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内気なアカネは魔法使い ♯1小学生、師匠と出会う

ミカリさんとの出会い

こんなお店、あったっけ。

学校からの帰り道、ふと、見つけた小道の奥にある、不思議なお店。

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ドアには分厚いガラスがはめ込まれていて、こっそりのぞくと薄暗いお店の中に一組の靴が見えた。赤いハイヒール。


それから気になって、学校からの帰り、誰もいないときにこっそりのぞいている。


たまに女の人が鼻歌を歌いながら出てきて、外の看板を裏返す。
ドアが開くと、とってもいい香りがふわっと香るのがこんなに離れていても分かる。


と、見ていたら
「こんにちは」


目の前に、その女の人が立っていた。
飛び上がった。


「!!」


目の前にミモザ。ハーブのいい香りもする。


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思わず息を吸い込んだ。

「ごめんね。驚かせちゃった?」


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歳は。。。お母さんくらい?

いたずらっ子のように笑う目に吸い込まれた。



この時に出会った「ミカリさん」が、いろいろ教えてくれた。
とっておきの魔法も。


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それから、毎日がカラフルになった。
生きることって楽しいことなんだ。

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小学校でのアカネ


学校では、自分が周りから見えなくなるといい、と、思いながら通ってた。

別にいじめられているわけじゃ、ない。



ただ、皆がワイワイ自由にやっているときに、どうしたらいいか分からない。

たまにクラスの目立つ子たちに話しかけられるとドギマギしておかしなテンションになってしまうことがある。

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なんか、いつも、ツマラナイ。

やりたいことってナニ?

私だけ、なんか運が悪い。



学校の先生やお父さんに、「挨拶はちゃんとしないと。」とよく言われる。

挨拶はしているのに、周りからはもっとちゃんと!と言われる。

近所の可愛くてカッコいい、人気者のお姉さん、かんなちゃんに話しかけられると、頭がぐるぐるして、上手く答えられない。

本当はもっと上手く話せるのに。


2つ下の近所の女の子は、帰り道で会っても話すことなんてない。

何を話したらいいのか困るし、黙って一緒に帰るのはモヤモヤする。

それに、私といても全然嬉しそうじゃない。

あー。もう、やだ。


それなのに、この前、たまたま朝見ていたお父さんに注意された。


先生も、ちゃんと言いなさい。て。他の子だって、同じようなもんだ。なのに、なんで私だけ?


挨拶は、おじぎでもいいって、テレビでやってた。相手が分かればいいんだって、マナーなんとかでやってたのに。

先生知らないんだ。

私は仲良しの「なっちゃん」がいればいいんだ。


でも、最近「なっちゃん」はいろんな子に誘われたり、忙しいらしい。

そんな時に見つけたステキなお店。


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いつものように、学校帰りにミカリさんのお店を覗いた。

ミカリさんが笑顔で迎えてくれる。


ふと、「ミカリさん」が、「仔犬、好き?」と、聞いた。

足元を見ると、白くてフワフワの仔犬がこっちを見ていた。


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「誰か飼ってくれる人いない?って相談されてたのよ。昨日、ここに来たんだけどね、こんな子が飼ってくれるといいな~。て、思ってたの」

と、仔犬を抱き上げた。


昨日、お父さんが、一人っ子の「あかね」に仔犬を飼うのはどうかと話していた。








その日から我が家の一員となった「たろ」。


「たろ」を連れて帰ると、お父さんもお母さんも大騒ぎだった。


「急に連れてきて!どうするの!えー。どうしよう!」
「雑種かな。。。」とお母さん。
「でも、頭が良さそうな顔してるね。」
あ、飼ってもらえる。(にやり)。

「そうだよ。たろって名前にしようと思って。」
「たろか。この子は大きくなるな〜。」と、お父さん。


「犬小屋作らないとな」と、ネットで調べていた。
こうして、「たろ」はうちの一員となった。


健と真帆に出会う


「たろ」の散歩は、学校から帰ってきてから行くことにした。

1か月くらいしたある日


突然、「たろ」が、嬉しそうに女の子のところに走って行った。


「たろ!どうしたの?」

と、急いで付いていくと、女の子が嬉しそうに、たろをなでて言った。

「ミカリさん、て、知ってる?」パッとこっちを見上げた。

外国人!?


でも日本語話してる。

どうしよう。すっごい可愛い。

私と同じくらい?5年生くらいかな。。。

え?ミカリさん?

