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仕事の幅を広げろ会議の続き

20230418

ミーティングの続き。



 殿が去り、ボスが口を開いた。

ボス「んー、さっきベッキーさんが言ってた通り、NさんとOさんにはもっと中を見てもらいたいっていうのはあたしも思ってる所だし、
ラミネートもパートさんから『社員さん2人が入らないといけないんですか?』って言われるのもそうだし、なるべくラミネートやるのは社員とパートのコンビとかでって意見も出てるのよ」


これ一生やってる。
パートの本音はラミネートという作業には入りたくはない。
(印刷の量に寄るが数時間立ちっぱなしで、材料間違えも怖いからかも?)
だから誰さんが何回入った、誰さんは少ないからズルい、などと声が上がり、
それが面倒臭くてNとOが2人1組の固定でラミネートに入っている。

しかし時間が経ち、NOが楽しそうにラミネートをしている声を聞くと、パートは自分達の方が忙しいんじゃないか、と思い始め、よく見てくれていない事にも不満が募り、ボスが言ったような意見が出てくる。

これを周期的に繰り返している。
今は「ラミネートくらい私達もやるよ?」の時期。

 パートが望んでいるのは、スケジュールを立ててくれて、面倒臭いことをやってくれて、評価をしてくれて、自分達より楽しそうにしないNOだ。

営業との打ち合わせで、NだかOだかが笑ってるのを聞いているのもイラッとする、という苦情も届いている。

つまりパートから嫌われているから何をやってもやらずともクレームは入る。



ボス「ベッキーさんの話じゃないけど、NさんとOさんがラミネート室に篭ったら、パートさんは誰に聞いたらいいの?って戸惑いがあるから、2人には今後そこも意識してもらいたい。

 遠慮して、じゃなくて、ベッキーさんはパートさんよりも上なんだから、Nさんがいない時は指示してもらってもいいし、そこはNさんと打ち合わせしてもらって良いと思う。感じたところを言ってもらって。
そういうコミュニケーションを取って行かないといけないのかなって」

N「逆に、あたしとOさんが手配とかやっちゃってると、仕事の流れが見えない部分もあるよね?」

ボス「よく聞くのは、Oさんが今日午前中いっぱい業務室から出てこなかったって話ね。
パートさんもよく見てる。

でも分かるよ?手配を打たないと印刷に回せないし。
だからそこはOさんの代わりにパートさんに打ってもらうとか。

 で、今もポニテちゃんが最後集計とかしてるじゃない?書類関係とか、パートさんなんかともキャッチボールが出来てる。

あたしはね、見てて思ってるの。ポニテちゃん業務としてやっても全然損傷ないんじゃないかなって。
そこをやる事によって、もっと広い視野になって関わってなかった所の状況も分かるようになるのかなーって。

 で、ベッキーさんにはS社だけの手配を任せるのは?
よく蛇さん(営業)が『もうNさんは一杯だから俺が代わりにやってる』って言ってたくらいだから。

Nさんが休みの間にベッキーさんとやりくりして、蛇さん的にはもうベッキーさんにお任せ出来るって言ってたよ」


 ここで取締が「ケーキ食べて喉乾いたでしょー?」と麦茶を持って来て中断。
せっかく綺麗な流れを作っていたのに。

飲み物を注いでいる間も、ベッキーはずっと「んーーーーーーーーーーー」と唸っている。
空気が重かったので、わざと「カンパーイ!」と言ってみたりしたが、やっぱり誰もついて来ない。重いから。

紙コップを片付けるまで取締がいるようなので、全員一息に麦茶を飲み干した。






ベッキー「この間の話もそうなんですけど!一番の今の簡単な問題点は…………うっふ」

ベッキー達3人は目を合わせてクスクスと笑い出した。

ベッキー「うふふ、パートさんとNさんの〜」
ボス「(ベッキーさんが)間に挟まれてる?」
ベッキー「あ、いえいえ、あたし達はどっちでもないというか、こっち(社員)寄りか!」

「こっち寄りか」という言葉に見守っているヤレバ・デキルジャンとポニテが笑い出す。
絶対パート寄りの考えです!が正しいじゃん。


ベッキー「なんて言ったらいいんだろう。まぁ、感じてらっしゃるとは思いますけど、表面的には仲良く出来るけどもぉ、(パートと社員の)溝はある!」

ボス「うんうんうん」

うんうん、じゃなくて。

ベッキー「を、感じてらっしゃる。何故!!溝が出来てしまうのかについて考えた方がいいのかなーって」

 ベッキーの先導で『上司とパートの溝について』の会議が始まった。

まず業務を誰にどこまで引き渡すかの話を片付けろ。
散らかったまま誰も片付けようとしないんだから全くもう。


ベッキー「折角仕事をしているのに、……なんだろう」

わたし「お願いしにくいとかそういう事ですか?溝があるから」

倒置法。表面上でやれてんだからいいじゃんって事をすごくすごく遠回しに言った。遠回し過ぎて誰にも伝わらなかった。

 わたしは早くさっきのおもちゃを片付けて欲しいから、この話題をかっ飛ばしたいと思っている。
でもそれをやると人としていけないらしく、そこに目くじらを立てられても面倒なので、意識してマイルドに変換するようにしている。・・・・・・しかし伝わらないな。どうやるんだこれ。


