雑文


 大切なものをたくさん失くしてしまった。悔しかったからなくしてしまったものを1つ1つノートに書きつけ、机の中にしまっておいた。しかし今ではそのノートすらも失くしてしまったから、何をなくしたのかということすらわからなくなってしまった。大切なものをなくした時よりも、ノートをなくした今回の方がより悲しいかもしれない。

 いずれノートを失くしてしまったということすらわからなくなってしまうのだろうか。

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 どんな文章を書いてもこうもりが現れて「違う」と囁いていく。

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 どれだけ嘯いても、俺が金を求めているということには変わりがない。

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 必要なのは土台だ。そうだろう?上へ上がるために必要なのは土台だ。そうだろう?確かに踏みしめることができる大地。それが必要なんだ。

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 日に日に壁が厚くなっていく。かなり長い時間をかけて壁を掘らないと向こう側に到達することができなくなってしまった。


 ずっと仕事をし続けているわけにはいかない。一定の時間が経ったら必ず洞窟を出て、宿舎に戻らなくてはならない。食事をとり、風呂に入って、それから布団の中で何時間か睡眠をとらなくてはいけない。そして翌朝再び壁のところまでやってくると、昨日掘った穴はなくなってしまっているのだ。もう1度穴を掘らないと、向こう側に行くことはできないのだ。


 穴を開いたままにしておくことができるなら、僕は何も言わない。それ以外のことは僕は望んでいない。そうだ。これと別の仕事につこうなんて考えてはいない。ここでこのまま働き続け、死んでしまうのも悪くないと思っている。ただ、1度掘った穴が1晩たつと元に戻ってしまうことだけは…許せないのだ。

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