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『TSUTAYAの謎 』 2.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

堤さんにお会いしてみると、やはり楽しい。
「北島さんにも同じことを話したのですが良い会社ですよね。大きな会社なのにベンチャーっぽく、フットワークの軽さが小さな会社以上で、それが不思議で仕方ないです」と伝えた。
後日、堤さんから別の方もご紹介いただき、またお話を聴かせていただいたぼくは、CCCさんという会社に益々興味を持つようになった。

昨年暮れから何人もCCCの社員さんにお会いしたけれど、どの方からもこの仕事、会社が好きで楽しいといった印象が伝わって来る。
この会社の空気感を彼らはどうやってつくり出されているのか。
大きな会社だからできることがある一方で、だからこそ組織が硬直しつまらなくなる会社の方が多いと思うぼくは、そうならない理由や会社の在り方を知りたいと思った。

そこで、社長である増田さんについて書かれたものがないか探してみると、ご本人の著書が何冊もあることがわかった。
今更ながら著書を4冊、それに週刊東洋経済でのインタビューと蔦屋家電さんが特集されたpen+を立て続けに読んでみた。

『情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの失敗から学んだこと』

『代官山オトナTSUTAYA計画』

『知的資本論 すべての企業がデザイナー集団になる未来』

『TSUTAYAの謎 』

『週刊東洋経済 TSUTAYA 破壊と創造』

『pen+ 誰もがワクワクできる場所 蔦屋家電へようこそ。』

『情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの失敗から学んだこと』は刊行が2010年だけど、これは1996年のものに加筆され復刻版として出されたもの。
ぼくが読んだ中で直近のものは、2015年刊行の『TSUTAYAの謎 』だから時間の幅がかなりある。

共感したというのもおこがましいけれど、ぼくの思っていたこと、普段からスタッフに話していたことと重なる話がいくつもあり嬉しくなった。
また、漠然と思いながらぼくが言葉にできずにいたことも理路整然と言語化されていたし、もちろんぼくには考えが及ばないこともたくさん書かれていて今後のリアル店舗の在り方、指針とすべきことを学んだ気がする。

長い間に刊行された複数のものを一気に拝読すると、頻繁に登場する内容や言葉に重複するものが多いことがわかる。
蔦屋というネーミングの由来、創業時に増田さんが書かれたという「創業の意図」と題された原文、オフィスのエレベーターで乗り合わせた若い男性スタッフと挨拶をされたことが分社化をするきっかけとなったエピソードなど。
同じ言葉、同じエピソード、同じ考え方などが散見するけれど、それが1996年から2015年にかけて書かれたもの故、増田さんが本質とされる部分や考えに一貫性がありブレのないことがわかる。

もしぼくがCCCの方々とお会いすることなくこれらを拝読していたら、 “良いことが書かれているけれど実際はどうなんだろう、すべて本当なのかな” といった懐疑的な感想をもったかもしれない。ところがぼくは、読むよりも先にCCCの方々に直接お会いすることになった。そしてみなさんから自由さといった印象を強く受け、それがぼくにとっての「TSUTAYAの謎」となったのだけれど、著書を拝読するとその謎は解け腑に落ちた。
無論、懐疑的な感想を持つこともない。ぼくが直接お会いした方々こそが増田さんの書かれている “正しい意味での自由な会社” を体現されている方々だったから。

『知的資本論 すべての企業がデザイナー集団になる未来』の中で、増田さんはこう書かれている。

『イノベーションはいつでも、アウトサイダーが起こすものなのだ 』

ぼくのヒーローの1人、イーロン・マスクさんも同じことを言われている。

『本当のイノベーションは、まったく別の分野からやってくる』

本当にその通りだと思う。

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