一気見のススメ#4 「ウエストワールド」 メタバースの、さらにその次
インプットのための一気見(binge watching)のススメ #4
「ウエストワールド」~メタバースの、さらにその次
今回は、ゲームないしデジタルエンタメの未来を考えるうえで、割とダイレクトな示唆のあったドラマ「ウエストワールド」(原題:WESTWORLD)をオススメしていきます。
これ、そもそも中心的な題材となっているのが、近未来のエンターテイメント。カテゴリでいえば「テーマパーク」なんですが、「未来のゲーム」といったほうが本質に近いと思っています。
じゃあどこらへんが未来のゲームかというと……いや、今や定番の「VRMMO」ではないですよ。VR含むxRゲームや「メタバース」の延長線上ではあるかもしれないけど、「先」といっても過言ではない"ゲーム"が、本ドラマの舞台なんです。
ともあれ、いつものようにザックリ紹介から。
なんでもありの
ダークな体験型テーマパークへ、ようこそ。
アンドロイド vs 人間
彼らの逆襲が今、始まる!!
(ワーナー ブラザース ジャパン「ウエストワールド」ページより引用)
「ゲーム・オブ・スローンズ」で一躍ナンバーワンドラマメーカーとなったHBOが、同作に続く(予算的な意味でも)"超大作"として大々的に宣伝、公開したドラマ。
製作総指揮にはJ・J・エイブラムズとジョナサン・ノーランが名前を連ねてます。きっちりエミー賞も(やや地味な賞ばかりとはいえ)シーズン1で5部門、シーズン2でも4部門受賞しており、ちょうど先日終わったばかりのシーズン3にも期待が集まります。
すごいけど……上のキャッチコピーを見てげんなりした人もいるかもしれない。
コンピュータ(AI/アンドロイド)の逆襲、どんだけ見させるんだ、と。
まぁAI進化がめざましい昨今、ついこのテーマでお話作りたくなっちゃうのも分かるんですけどね。
大まかなストーリーラインはまぁ、アンドロイドが多数配置されているテーマパークを舞台に、そのアンドロイドたちが逆襲するって話ですが、一般的な意味での本作の魅力は、その(ハンパない予算がつぎ込まれた)映像的なすごさと、ミステリ的に散りばめられた数々の謎。時間軸もバラバラにしていてやや分かりづらい部分もありますが、その手のドラマに慣れている方なら、普通に楽しめると思います。
■オススメポイント
本作は特にゲーム業界人にオススメで、その理由は……冒頭で言っちゃってますね。本作は、メタバースやxR時代のさらに先、未来のゲームを考えるうえで、いろいろと示唆に富んでるんです。
たとえば、本作にはこんなシーンが出てきます。
・(ゲーム業界人ならさんざん聞いた元バズワード)「ナラティブ」について開発者達が真面目に語っている
・開発スタッフと運営スタッフの仲が悪い(近未来でもそこは変わらないらしい)
・KPIを分析し、必要に応じてストーリーや展開に修正を加えている
業界人なら⇧これ見たら、本作で描かれている"ゲーム"が今のオンラインゲームの延長線上にあることが分かりますよね。
でもこれ、最初に書いたようにテーマパーク……リアルな「場所」の話なんですよね。
VRでの体験は、「しょせん」バーチャル。
しかし、このテーマパーク『WESTWORLD』での体験は、自分の肉体での体験なわけです。
"客"以外の人物・大型動物(つまりNPC)はすべてアンドロイドであり、彼らと殴り合ったり、銃で撃ち合ったり、楽しく会話したり、ときには激しくエッチなことしたり……を、フィジカルに体験できる。
もちろんゲームなので「銃で撃ち合い」といっても、人間⇒アンドロイドだと通常の銃撃と同じような効果があるのに、アンドロイド⇒人間は無傷。
オープンワールドなRPG世界に、飛び込みたいという欲望を抱いたこと、ありますよね?
それができるのが、テーマパーク『WESTWORLD』なわけです。
そりゃもう、人間の欲望が丸出しになるってもんで(あんまり書くとネタバレになりますが、これも大事なテーマ)。
それをどうコントールしているか、あるいはしていないか~という部分を、筆者は一ゲーム業界人として、あれこれ考えながら楽しんだ次第です。
これから先、とにかく、なんでもかんでもデジタル上の仮想世界でできるようになるとして……その反動もどこかで来る、と考えてます。全部メタバース上でできるからこそ、リアルな体験に希少価値が出てくる。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」……つまり「ブレード・ランナー」の世界観で、本物の動物が高級品になっている感じ。
これが実現するときまで長生きしたいと思う次第です。
あー、大事なこと書き忘れていた。
本作、ゲーム・オブ・スローンズ以上に、人間(まぁ設定上はアンドロイドだけど)の裸体が出てきます。男女関係なく、まぁ、出してまくってます。
そろそろ家族揃って自宅待機、なんてご家庭は減ってくるかと思いますが、小さなお子様と一緒に見られないドラマという点、くれぐれもご注意ください。
原案 マイケル・クライトン
製作総指揮 J・J・エイブラムズ
ジョナサン・ノーラン
リサ・ジョイ
ジェリー・ワイントローブ
監督 ジョナサン・ノーラン
脚本 ジョナサン・ノーラン
リサ・ジョイ
※当記事の画像、情報は、ワーナー ブラザーズ ジャパンサイトからの引用となります https://warnerbros.co.jp/tv/westworld/
次回どうしようかな。
個人的にはこのコロナ禍の間、金庸原作の「射鵰英雄伝 レジェンド・オブ・ヒーロー」(全52話!)、「笑傲江湖 レジェンド・オブ・スウォーズマン」(全37話)を一気見するという無茶をやらかしてました。いやまぁ、すごく楽しめたんですが、原作読んでいることが前提の面白さな気がするので、いずれ原作を紹介することにします。
では次回は、史実を題材にしたドラマを……。