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過去からの使者

おい、お前の心に直接語りかけとるんやけど。

俺はキャベツ太郎や。俺のこと、忘れてないか。こどものころに食べてたんじゃないか。ソース味の、甘辛い、スナック菓子だぞ。食べると歯に青のりがついたままになるんだ。友達に指摘されて恥かいたこと、あるやろ、あんときはすまんかったな。あやまる。

最近俺のこと、食べてないやろ。大人になったから。大人はキャベツ太郎食べへんから。でも、ちょっと待て。酒は飲むようになったか。飲むのか。お前もいっちょまえに酒飲むようになったとはな。丸坊主でゲームばっかりやってたお前が酒か。平成も終わるわけやな。

新元号、何になると思うか。俺は知らん。なんでスナック菓子が日本の新しい元号のこと考えないかんのや。俺はただのスナック菓子だ。でも、なめたらいかんよ。なんで俺がオッサンになったお前の前に現れたか、分かるか。

分からんのか。ヒント出してやったのにな。酒や。酒。ワインとかも飲むんだろう。大人だからな。美味いよな、ワイン、白も赤も。その白ワインの話だよ。お前が俺のこと忘れて白ワインにうつつを抜かしとるから、重い腰あげてやってきたんだぞ。

いや、べつにワインを飲むな、といっているわけやないんだぞ。大人は酒がないとつらい日もある。こどものときにも色々と悩んでいたけど、大人になって、また別の悩みがあれこれ湧いてきて、酒を飲むんだろう。

その酒を、俺がさらに美味くしてやろうと言っているんだぞ。先日、コンビニに並んでいる俺の仲間が、ひとりの中年男性に買われていったんや。その男は、家に帰って、白ワインの栓を抜いた。どういうわけか、白ワインといっしょに、キャベツ太郎を食べてみよう、こう思ったわけだ。なんでかは知らん。

知らんけどな、男は感動にむせいだ。

「ワインの苦みに、ソースの甘辛さとサクサクの食感が絶妙に合う!」

男は叫んだ。もしかしたら、キャベツ太郎はこどもだけのものやない。酒のつまみとしての能力を兼ね備えているんやないか。そう気づいたんや、中年のオッサンは。

いいから食べてみろ。俺を。ワインと一緒に。びびるなよ。その組み合わせの妙にびびるなよ。俺を味わえ、久しぶりに味わい倒すんや。歯に青のりつけて、嫁さんに笑われるんや。いいか、今すぐコンビニかスーパーの菓子売り場に向かえ。そして俺を見つけ出せ。大人やからひと袋とは言わず、5袋ほど一気に買っても大丈夫やろ。わかったな、わかったら今すぐ走り出せ。


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