ひらめき天才少女と全力少年の日常⑤
後日の放課後、ナツとユウトは、シンが通う高校へと足を踏み入れてた。
そこには、高校の正門で、顧問の先生らしき人と、シンが待っていた。
『私は、野球部顧問の峯岸と申します。あなたたちが、今回の事件を解決してくれるというナツさんとユウト君だね?!』
峯岸先生は、20代後半の若いイケメンの先生だ。
ナツとユウトは、一通り自己紹介を終えると、職員室の隣にある校長室へと案内された。
『私は、校長の片岡です。あなたたちがナツさんとユウト君だね。お話は、事前に峯岸先生やシン君から聞いておるよ。どうぞ、お席へどうぞ。』
ナツとユウトは、指示通りソファーに座った。
片岡校長は、大柄の60代くらいの男性。そんな年齢とは思えないほど若々しい姿だ。
白髪だが、ちゃんと整えられている。
事務員の女性が、テーブルにお菓子とお茶を出してくれた。
お辞儀すると、職員室へと戻っていった。
片岡校長先生、ナツとユウトの3人きり。
ナツ『片岡校長、ここだけのお話があります』
片岡校長『この事件を解決することなら、何でも協力しますぞ。どうぞ、お話ください』
ナツ『1ヶ月ほど土曜日と日曜日だけ、野球部の部室を監視する探偵を派遣して欲しいのです。カメラを撮影する方もできれば…』
片岡校長『それは、構わないがどうしてだい?』
ナツ『はい。考えたくはないのですが…』
ナツが話を終えると、ユウトがナツの胸ぐらを掴む。
ユウト『そんなことあるわけないだろ。考え直せ。ナツ!』
ナツ『私だってこんなことを考えたくはない。しかし、この状況だと可能性はゼロじゃないんだよ』
ナツは、ユウトの言葉をさえぎるようにそう言った。
片岡校長『まぁまぁ、2人とも落ち着きなさい。とりあえず、1ヶ月様子を見て、その後もう一度話し合いの場を作ろう。』
この片岡校長のフォローもあり、ユウトは落ち着きを取り戻した。
ナツとユウトは、片岡校長にお礼を言い、高校を後にした。
その帰り道…
ユウト『すまなか…』
謝ろうとしたユウトの言葉をさえぎるように、ナツは急所蹴りで対応する。
ナツ『かよわい女性の胸ぐら掴むとか、どういうセクハラしてくれてるんだ。キサマは!』
ユウト『平気で男の急所を蹴れるやつの…どこが…かよわいんだよ…』
実は、ナツ、運動は得意なほうではないが、武道は大の得意で、合気道3段、剣道3段という肩書きを持っている。
ナレーション(それって、もはや好きなもの以外は興味ないだけだろ)
そんなナレーションの独り言もむなしく、ナツは、自分の蹴りで悶絶しているユウトを見届けると、そのまま、家へと帰っていった。
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