ベッキー「本心は言わないってとこ」

それ今のわたし。

わたし「(本心知ってどうすんだ?)意見を言ってくれないとか?」

ヤレバ「こういう仕事って、みんなでやる仕事だから、誰かが大変で困ってたら……何て言ったらいいの?この人を助けてあげたいなとか、そういう風に思えるようにみんなこう、日々過ごして行かないとぉ、誰かが困っている時に助けてあげたいとか、助けて貰ったりとかいうのは、出来ないかなぁーってあたしは思ってるんですけどぉ日々……」

ボス「うん」

ベッキー「だから自分のチームだけじゃなくてぇ〜、パートさんは意外と見てる。

あっちのチーム大変じゃないの?とか思ってるけど!本来ならその指示を、上司が出すべきじゃないの?って。
Nさんもその目で見てぇ、『あれ?あそこ大変そうだから』って、自分の所も勿論理解した上で、あっちに入ってみようかって指示を出して!欲しい!っていうのが今のパートさんのぉー思いでぇ、あたし達は自分で動けるんですけどー。

パートさんの立場で、チームを跨いで手伝ってはいけないっていう。
だからそれを上から見て欲しいっていうのが、溝の原因になっている気がします!
そこはどうにかならないのか」

殿がベッキーに「上司1人じゃ目が行き届かないから目になって欲しい」ってお願いしてたやつがまさにそれなんだけど?????
??????????


ヤレバ「あたしの所が結構(手伝いに)来て貰う立場なんですけど、申し訳ないなって常日頃思っててなるべくあのー……あたしなりに、ここは足りてるからこの方はこちらに行ってもらってってとかは、思うのでぇ。

パートさんとやりとりはさせてもらってますけど、本来であれば、あたし達がするべきじゃないんじゃないかなっていう」

ベッキー「現場を!見て欲しい!現場で仕事しろって言ってんじゃないですよ?現場を見て欲しい!」

いや、NやOが自分達より負担の軽い加工・検査の作業をしてたら「あたし達がコレやってるのに上司がソレってどういうこと!?誰々さんも引き受けないで上司にやらせれば良いのに!」って怒ってるじゃん。裏で。本心どうした。


ベッキー「手配とか一杯あるから、別にあたしは加工して欲しいって言ってる訳じゃないんですよ?

ただ、どれだけの物を抱えてて、作業時間がかかるから、じゃあこっちは誰かに任せてこっちをやってもらおうとか、
快速急行社(ヤレバのチーム)もこのくらいあるなって把握して、ちゃんと両方を見て欲しい。
そういう采配をするのは、Nさんじゃないのかなって、で、パートさんもそう思っています。

 だからもう少し、リーダーシップを取って欲しいというか。
あたし達が加工・検査で、自分達の仕事を守っているけれども、その上でしっかり、全体を把握してる人が、必要じゃないかと思うんですけど」

ボス「うん。どう?」

どうだと?
経営者が言ってんだから、上司の業務をベッキー達が少し引き受ければ良いと思う。

 NとOは何十社とあるお客さんをほとんど2人(ボスやわたしに振り分けられたりもある)で担当を分け合っていて、
手配しーの、仕様書作りーの、営業と打ち合わせしーの、現場と打合せしーの、問い合わせありーの、在庫管理しーの、パートに指示しーの、ISOの活動で材料証明書を出しーの、現場が待ってるから早めにラミネート室に数時間篭りーの、加工しーの、検査しーの、と、
営業がまだ社内にいる午前中なんかは追いかけられるので、他の仕事は出来ない状態。

殿がこの状態を把握してるとは思っていないが、ともかくベッキー達にやらせたい。
なぜなら、パートより給料貰ってるのにパート時代とやってる事が変わっていない。だから増やしたくて仕方がない。
パートの中にも手配をやる人もいる。

それに殿は新人を入れる気はないから、今いるメンバーで回したい。きっとこうも思っている。

経営者が言うならとりあえず指示に従ってみようぜって話をした方がいいと思う。
そんな無茶な事を言っている訳ではないからね。
いや、やってダメだったら無茶でしたって報告すりゃいいし。



O「んー、自分の事で一杯一杯で見れてないのがある」

ボス「ボリューム分かる?あとどんだけあるっていう」

N「うん、加工がどんだけとか印刷がどんだけとか見てはいるけどぉ」

O「見ようとはしていても、実際見きれない。
加工を気にしようとしても営業さんがダーッと入って来て、これを先にとか言われちゃうともう加工を見てられない」

ボス「あとメールも来たりね。そこで必要なのが一言なのよ。
『今業務から出れないから、頼む!』っていう一言。
そういうのがないから指示がないって事になるんじゃないかしら。

