保育園見学の際に質問して欲しい3つのこと

私は都内の保育園で働く、男性保育士です。

今日はこれから保育園選びをする方に、園見学の際に質問してみて欲しいことをまとめました。

1.園見学は募集期間中、毎日やっているか?

これはもう、見学に行くなら当たり前に確認することですね。なぜあえて挙げたかというと、そこに考えを巡らせて欲しいからです。園見学の開催はおおよそ以下の2種類です。

①園が決めた数回の日程で一定数の家庭をまとめて案内する

②募集を締め切るまでの一定期間であれば、対応できる人がいれば基本的に毎日、申し込みが一家庭のみでも案内する

どの園も基本的には、良いところを良いように伝えようとするものです。それは当たり前のことでもあります。しかし、①の園では、開催日を園が指定して、その日に向けて整えたり、その日は普段と異なる意識を持っていることが、少なからず考えられます。②の園では、いつ誰が見に来ても大丈夫ですよ、というスタンスが伺えます。その分、見学に行った際の姿は普段通りの様子に限りなく近いと言えます。

これだけで一概には言えませんが、保育園で働くものとしては、圧倒的に②の方が信頼できると感じます。保育園に限らず、あるサービスや商品を提供する企業で、そのユーザーが毎日社内の内部を見学しに来るようなことがあれば、働く人に良い緊張感を与えますし、質の向上に繋がることが考えられるのではないでしょうか。

そこで更に踏み込んでいきたい方は、「少し自由に見て回っても大丈夫ですか?」と聞いてみてください。自由に見てもらう分には、案内もしなくてよいのですから、園としては何も不都合はありません。私の園であれば、熱心な方だな、どうぞゆっくり見て回ってください〜となりますね。

2.午睡をしたくない子どもはどのように過ごしますか?

これはぜひ聞いてみてください。少し大袈裟かもしれませんが、この質問で人権が保障されているかどうかわかります。

ヨーロッパでは、子どもへ食事や午睡を強制することは虐待と言われています。私もそう考えます。しかし、日本の保育園では未だに、日々子どもたちと午睡戦争を繰り広げている保育園が山ほどあるだろうと感じます。それは学生時代の実習園や、以前勤めていた公立の保育園がそうだったからです。公立保育園の1つがそうであるということは、その自治体が運営する保育園はだいたい同じなのだろうと予想できます。

眠くないのに、体力が残っていてまだ眠くないのに、眠りから覚めてもう眠くないのに、1から多い子だと3時間も、自分の布団で静かにしていなければならない…そうしなければ怒られる、さも悪いことをしているかのように。

もちろん午睡の必要が無いと言っているわけではありません。特に、0〜2歳児では必要性が高いでしょう。大切なことはそこで個別な対応が図られているかということです。それが例え何歳であっても。午睡の時間の調整ができること、まだ寝たくない、もう寝たくない、起きていたい子どもの過ごす空間が保障されていること、ぜひ確認してください。

午睡という保育園の慣習的になっている「当たり前」のことについても、その時間は寝かせればよい、静かに布団にいさせればよいではなく!子ども一人一人のことを考えられているかはとても重要な点です。

3.異年齢のかかわりはどのように取り入れているか?

保育園の教育的な意義として、異年齢の関わりは最も重要なことの一つです。なぜかというと、核家族化、少子化(兄弟の減少)、地域コミュニティの希薄化が進んだことで、子どもの発達に必要な乳幼児期の異年齢集団での経験を、おおよそ保育園でしか得られなくなっているからです。

子どもの発達には、発達の多様性が欠かせません。乳幼児期の子どもたちは人間関係の中で様々なことを学び、様々な経験を通した関わりから人間関係を学ぶのです。全てのことは人間関係の中で育まれ、人間関係は直接的な関わりからしか学べないということです。

そして、その時に自分と同じ程度の発達の子、少し先の発達の子、少し後の発達の子がいることで、豊かな経験を得られます。遊びの内容だけ見れば、保護者の考え次第で、家庭で経験できることも多くあるでしょう。乳幼児期における、「子ども同士の関わり」を経験するために保育園があると言っても過言ではありません。

異年齢での保育が子どもの発達上必要なことは明らかです。そもそも、月齢差が大きい乳幼児期の子どもたちを年齢で横割りにすることが不自然なのです。早生まれの不利が大人になっても続くことが研究によって証明されたそうです。

私の園では、0.1歳クラス、2歳クラス(自我の芽生、自立の保障の為単独)3.4.5歳クラスになっています。異年齢クラスの設け方や、異年齢の関わりの保障の仕方はそれぞれにあると思います。ただ、それが日常的にあるのかどうか。そこは、保育園選びの重要な点です。

「異年齢での関わりがすごく大切だと思うんですが、どのような取り組みをされてますか?」と聞いてみてください!

大人は子どもの代わりになれません。0歳児にとって必要な1歳児のように、3歳児に必要な4歳児のように、私たち大人は、どうやっても振る舞えないのです。

待機児童問題で保育園を選べるような状況ではないのかもしれませんが、少しでも保育園選びの参考にして頂けたらと思います。そして、より良い保育園が存在感を発揮することを願っています。




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