散文詩

「何か」という言葉に代わる何かを僕は見つけ出したい。帽子でも、効きすぎたクーラーでも萩原朔太郎の散文詩でも何でもいい。どんなにくだらないものでも、中身がぎっしりと詰まっているものなら僕は喜んで財布を投げ出す。400円程度しか入っていないが。それでも全財産にはかわりはない。干し椎茸ひとふさを黄金のように有り難がって一冬かけて食べていた家族だっていなかったわけではないのだ。…とにかく言葉のための言葉というものに僕はうんざりしてしまった。僕は辞書のページを1枚1枚千切りとって暖炉の火にくべたい。そのためにせっせと石を積み上げて暖炉と煙突をこしらえてもいいくらいだ。大家は怒るだろう。隣人は泣きわめくだろう。しかし知ったことか。僕は言葉以上のものが欲しい。そのためならばどんな的外れなことでもできる気分なのだ…

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