保育士的「少子化社会」の3つの見方


私は都内で働く男性保育士です。

今日は、少子化について考える視点をまとめます。

①兄弟姉妹が減る
少子化により、兄弟姉妹が減っています。これにより、家庭や地域において子ども同士の異年齢の関わりが減っています。
これは、少し先の発達を見る・真似する機会、喧嘩する機会、折り合いをつける機会、教え・教えられる機会、当たり障りなく利を得るために工夫する機会(喧嘩を避けて自分が使いたい物をつかう、やりたいことをする等)など、成長するために重要な様々な機会が減っていることでもあります。

一家庭での子どもの数が減ることで、地域の子ども集団も減少しており、地域における兄弟姉妹関係が無くなっているのです。
大人はどうやっても、子どものように振る舞えません。兄弟姉妹にはなれないのです。その機会を家庭や地域で保障することが難しくなっています。

保育園では、「子ども同士の関わり」が豊かになるように、生活と遊びをデザインしています。

②子どもに対する大人の数が増える
子どもに対して大人の数が多いと、大人から子どもに対して「過干渉」になってしまいがちです。それは悪気がなくても、もしくはポジティブな関わりであったとしてもです。本来子ども自身でできること、また考えを巡らせ気持ちを働かせていることにも、つい手伝ってしまい、言葉をかけてしまいがちです。

すると、大人にやってもらうこと、言葉をかけられてから何かをすること、周囲の環境から得ることへ感性を働かせるより、大人の価値観に強く影響されることが多くなります。

無意識に子どもの自主性や思考を削いでしまうことになりかねません。いくつかの家庭が一緒に遊ぼうと集まった時、1人の子どもへ向けられる大人の目は更に増えるのです。

「子どもは大人のいないところでこそ育つ」とも言えます。ぜひ自身の成長を振り返ってみてください。
大人の関わりが、子どもの「機会」を奪うことにもなることを知り、関わる際には「機会」の「きっかけ」になるように心がけたいものです。

保育園では、安全に配慮し、子ども一人一人の発達や特徴に合わせて自ら育つ機会を保障できるように、「見守る」ことを大切にしています。

③子どもと関わる経験が減る
「子どもは自然だ」という言葉があります。美しく豊かな自然は、時に人間にとっては自然災害となる大きな力も秘めています。それらは人の思い通りにばならないものです。気候変動等は人間の生活による影響で起きてもいるようですが…。それはさておき、子どもも自然と同じように、思い通りにはならない存在なのだということです。

子どもが減ることで、いざ親・保護者になるまで子どもとほとんど関わったことがないという人が増えているようです。抱っこやオムツ替え、ミルクをあげたことがない人がほとんどです。兄弟姉妹、親戚が多く、核家族化する以前は、家庭に子どもがいることが多かった頃はそうした経験していたことがあります。

大人になったら、ある程度自分のこと、身の回りのことを思うように調整して過ごしています。そこに、
自分の思う通りにならない存在が入ってくるのです。それは大きな喜びだけでなく、時にはそれ以上のストレスを感じることもあるでしょう。核家族化が進み、地域の繋がりが減っていることで、大人になるまでや、大人になってからの、子どもと関わる機会を得られなかった人が増えているのです。

そうした背景が、虐待や保護者の孤独感といった問題にあるようです。

保育園では、日々のコミュニケーション、保護者会やお父さんの会、地域解放、一時保育サービスで、保護者方のケアと連携を大切にしています。

☆まとめ
今や保育園は、保護者の就労支援のための施設ではありません。保育園は「教育機関」であり「地域子育ての拠点」です。
待機児童問題がありますが、保護者が働いているから子どもを保育園に預けるという考えは、子どもと子育て家庭の姿から乖離しています。

「保護者の就労に関わらず、すべての子どもが保育園に通えること」が、子どもにとっても、子育て家庭にとっても重要なことです。
そうした社会システムの構築のために、少子化についてこうした視点を持つ人が増えたら良いな〜と思います。

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