立つことなんてできるわけがありません。就職率が悪い時期ですし、なんとか縋りつこうと必死です。また、「〇〇大学の学生」と見られている以上、後輩や他の学生にまで悪いイメージがついてはいけないという強迫観念もありました。大して入社したくもない会社の、それも圧迫面接であっても緊張しながら丁寧に答えなければなりませんでした。圧迫面接も、必要性がよくわかりません。
就活で、一体どれぐらいの時間が削られたでしょうか。大学で過ごす貴重な時間、私にとっては中学校や高校より充実しており、有意義な日々でした。正直、就活にかかった時間と労力が半分ぐらいになれば、もっと色々な経験ができたと思っています。苦労した経験も時が経てば懐かしい思い出に変わる、といいますが、少なくとも私にとって就活はうだるような真夏の日にスーツを着てネクタイを締め、汗をダラダラかきながら、丁寧に頭を下げて結果「ご活躍をお祈りします」のメールで終わった「痛み」として残っているだけです。

ところで……。

私が就活をしていたのは、ちょうど民主党政権期でした。それに関して、以前こんなツイートをしたことがあります。

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