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ゲストとの駆け引き(邪魔をしない接客サービス③)

前回「邪魔をしないサービス」の具体的な内容として「立ち位置」「存在感のオンオフ」について書きました。

「ゲストの心地よい空間」をいかに邪魔をせずサービスを提供していくか。
ここで一番難しいのは「線引き」だと思います。

何を線引きするのか。

それは、ゲストにとっての「楽しい空間」をどこまでゲストの自由にさせるのか。ということです。

一番良いのは、全てをゲストの判断に任せてしまうことだと思います。
ただ、サービススタッフが関わっている「楽しい空間」は大抵こちら側が提供している場所に作られていることがほとんどです。
その場所を一組のお客様に何時間も提供しているのは、それなりの金額を頂いていなければ不可能な話です。

飲食で言えば、コース料理がよい例でコースは(お店の考えもありますが)90分程で提供するのが、一番おいしく召し上がっていただける時間です。それに数時間かけてしまうのは、料理の美味しさを引き出せず、シェフに申し訳が立ちません。

そこで「ゲストをコントロールする」という考えが生まれます。
自然な流れに見せつつ、こちらの都合の良い流れにゲストを誘導していく。

この「自由」と「規制」の線引きが接客サービスでは必要となってきます。

大前提として、ゲストの空間を「邪魔」しない。
しかし、その空間をよりよくする為に、ゲストに不快を与えないように
あの手この手を使い、空間と時間をコントロールしていく。

このゲストとの微妙な駆け引きが、接客の一番の難しさであり、面白さではないでしょうか。

具体的な駆け引きの例として一番わかりやすいのは、ゲストが話している中に入っていこうとする場面ではないでしょうか。
これが苦手な人は結構たくさんいて、ゲストに不快を感じさせる原因によく挙げられる事例です。

私の考える一番よいタイミングは、ゲスト間の話がひと段落した瞬間です。
これには、ゲストが今、どんな話をしているかに聞き耳を立てておく必要があります。どんな話でも「一区切り、ひと段落」の瞬間があるので、そのタイミングを見計らって、こちらの接客を進めていくイメージです。

「ここまでは自由に話してもらって、この話が一区切りしたら接客に入る」このさじ加減をサービススタッフ側で決めていくのが「駆け引きをする」ということになります。

何事にもバランスは重要です。
ゲストに全てを任せても良いことだけではありませんし、お店のことだけを考えて、全てをこちらのペースで進めるのもゲストに不快を与える可能性が高まります。

ゲストに「心地よい空間」を楽しんでもらうために

  • ゲストにとっての心地よい状態を邪魔をしない。

  • その空間をより良い空間にするために「邪魔をせず」介入していく。

  • 自由にさせ過ぎず、介入しすぎない程よいバランスを探る。

と言ったことが、接客サービスを提供する側としては必要となってきます。
この「駆け引き」を成立させるために日々頭をフル回転してゲストと向かい合う必要があります。

ゲストの満足度を得るためには「ゲストにとって心地よい空間」の邪魔にならないようにしなければなりません。
その為には、立ち位置や空間に入り込むタイミングを考えて接客をしていくことで、ゲストに不快を与えないようにしていきます。
それらを実現するためには、ゲストの様子をしっかりと観察して考えていく「洞察力」が必要です。

この「邪魔をしないサービス」については、いろんな場面が想定されるので、あまり具体例を出さなかったのですが「こんな場合はどうします?」といった疑問、質問がありましたら、ぜひ、コメントまで。
可能な限りですが、お答えしたいと思います。

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