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【小説】九本足のタコ

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明石の海に暮らしていたタコのオレはタコ壷漁に掛かり海鮮料理屋の生簀にいた。料理されるすんでのところで少年きょうすけ君に助けられペットとして飼われる事になった。きょうすけ君はオレに… もっと読む
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【小説】九本足のタコ あとがき

九本足のタコがトロフィーを頂きました。読んで頂きありがとうございました! ◇ 九本足のタ…

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【小説】九本足のタコ(全文)

オレはタコだ。 名前は無い。 食べられる運命のタコに名前などあるはずもない。 オレは今窮…

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連載小説 九本足のタコ(30)最終回

きょうすけ君!気付いて!オレだよ!タコ造だよ! オレは新しく生えて来た二本の足がきょうす…

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連載小説 九本足のタコ(29)

モリを持って潜って来た人間は首をキョロキョロと振りながら獲物を物色していた。オレは気付か…

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連載小説 九本足のタコ(28)

オレはすぐに明石のタコ軍団のNo.2になった。トップはもちろん長老だ。オレは経験の浅い若いタ…

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連載小説 九本足のタコ(27)

オレはこの小さな岩場で九本足のタコとなり、すっかり体力も回復した。数々の修羅場をくぐり抜…

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連載小説 九本足のタコ(26)

その後もしばしば長老は、ようとひょっこりやって来ては例の薬草を届けてくれた。そして、早く治して明石の海に来い、といつも励ましてくれた。 長老の薬草の効きめは絶大だった。ふやけていたオレの足の傷口はすぐに塞がった。そして小さな突起が出て来て可愛らしい吸盤らしき物も見える様になって来た。 この小さな岩場でとても仲良くなったキュウセンベラの姉ちゃんは生え始めたオレの足を見て大変喜んでくれた。良かったねとオレの小さな足にチュッチュしてくる。ちょっと色っぽい可愛い姉ちゃんだ。 小

連載小説 九本足のタコ(25)

海に戻ったオレは小さな無人島に波の静かな岩場を見つけた。激しい潮流の明石の海に戻るには余…

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連載小説 九本足のタコ(24)

瀬戸内特有のこんもりした島々がポカンポカンと浮かんでいる。そのずっと向こうに巨大な吊り橋…

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連載小説 九本足のタコ(23)

楽しい時間が過ぎるのは早い。きょうすけ君の練習試合はあっという間に終わり太陽は西に傾いた…

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連載小説 九本足のタコ(22)

お父さんはオレの水槽を車に積み込み、家族全員で瀬戸内海の近くにあるグランドに向かった。グ…

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連載小説 九本足のタコ(21)

リコは水槽の前に頬杖突いてオレをジッと見ている。たくぞう、足が一本無くなっちゃったね、か…

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連載小説 九本足のタコ(20)

きょうすけ君は弱ったオレを水槽から取り出した。オレは力無くダラリと身体を垂れた。きょうす…

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連載小説 九本足のタコ(19)

きょうすけくん、お腹空いたよぉ、ガジガジ、 オレはもう長い間エサをもらえて無い。 身体中が痒いよぉ、助けて、きょうすけくん、オレの事を見て、ガジガジ、 生命感の薄くなった濃緑色のオレの水槽の事など、もう誰も気に留める事は無かった。 オレは何日もの間、壺の中から出てない、少しでも動くと水質の悪化で身体が痒くなるから。 とうとうきょうすけ君にも見放された、オレはもう終わりだ、ああ海に帰りたいなあ、ガジガジ、オレは故郷の明石の海を思い描く毎日だった。 玄関のドアがバタン