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立ち位置で存在を消す(「邪魔をしない」接客サービス②)

今回は、「邪魔をしない」サービスを行う方法として「立ち位置」の観点から深掘りしていこうと思います。

前回、ゲストの心地よい空間を邪魔をしない為のサービスが必要という記事を書きました。

では、実際にどういった行動をしていけば良いのか。
その中の一つの技法として「立ち位置を工夫する」があります。

よく言われるのが

  • 男女ペアの間には立たない。

  • 立つ時は男性側に。

  • ゲストが急に動いても対応できるように少し間隔を取って立つ。

といったところでしょうか。
いろんな例が挙げられますが、ポイントとして大事な事は
「ゲストの視界を意識」することでしょう。

例えば、ゲストの食事中に待機している時には、なるべく視界の外で待機するように意識する。
理由は私の存在を視界に入れないこと。ゲストがその空間に集中してもらいやすくするためです。
しかも、これを意図的に行うといろいろと応用が効いてきます。

一つは、食事のメリハリ。
食べ終わった頃に私が視界に現れる事で次の料理への準備へのメリハリがつく。ゲストからすれば、私が視界に現れるまでは、ゆっくり話をしていても大丈夫というサインにもなります。

もう一つは、タイミングが取りやすくなること。
ゲストが話に集中してしまい、なかなか入りずらい場面ありますよね。そういった時に視界から見えない場所から見える場所に移動するだけで、一言も発さずにゲストの注意を向ける事ができます。
ただ、この方法はタイミングを間違うと、不快に取られてしまうので、注意が必要です。ポイントとしては、ゲスト同士の話がひと段落した瞬間などがねらい目です。

このように「ゲストの視界」を意識して「立ち位置」を工夫する事で「存在感のオンオフ」を切り替え、ゲストにとっての良い空間を邪魔をせずにこちらもサービスを提供する事ができるようになります。

「ゲストの視界を意識する立ち位置」に関しては、婚礼サービスなどではよく注意される事柄ではあるのですが、指導する側も「なぜ」が明確になっていないからか、よく勘違いのような指導をしているお店もあります。

立ち位置で存在感を消す。と書きましたが、たくさんのお客様がいる中で、完全に立ち位置で存在感を消すのは不可能です。しかし、ゲストの視界をちょっと意識した立ち回りをするだけでゲストにはあまり気にならない存在になる事はできます。

またどうしても視界に入らなければならない瞬間は必ずあるので、その際は何がなんでも入っていかなければなりません。その時のコツもあるのですが、それはまたの機会に。

「邪魔をしないサービス」の一つとして

  • ゲストの視界を意識して

  • 立ち位置を工夫することで視界から消え、自分の存在をオフにする。

  • 必要な時だけ、立ち位置を変え、自然に視界に入り存在をオンにする。

という立ち位置から邪魔をしない接客サービスを書いていきました。
この動きには、ゲストの食事の時間をコントロールしながら進めていくという目的にも必要になってきます。

昔は「サービススタッフは黒子であれ」と言われていました。

仕事を始めた最初の頃は、ただ存在感を出さないことの意味だと思っていたのですが、たまたまテレビで見た人形浄瑠璃文楽での黒子の動きを見て、「こういうことか!」と感動したのを覚えています。
そこに確実にいるのに、それを全く感じさせない。この微妙な感覚を出せるのは本当にすごいなと思いました。
この本物の黒子の動きが、この考え方の基礎になっています。
気になった方は少し調べて見てもらえると嬉しいです。







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