ミカリさんて、あのミカリさん?



「うん」とうなずき、下を向いて次の言葉を待つ。

「その犬、うちのジミーが見つけた犬なんだよ」と、隣りにいた男の子がぱっと繋げた。

  

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ジミー?見つけた?たろを???

ジミーって誰?

「。。。」

その男の子は、私より年下だと思う。

日焼けした肌。いかにも運動神経が良さそう。

「聞いてる?その犬、ミカリさんからもらった?」

「ほら、ジミーが見つけた子犬なんだ。あそこにいて、鳴いてたんだよ。」

と、その男の子が嬉しそうに続ける。そして、よく見ると、近くに大きなゴールデンレトリバーがいた。


「。。。。」


「ミカリさんが、私と同じくらいの女の子が飼ってくれることになったって言ってて、いつか会えるといいな〜って思ってたの!」

「そうなんだ。。。」

「ここ、散歩コースなの?」

「うん。」


こんなに可愛いのに、不思議とソワソワしない。嫌じゃない。どんどん、楽しくなる。



「私は真帆。この子は私の弟、健。よろしくね。」

「私は、あかね。ヨロシクオネガイシマス。」なぜかカタコト。

ふふっ。真帆が嬉しそうに笑った。 

その顔が嬉しそうで、私も笑った。

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健はすっかり飽きて、ジミーとたろと遊んでる。

それから、ちょくちょく会うようになった。


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お母さんがミカリさんの弟子になる。


ある日の夕ご飯の時。

お母さんが、「そういえば、たろってどこに捨てられてたんだっけ?」と、聞いてきた。

そうだ。お父さんとお母さんには、帰り道で拾ったと言ったんだ。

「えー。この前も言ったじゃん。あそこだよ。」
と、ミカリさんの店の前から2軒先の角を説明した。
すると、

「そういえば、その近くに、ちょっと素敵なアンティークショップがあるでしょう。あそこ、お店なのか、何なのか、気になってたのよね~。たまに、おしゃれな人がふらっと入っていくのよ。」

「あかね、知ってる?」

「よく知らない。」

ドキッとした。ミカリさんのお店だ。

「そうなんだ~。今度入ってみようかな。でも、緊張するね。」


「・・・って、お母さんが言ってた。」と、ミカリさんに言うと、「今度、お母さんも一緒に誘ってあげて。おいしいお茶も”おやつ”もありますって。」

「いいの?」

「もちろん」と、飛び切りの笑顔でミカリさんが笑った。



それから、なんと、お母さんがミカリさんの弟子になった。


アロマテラピーとハーブと魔法を教えてもらうんだって。美味しいお茶と”おやつ”付き。大人って、いいなー。

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そのおかげで、毎日お母さんは機嫌がいい。

庭の、たろの家の周りは、ハーブだらけになった。

そして、お風呂から出ると、オイルが用意されている。ラベンダーは子供も使えるんだって。


アカネ、合氣道を習う


健と真帆は、ミカリさんの孫なんだって。

何かの聞き間違いかと思って、何度も確かめたけど、本当らしい。

ミカリさんは、お母さんより若く見える。。。

ミカリさんは、「モナコ」に住んでたらしい。病気が見つかって、故郷に戻ってきたんだと、笑って言っていた。


健と真帆は、ハワイに住んでたんだけど、お父さんがミカリさんと一緒に過ごしたいって言うから、一緒に日本に来たんだと言っていた。

健と真帆のお父さんは、ハワイで合氣道を教える先生だったらしい。



ハワイの大学で教えてるんだって。今月から図書館の上で子供や親子、大人に合氣道を教えることになったらしい。


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「すっごい楽しいから、あかねちゃんも来て。」と健と真帆に言われて、なんとお母さんと親子で参加することになった。


「氣を出すための方法が合氣道なんだよ」って先生がよく言っている。

よく分からないけど、前は、いつもお母さんが上の空で返事をしていたのに、今はちゃんと通じてるって気がする。

毎回言われるのが、「つま先立ちをした時の姿勢だと、気持ちが強く楽しくなるんだ」って。

「歩くときにピョンピョン歩かない」とか。

ずーっと先を見る、とか。

健と真帆と一緒にやるのが楽しくて、一緒の仲間なのが楽しくて。お母さんも頑張ってるから、悪くない。て感じてる。

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