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連載小説 トビの舞う空(75)


舜太とカレンちゃんは、いつもの海岸に来た。二人はトビの舞う空と同じ景色を眺めていた。

「舜太良かったね、これで美術大学に行けるね」

「うん、頑張って苦手なデッサンの練習しなきゃ」

ランボーとウッチーは部活で学校に戻った。そして渡辺も美術室に忘れ物をしたとか言って学校に帰って行った。二人に気を使ってなのだろうか。

「カレンちゃん、僕は決心したよ。僕は画家になる。江島早雲みたいな人の心に響く、皆に元気を与えられる絵を描きたい」

「うん!舜太なら絶対になれる」

「僕の絵は売れないかも知れない、ずっと貧乏な生活になるかも知れない。でも僕はカレンちゃんといつまでも一緒にいたい」

「舜太の絵が素晴らしい事は、ずっとずっと前から、私が一番知っている。舜太が絵を描く為なら、プロサーファーでもモデルでも、私が何でもして稼ぐから大丈夫!」

江ノ島に沈む夕日が二人を照らす。水平線に近づく程に大きく見えるのは何故だろう。橙色の太陽はゆらゆらと揺らぎながらその姿を水の中に落として行く。

「カレンちゃん」

「舜太」

波止めコンクリートに座る二つの影は次第に長くなり、そして一つに重なった。


つづく

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