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新潟の改革は実現するか

高校野球がブラック部活動であることはすでに多くの人が知っていると思う。昨年の夏の甲子園も、伝統に則って、40℃に迫る炎天下の野外で開催され、試合中に数多くの選手が熱中症になった。

特に過酷な運動量を余儀なくされるのはチームの主役、エース投手だ。チームが強くて勝ち進めば勝ち進むほど酷使される、という皮肉な境遇が繰り返されており、なかには日常生活に困難を来すような障害を負う例もある。

以前にも書いたが、1990年~2018年までのあいだに夏の甲子園で700球以上投げた投手は11人いる。彼らのうちで、プロに入って活躍できたのは松坂大輔投手ただひとりしかいない。半数近くがその後故障している。

昨年一躍人気者になった秋田の吉田輝星投手も、甲子園本戦で878、予選も含めれば1500以上、という球数を投げた。これは危険な水準をとっくに超えている。

甲子園を主催する日本高等学校野球連盟(高野連)は、上のような状況をずっと容認してきた。いや、近年に至るまで、むしろ、そういう酷使を賛美してきたのだった。文字通り、死に物狂いの熱投を、高校生の青春の姿として称賛し、たくさんの才能ある投手を潰してきたのである。

さすがに最近は批判の声が高まり、高野連もいままでの運営を見直そうとしてはいるが、この組織はとにかく腰が重い。旧来の悪しき日本型官僚組織の典型だ。

昨年末、明るいニュースがあった。高野連の下部組織である新潟県高野連が、自身の主催する春季新潟県大会にて、投手の投球数を1試合あたり100球までに制限するという方針を打ち出した。

今回決められたのは1試合あたりの球数のみで、大会通しての制限は設けられないので、まだまだ手探りといった状況だが、「複数投手の育成、障害予防」を掲げていち早く改革に乗り出した姿勢は大いに評価されるべきものだ。

しかしながら、この新潟の改革は、実現するかどうか怪しくなっている。親方である高野連の中に、怒っている人がいるのだ。新潟日報によれば、

「発表前の相談がなかった」

「事前の相談なく発表した県高野連の「手続き不足」に不快感」

「球数制限は高校野球特別規則に載っていないため、認められない」

「全国一斉にスタートすべき」

といって、高野連の複数の理事が新潟県高野連を批判しているという。あきれた話だ。私は、高野連の、新潟県高野連に対する反応は、「下の者がでしゃばって、生意気だ」と、上司が部下にマウンティングしているだけにすぎないと思うのだが、どうだろうか。残念ながら高校野球の改革は、遅々として進まない。


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