連載小説 ポンタ探偵事務所(46)
「あらお二人さん、いらっしゃいませ」
上屋警部と新米刑事が入って来た。
「ママ、いつもの、おやおやインチキ探偵さん、今夜も来てるんか、まあ他に行く所無いもんな」
「あら、上屋さん、失礼ね、うちの店じゃご不満?」
「ごめんごめん、そんなつもりで言ったんじゃ無いよ、エヘヘ」
ママに突っ込まれタジタジの上屋警部は頭を掻いた。
金田に本題を切り出すタイミングを二人が入店して来た事で逃してしまったポンタは頭を抱えた。そんなポンタを見てママは苦笑いしている。
自分達が来て、店に微妙な空気が流れ始めたのを敏感に感じ取った新米は百合絵をチラリと見た。百合絵は金田の方を流し目で見て、新米にその存在を知らせた。
金田が店に居る事に全く気付いていない警部に新米はそっと囁いた。有力な容疑者である金田が店に居る事に、警部は動揺する気持ちを押し殺しながらカウンターに着いた。
つづく
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