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健康寿命を伸ばしたい。高齢者に健康の秘訣を聞きます。午前11時半の男性。外国人との楽しいひととき。

 健康寿命を伸ばしたいと元気な年配の方にコツコツと健康の秘訣を伺っていると、年配の方の孤独を訴える声を多く聞く。
これを書き出すと物凄い字数になるので割愛するが、話し相手がいなくなった。という声を嫌というほど聞いた。
昔の仲間に連絡をして良いのだろうか?
連絡をして迷惑ではないのだろうか?
会って話をしたいも、情けない話だが持ち合わせが無い。
何処に行っても人混みが多くて足腰が弱くなったから繁華街に出る事に躊躇している。

今書いたのはほんの一部であり、他にも理由は沢山ある。皆さんの中にも思い当たるフシがあるのではないでしょうか?

今回は少しの工夫で毎日の生活を良くしょうとする80代後半の男性の事を書いてみました。

暦は3月の初めだが、季節外れの暑い正午の事である。私は川沿いをフラフラと歩いていた。私ごとだが川沿いを歩いていると何故か精神が落ち着き、少しの時間の隙間を見つけては川沿いを散歩していた。
その日も呑気に歩いているとベンチでパンを食べている、少し背中の曲がった老人を見つけた。
私はこの背中の曲がった老人に声をかけた。
「暑いですね。少しお話しませんか?」
「貴方は?」
「私こういう事をしています。」
健康寿命を伸ばしたいに対する趣旨説明のチラシと名刺をパンを食べている背中の曲がった老人に渡した。
彼は少しだけならと言ってくださり、お話を伺った。
「私は一日おきにですが、決まったコンビニに行きアンパンやジャムパンを2つ買うんです、いつもは自宅でパンを食べるのですが、今日は晴れていますから、ここで1つだけ食べてるんです。」
「そうでしたか、一日おきなんですか?」
「はい、毎日ですと飽きますから、それに足が少し悪くて、毎日コンビニは遠いんです、ただ歩かないと益々悪くなりそうで、だから少し無理しても歩いてコンビニに行きます。雨の日も行きますよ。」
「そうですか、良いことですね。やはり歩かないと駄目ですか?」
「それはそうですよ、外に出ないと体がなまりますから。それに私の事を覚えていてくれるんです。」
「どなたがですか?」
「コンビニの店員さんです、外国の方です。最初は日本語があまり上手でなかったのですが、最近は本当に上手くなりました。私がパンを買うと、今日はアンパンですね。と言ってくれるんです。そんな事が嬉しいんです。」
「そうでしたか、店員さんも待っているのではないですか?」
「どうなんでしょう、そうだと嬉しいですね。迷惑かけない程度に話しかけたりして。そんな事でも毎日の張りになりますよ。」
背中の曲がった方は少し照れた様子で言った。
少し話しがそれて恐縮だが、外国人の方は本当に日本が好きな人が多い。私は外国人の方にも話しをさせて頂くが感じの良い方ばかりである。ただ日本独特の文化に少し戸惑う事も多いと聞く。その事を触れると、とんでもない字数になるので、この件も別の機会にさせて頂く。
「外国の店員さんは、いつもいらっしゃるんですか?」
「ほとんどいますね。お昼になると混雑しますから、11時半くらいに行きます。その位の時間なら人がまだいないんです。店員さんも私を見ると、お昼が近いと感じてくれるみたいで、11時半のお客さんと呼んでくれてます。」
「面白いですね。店員さんと良い関係ですね。」
「そうかもしれません。いつまで続くかわかりませんが、コンビニに出勤しているイメージです。」
人間やる事があると人生の張りが出て気持ちも前向きになる。パンを買う、そしてそこで一言二言話しをする。外国人の店員さんも11時半のお客さんに何かしら精神的な落ち着きを貰えた。としたら素敵な話しである。
流石にそれは美化しすぎだろうか?いや、背中の曲がったこの男性の雰囲気から外国人の店員さんも来店を待っていたと思う。そう思いたいものだ。
彼と1時間程度話し。別れた。
帰る後ろ姿は背中が曲がり、杖をつきユックリユックリ歩いていった。
少しでも長く11時半の男が続いてほしいと思った。

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