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冷静さを欠いた映画レビュー

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冷静さのかけらもない、感情にまかせた映画レビューをちょいちょい書いています。
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#映画レビュー

バイバァ〜イ! ーーー 映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」レビュー

もうかなり以前から僕にとってのエヴァは、「物語二の次でただひたすら手間をかけられた美麗な映像をながめるだけの作品」という位置づけだったので、まあ今回の「:||」についても特に驚きゃしなかったです。相変わらずいつもの顔ぶれのキャラクターたちが何処ともわからない場所で、何者かわからない敵と延々戦い続ける展開ではあるけれど、ど派手な映像とIMAXの大音響に大変満足しました。 …にしても、です。 その一方でいろいろもったいないなあとは思ってしまうわけです。 ゲンドウとユイ、シンジ

瞳の奥の瞳の奥に。---映画「泣く子はいねぇが」レビュー ネタバレあり

隠しきれないほどののんさんファンでありながら、最近は吉岡里帆のファンである部分も全然隠しきれなくなってきてしまっている私は、彼女の演技の評判を聴いて観に行ってしまいました、「泣く子はいねぇが」であります。 とりあえずここで吉岡里帆論をぶちあげてしまうと、多分いつまでたっても映画に行き着かないと思いますので、目をつぶって先に進みます。 ではまず例によって、公式サイトのあらすじから。 --- たすくは、娘が生まれ喜びの中にいた。一方、妻・ことねは、子供じみて、父になる覚悟

愛した日々の棚卸し。---ドラマ「捨ててよ、安達さん。」レビュー ネタバレあり

あの、胸に「色仕掛」って書いてある部屋着。あんなの一体どこで調達してくるんだろう…。 「私をくいとめて」の公開が待ちきれないので、先週から個人的大九明子監督月間として同監督の作品をまとめて観ています。その中から、今回は足立祐実さん主演の「捨ててよ、安達さん。」の感想を書いてみます。 --- 女優の安達さん。天才子役も今は2児の母。未だに子役の面影を残しながらも大人の女優として成功し、愛する夫と子供に恵まれた日々を過ごしています。そんな安達さんにある日、ライフスタイル雑誌

母親は一人と誰が決めたのか。 --- 映画「朝が来る」レビュー ネタバレあり

先日、芦田愛菜主演の「星の子」を観て、蒔田彩珠という女優さんがすごく魅力的だったので、彼女が重要な役を演じる「朝が来る」を観てきました。まずは以下、例によってあらすじを公式サイトから引用させていただきます。 --- 一度は子どもを持つことを諦めた栗原清和と佐都子の夫婦は「特別養子縁組」という制度を知り、男の子を迎え入れる。それから6年、夫婦は朝斗と名付けた息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。ところが突然、朝斗の産みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性から、「子どもを返し

小ネタ集 --- 映画「野火」「斬、」「スパイの妻」レビューまとめ

レビューを書こうと下書きで温めていたのですが、一向に筆が進まないので小ネタ集として吐き出しちゃいます。筆が進まなかった、ということは「そういう感想」ですのでご容赦願います。 野火アマゾンプライムビデオにて鑑賞。塚本晋也監督の意欲作です。公開当時塚本監督本人が「この世界の片隅に」にからめたツイートを連投していたのでタイトルは知っていましたが、どうにもその「乗っかってる感」が前に出すぎているのが鼻について個人的に敬遠してきた作品です。 さて、以下感想なんですが、まず声が聞き取

心がぽっと暖かく…なりません! --- 映画「星の子」レビュー ネタバレあり

以前書いた記事で、「このあと公開される芦田愛菜の「星の子」を始め、私に似たような印象を持たせる映画はたくさんありますが、私自身そのタイプの映画を特に映画館でわざわざ観ることはめったにありません。」と書いてしまったのですが、これはちょっと失礼な書き方だったのではないかと思い、反省の意味も込めて観てまいりました、「星の子」。 --- 例によってまずは公式サイトのあらすじを引用しますが… 大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった

小ネタ集 ーーー 映画 マロナ吹替版とTENET4DX版 レビューまとめ

ちょっとネガティブな感想なのですが、吐き出したいので小ネタとしてまとめました。 マロナの幻想的な物語り 吹替版 やっぱり字幕を追いながら観ると画面上の出来事をかなり見落としてしまうということが良くわかりました。特にこの作品は画面上に様々な遊びが散りばめられているので、隅々まで目が話せません。なので、字幕版と吹替版のどちらか一方を選ばなければならないとしたら、私は吹替版を選びます。吹替版は我らがのんちゃんがマロナ役ということで評判です。 私も半分以上彼女の吹替え目当てで映画

