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ITIL4のコア書籍紹介⑤「High Velocity IT (ハイベロシティIT)」(HVIT)

今回は、ITサービスマネジメントのベストプラクティス・ガイダンスである「ITIL4」のコア書籍紹介第5弾として、「High Velocity IT(ハイベロシティIT)」(HVIT)をご紹介します。
今回がコア書籍の紹介としては最後になります。すでにご紹介したITIL4書籍に関する記事はこちらからお読みいただけます。
当社IT VALUE EXPERTS(IVE)のコンサルタントの所感も交えて、内容をお伝えます。(IVEって何?と思われた方はこちらをどうぞ。)

ITIL4 High Velocity IT(ハイベロシティIT)とは?

ITサービスマネジメント領域で最も採用されているベスト・プラクティス・フレームワークであるITIL4のコア書籍のうち、「Create, Deliver & Support(作成、提供およびサポート)」(CDS)に続いて3番目に出版された3つの書籍のうちの一つが「High Velocity IT(ハイベロシティIT)」(以下、HVIT)です。

ITIL4の資格体系の二つのトラックのうち、マネージングプロフェッショナルの内容に含まれています。(下記資格体系図参照)
日本語版書籍および日本語での研修コースが提供されています。(ITプレナーズ社の申込サイトはこちら)。

コンテンツをざっくりご紹介

1.HVITの概要
製品、サービス、業務のすべてが大きな変化=DXを遂げている今、これらの変化に対応するために、ITとビジネスの管理に新しいアプローチが求められています。こういった状況を背景として、新たな手法・テクニック・ツールが数多く開発されていますが、何をどのように活用すればよいかを決めるのは大変困難です。

HVITは、組織をビジネスとテクノロジーを融合させる方向へと進化させ、新たなデジタル組織を組成することを提供価値として、IT実務者とサービスマネジメント実務者を対象に書かれた書籍です。

2.HVITの章立て
HVITの章立ては以下のとおり。

3.HVITに含まれる内容
HVITではデジタルトランスフォーメーションと「高速な」ビジネスとITのマネジメントのキーコンセプトを解説しています。
また、デジタル技術を最大限に活用してビジネスを変革するための、一連の目標と行動パターンを提案し、それぞれの目標をサポートする有用な技術や手法を紹介しています。

HVIT 3つのポイント

ここで、HVITの特徴となるポイントをご紹介します。

①HVITに関連する用語を明確に定義
HVITでは、関連する一般的な用語を明確に定義しています。
「Velocity」=Speed with Direction(Do things fast + Do the right thing)
「Digitization」=何かをアナログ形式からデジタル形式に変換するプロセス
「Digital Transformation」=デジタル技術を活用して、デジタル以外の方法では実現できなかった組織の目的の実現を劇的に促進すること
(HVITではDigitizationもDigital Transformationに含みます。)
「Digital organization」=デジタル技術によって、これまでとは著しく異なる方法でビジネスを行うことができる、または、大きく異なるビジネスを行うことができるようになった組織。

②High Velocity IT(ハイベロシティIT)のキーコンセプト
書籍ではHVITが目指す5つの目標と、それぞれに活用できる手法がリストアップされています。ITIL4の基本コンセプトとHVITの関係性について、丁寧に説明されており、ITIL4自体の理解も進みます。
紹介されている手法には、一般のビジネス書で目にするものもありますが、1つの書籍の中でまとめて紹介されておりとても有用です。

HVITの5つの目標
紹介されている手法

③High Velocity IT(ハイベロシティIT) カルチャー
ITIL guiding principlesと重複する部分もありますが、HVITにフォーカスした文化的側面について、3つのPの観点から論じています。
Purpose: Ethics / Design thinking
People: Reconstructing for service agility / Safety culture / Stress prevention 
Progress: Working in complex environment (Cynefin) / Lean culture / ITIL continual improvement model 

IVEコンサルタントの所感

当社のコンサルタントがHVITを読んだ所感をまとめます。

1.HVITはあくまでITSMプラクティショナー向けの書籍である
HVITはITSMのプラクティショナーがデジタル/SoE領域の概要、および手法を理解するためのガイダンスとして有用です。「Digital & IT Strategy(デジタルおよびITストラテジ―)」(DITS)と重複する内容が多く含まれますが、対象が異なります(DITSはより上位のマネジメント層が対象)。

2.ベストプラクティス・ガイダンスというよりはBody of  knowlegdeに近い
ITIL4に限らず、一般的に活用されている手法を包括的な視点から1冊の書籍にまとめたことは大きな価値があると考えます。ただし、ガイダンスというよりはBody of knowledgeに近いので、どこから手を付けるべきかで悩む方も多いのではと思いました。

3.HVITに関連する用語の定義や最新のプラクティスの概説など、デジタル/ITマネジメントの基礎的な理解を深めるのに役立つ
ITIL4のコンセプトともしっかりと連携しており、HVITを読むことでITIL4全体の理解が進みます。また、ITIL以外のプラクティスもふんだんに取り込まれているので、現在のデジタル/ITのマネジメントに必要な基礎知識を身に着けるという点でも有用です。

おわりに

前回の「Direct, Plan and Improve(方向付け、計画および改善)」(DPI)に引き続き、今回は「High Velocity IT(ハイベロシティIT)」(HVIT)についてお伝えしました。ITIL4のコア書籍5冊の紹介はこれが最後になりますが、最新のITIL4のエッセンスをお伝えできたでしょうか?

当社IVEでは日々のコンサルティング活用の中でITIL4の適用もすでに始めています。当社のサービスについてのお問い合わせ、提案依頼、協業のご相談等がございましたら、下記からお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://iv-experts.co.jp/contact/
IT VALUE EXPERTS Webサイト:https://www.iv-experts.co.jp/
オンライン営業窓口(ポータル):https://calendly.com/ive-online-portal

以上

※本文中に記載されているフレームワーク、ベストプラクティス等に関する商標の情報はこちらをご参照ください。


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