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連載小説 ポンタ探偵事務所(53)


「そんな馬鹿な!親父さんは矢吹クリーニングをお嬢さんに継がせると言ったんだ!捨て犬で丁稚の俺なんかに継がせる訳ない!とこの場ではっきりと言われたんだ」

「おいちゃんのバカ!お父さんはずっと私とおいちゃんに継いで欲しいと思っていたんだよ!私は、小さい頃からおいちゃんに憧れていた、毎日汗だくになりながらアイロン台に向かっているおいちゃんはとてもカッコ良かった!小学校の卒業文集に、私はクリーニング屋さんになりたいって書いた事知ってる?私の夢はおいちゃんと二人で店を継ぐ事だったんだよ」

三女は金田の腕を両手で掴んで揺らした。

「私、おいちゃんと結婚したいって何度も言ったのに、おいちゃんは全然相手にしてくれなかった。子供だと思ってたのかも知れないけど、私は真剣だったんだよ」

「お嬢さん、私の様な馬の骨とでは不釣り合いです。あまりに身分が違い過ぎます。歳も離れていますし、親父さんは反対したに決まってます」

金田は三女の手を振り払った。

「金田さん、遺言書の最後の一枚を読んでみてください」

ポンタは静かに言った。


つづく

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