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仏教・密教哲学の学びから

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眼前にすでに明らか

眼前にすでに明らか

それ、仏法はるかにあらず、心中にして、即ち近し。
真如、外にあらず、身を棄てていずくにか求めん。
迷悟我れにあり。すなわち発心すれば、即ち到る。
明暗、他にあらず。すなわち信修すれば、たちまちに証す。

~『般若心経秘鍵』~

真理、本質、慈悲はどこか遠くにあるのではなく、それぞれの心の中にあります。

迷いがあってそれが見えずに、あちこち探しまわってしましますが、心が定まればすでに自分の内側にあ

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文を超えて学ぶ

文を超えて学ぶ

『理趣釈経』についての話空海と最澄はどちらも平安時代に活躍した僧侶です。

最澄の方が年上で、唐から様々な経典を持ち帰り、それらを読み込んで仏教の学びを進めていました。

その中で密教経典の一つ『理趣経』の内容理解のために、その解説書である『理趣釈経』を読み解きたいと思い、それを持っている空海に貸して欲しい旨を伝えました。

しかし、空海はそれを拒み、その際の手紙に以下のように書き記しました。

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仏の修行とは

仏の修行とは

2019年8月、栃木にあるタイの寺院で短期出家をしました。

その時の一番の学びは、「仏の修行」の在り方について。

修行というと、とても厳しくて辛いもののように思われがちですが、仏の修行で目指すものはシンプルに”楽なこころ”です。

仏陀は世の中が”苦”に満ち溢れていることを知り、この”苦”をなくすためにはどうするとよいのかを探し続けました。

つまり大事なのは”苦”の反対。”楽”です。

本当

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響きあう

響きあう

量子力学では、観察者は観察する対象に影響を与えてしまうことがよく論じられます。

心理学では、実験対象者はどこかで実験者の存在を意識してしまいます。

人はどんなときもお互いに影響を与え、影響を受けずにはいられない存在です。

言い換えれば、常に他者と、社会と、環境と、宇宙と呼応し、響きあっています。

一人一人にできることはその響きを感じ、委ねること。

“神さま、おてんとさまがいつも私を見てい

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