『ごめん、パートさん達で上手くやっといて、出来ない範囲だけあたしフォローするから』って。ほんの一言だと思う」

確かに。でも、嫌われてるから何したって文句は出るよ。
既に「上司ずぅっっっと!席に座ってて加工に全然来ない。あたし達ばっかり!やって見せて欲しい!」って言われてる。
机で何をしているのかを疑われているから、一言声をかけた所で猜疑心は拭えない。
パートをチヤホヤしようって感じだから威厳がなくて舐められてるんだよ。


ボス「え、違う?」

ベッキー「うんまぁ……。
パートさんとかと喧嘩したい訳じゃないじゃないですか。上司さんの事を嫌だと思ってる訳じゃなくてー」

さっきから本心どこ置いて来たん。
どう見ても上司のこと大大大嫌いじゃん。


ベッキー「仕事をスムーズに回すために!コミュニケーションが必要だからぁ、
『ちゃんと見てるよ、大丈夫?』って言うだけじゃなくて、ちゃんとぉ!見てるしぃ作業時間も分かってるしぃっていう、確固たる物を持ってるんだなっていうのがあって初めて、あぁ、社員さんだもんね!っていうのにも繋がるんだと思うから!

 何も喧嘩したい訳じゃないんですよ!?だからぁ言って下さればぁと思う」

ボス「なんか上手いこと出来ないかなって。だからその為に、ポニテちゃんがそっちの範囲でいけるんじゃない?って。今度ポニテちゃんの方がラベルプリンターも見れたりって思ったの」

ポニテ「!?……見るっていうのは!」

ボス「うん?」

ポニテ「見るって言うのは!」

ボス「手配とか」

ポニテ「そのぉ〜、あたしはぁ、担当を持ちたく……持てない、持つっていう責任を負えない」

本心や。ここに来てやっと本心が。

ポニテ「それだと返って無責任になってしまうからぁ、出来ないっていうあれで……」

ボス「いや!ん〜、お客さんとのやり取り、営業とのやり取りもあるけど、じゃあ手配とかその辺を、やってもらうとか」

本心強え。1番面倒で時間を取られる仕事を免除された。


ベッキー&ヤレバ&ポニテ「そういう……う〜ん、そういう……」

あんなに譲歩したのに 笑

「私が手配しました」とか、責任を負うこと自体がNGなのかね。
責任感から先に手を打つというより、他人の目を気にし過ぎるから責任を負いたくないように聞こえる。
ミスした時に上司やパート(主にパートかな)からの評価が下がる恐れがあるのが嫌なのかなと感じた。


ボス「簡単に言い過ぎ?」

わたし「そんな深刻なことにはならない」

時間も時間だし、口が出たわたし。

ボス「あたしもそう思う」

わたし「そんな悩むほどの事はお願いしてないと思う殿も」

ポニテ「う〜ん、どうなんでしょうね」

わたし「一歩行けたらもう一歩行って欲しいけど、(能力的に)進めないならそれでいいし、ってぐらいだったんじゃないですかね、殿が言ってたのは」

ボス「うんだから、全部渡すとかじゃなくて、注文来たら図面袋出して手配打つだけとかで良いのかなって」

N「サブ的な感じ」

Nは余計な事を言うな?


ボス「あとは、違う話になるけど、女子キムさん。
女子キムさんを快速急行社チームに入れちゃったらどうかなって」

ベッキー「女子キムさんは嫌がってるみたいですけど」

女子キムはオールラウンダーにしようと育てているチーム無所属の加工・検査のパート。

ベッキー「ここまで来ちゃったら、どこかに所属するって言うのは嫌だって。今の方が休みも取りやすいですし」

ヤレバ「あたしも聞いたら、今が楽ですよねって」

ボス「そんな事聞いたらどっか(チームに)入れちゃう」

ヤレバ「あたしはもっと早くやるべきだったと思います!責任感が生まれるから!」

他人には責任感を持って欲しいのか。





 なんやかんやとあり、

ボス「じゃあ上手く決まらなかったけど、また月1にこういう、意見交換の場を持ちたいと思います。朝礼の時間を上手いこと利用してお互い横の繋がりも流れるようにしたいと思います。

……なんか、ごめんね、落ち込んでる?」

明らかに落ち込んで気分が悪そうなNOの2人。
ベッキー達がミーティングに入るようになってから毎度ボコボコにされている。

わたし「元気出しなよ」

さっき殿から配られた歯磨き粉の味がするマンゴーのグミを差し出した。
歯磨き粉の味がするらしいとさっき教えてたので、全員が不味い事を知っているグミだ。

ボスが続き、ヤレバも続いた。ヤレバ、お前は違うのよ。ボコボコにした側だから。

しかしグミは受け取って貰えなかった。こんなに不味そうなのに。



 加工室に戻り、Nがネタで「まぁ元気出して」とグミをわたしに渡そう(押し付けよう)としてきた。
わたしはベッキー達に倣って、それを左に受け流した。


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