素振りおっかねぇ…。--- 映画「くも漫。」レビュー ネタバレあり

先日大変な視聴率を取って話題になった「半沢直樹」。あのドラマの中で代議士白井亜希子の秘書役を演じたアンジャッシュ児島の演技力が好評です。やはりコントをやる芸人さんは芝居が上手だなあと私もあらためて感心しました。 良い芝居ができる芸人さんといえばと、一人気になりつつもチェックしそびれていた人がいました。「脳みそ夫」です。以前彼が主演する映画を見て彼の演技を高く評価している方がいました。私は脳みそ夫の芸風は年末の「おもしろ荘」で見て知ってましたから、とても意外でした。彼の芸風は

これは恋としか言いようがない ーーー 映画「世界でいちばんあかるい屋根」レビュー

はあ…。我ながら全然冷静さを取り戻せてないなあ。 今から2〜30年ほど前、私は熱狂的なプロレスファンで「週刊プロレス」を毎週買って読んでました。当時の週刊プロレスは「山本隆司(現・ターザン山本)」という名物編集長の存在感が強く、彼の書くポエジーなプロレスコラムは毎回楽しみにしていて、私の文章も多分それなりに彼の影響を受けていると思います。ただ時折工藤めぐみや豊田真奈美といった女子プロレスラーに対する恋愛感情が混ざったりすることがあって、それにはさすがの私もいい歳こいたオッサ

ほんの小さな幸せだとしても… --- 映画「マロナの幻想的な物語り 字幕版」レビュー 多少ネタバレあり

最初に申し上げておきますが、僕はほんの1週間前に18年共に暮らした愛猫(オス)を看取ったばかりで軽いペットロス状態にあります。なので、少々おセンチな文章になってしまう可能性がありますが、そこはご容赦ください。 僕の猫は3年ほど前から糖尿病と腎臓病が悪化し始め、その後肺炎になったり汗腺嚢胞を併発したりして最後は骨と皮だけになって力尽きました。幸か不幸か新型コロナの影響で在宅勤務だったために、最後の一息を吐くまでそばにいてやることができました。彼を看取ることがどんなにつらいかと

ピアノの魅力は十分伝わる。 --- 映画「蜜蜂と遠雷」レビュー ネタバレあり

と、いうわけで前回記事の続きです。 僕にはその良さがさっぱり伝わってこなかった「蜜蜂と遠雷」の映画をアマゾンプライムビデオで観てみました。 結論。良かったです。 原作をさんざん酷評して、じゃあ映画はどうなんだと割と前のめりで鑑賞に臨んだわけですが、原作の不満とかどうでも良くなっちゃいました。 作品の目指すところがピアノコンクールの魅力と頂点を目指す天才ピアニストたちの青春を美しく描くというところにあるとするならば、僕は十分に合格点をあげられます。 肝心の演奏シーンも少

ドラマ「チェルノブイリ」を観て感じた映画のレーティングについて。

アマゾンプライムビデオにて、話題のドラマ「チェルノブイリ」をようやく観ることができました。実際の現場の様子、被害が広がっていく様子、放射能に蝕まれていく人体など、まあよくぞここまでリアルに再現したものだと感心しきりでした。 有名なチェルノブイリ原子力発電所爆発事故の話ですからネタバレもなにも無いわけですが、あらためてこうしてドラマを観ているとやっぱりこれは大した事故だったんだなあと改めて思います。日本からは遠すぎて、事の深刻さというのが伝わりきっていなかったのかもしれません

今、映画館で観る意味がある。 ー 映画「わたしは分断を許さない」レビュー ネタバレあり

新型コロナウイルスの猛威は一向に治まる気配が無く、全世界での死者は2万人を超えて感染者数に至っては50万人に迫る勢いだ。そのため世界中で都市封鎖、国境閉鎖が始まり、解除する見通しはまるで立っていない。新型コロナをネタになだぎ武で笑ったのが2月23日だったからわずか一ヶ月で世界がロックダウンしてしまったことになる。オリンピックは1年延期されたが、専門家の話ではワクチンができるまでは1年半から2年はかかるとのことだ。つまりその1〜2年の間、僕たちは物理的にズタズタに寸断された世界

のんの映画、啓太の物語。 ー 映画「星屑の町」レビュー ネタバレあり

一応言い訳できないほどののんさんのファンでありますので、公開初日に観て参りました、「星屑の町」。のんさんにとっては海月姫以来の銀幕復帰作です。 実は私、この映画のエキストラに参加してきました。のんさん見たさもさることながら、これまで舞台やテレビの現場というのは見たことがあるのですが、映画の制作現場というのは見たことがなかったので良い機会だと思ったのです。埼玉の山奥、横浜からは流石に遠かったですが(笑)。 --- 以下、公式サイトのあらすじから引用します。 「山田修とハ