わたしだけのスーパースター
ずっと応援している大好きな選手がいる。
誰よりも楽しそうに野球をする、キラキラした笑顔が特徴の選手だ。
いつも、どんなに遠くにいても、すぐに見つけられるほどキラキラしている彼は、私のシリウスである。
そんな彼も今年でプロ10年目。
今年、9年間背負ってきた背番号を剥がされ、倍くらいに数字が増えた。
誰がみてもわかる、今年は勝負の年だった。
そんな劣勢の状況下でも、開幕1軍を勝ち取った。
そして今年もリリーフを中心として、活躍した。負け試合が中心ではあったが何度も何度も登板した。
たまには回跨ぎや、僅差の試合、オープナーとして先発したこともあった。
どんな時も、その時一番いい結果をチームにもたらすように球を投げてきた。
2軍落ちしたり、再度登録されたり、そんなことを繰り返しながら、10月、最終的にコンディション不良で登録抹消された。
大きな怪我ではないことを安心していたのも束の間。
この前、戦力外通告された。
要するにチームからクビになったのだ。
少しばかり覚悟していたところはあった。それでもやっぱり現実となると、虚しさがすごい。
あの試合活躍したのに、とか思ってしまうところもある。
けどまあしょうがない。それに対していろいろ言っている場合ではない。
このユニホームを着ているのは私が彼を知るきっかけだったし、高卒の彼をドラフトで選び、10年間育ててきてくれたチームでもある。
可愛がってくれた先輩に、慕ってくれた後輩。監督やコーチなど、仲間がいるチームを離れなければならないこと、簡単に受け入れられるわけはないのだ。
だけど、今のユニホームだけにこだわりがあるわけじゃない。
野球をしている彼が好きなのだ。
私は野球をしている彼の姿しか知らない。
そしてその、野球をしている彼の姿がとてつもなく好きだ。
なので、野球を続けてほしい、と願ってしまう。
難しいこと、限られた人だけのことなのは理解している。
それでも、誰よりも丁寧に、誰よりも笑顔で野球をするその姿を私はずっとみてきた。
私の中にいる彼は常に笑顔で輝いている。こんな状況だからこそ、私は明るくいたいと思わせてくれるほどに。
そう考えているとだんだん楽になってきた。彼はまだ野球に必要とされているという自信があるのだ。
満足のいくピッチングをしたガッツポーズも、うまくいかなかった時の悔しい表情も全部全部見てきた。
頑張っているその姿は、誰よりも知っている。
だから、絶対大丈夫。野球続けていこうね、と言いたくなってしまう。
もう普通にキャッチボール再開していて、来シーズンには影響はない、と言う。
現役以外のいろいろな選択肢があったらしいが、彼は現役を続けることを自ら望んでいるという。
なら、安心だ。誰よりも最高の来シーズンを迎えよう!!!
私たちファンがついている。
ずっと私の星でいてくれている彼をもっともっと光らせる!
誰もが知っている選手でも、誰からも応援されている選手じゃないかもしれない。
それでも彼は今までもこれからもわたしだけのスーパースターだ。