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「特に意識していない」 これが引き金

7月31日の日銀が政策金利引き上げを決定したこと。
けれど利上げを決めたとはいえ、わずか0.25%でしかない。
(中略)
本当の引き金となったのは利上げ発表そのものより、その後の植田総裁による定例会見だったのだと思う。

米国がくしゃみをすると、日本が風邪をひ

今回、日経平均株価大暴落の引き金となったと思う植田総裁の定例会見。

4月26日に開かれた日銀金融政策決定会合の後、植田総裁は定例の記者会見で、記者から「基調的な物価上昇率への影響は無視できる範囲だったという認識でよいか」と問われ、「はい」と答えてしまった。

迂闊だった 「はい」

この「はい」は誤解だっただろうし迂闊だとは思うけれど、裏を返せば植田総裁が利上げに対し、とても慎重な方ともとれる。きっと多くの人がそう思われていただろうし、その後の発言を見聞きしても、その印象は変わらない。

何かとサプライズの多かった黒田・前日銀総裁と違い、とにかく慎重に、そんなに石橋を叩いたらそりゃ割れるよ、というほどの慎重さで物価への影響を見極め、市場を驚かせたり混乱させないように、といった配慮ある方という印象で、つまり明らかにハト派だった。

そんな植田総裁が31日の定例会見では、こう述べられた。

「利上げは景気に大きなマイナスの影響を与えることはない」

また、過去の利上げ局面で上限となった「0.5%の壁」についても

「特に意識していない」

つまり、経済や物価情勢が大きく下振れせず見通し通りであれば、今後も数回の追加利上げをしていくし、なんなら5%を超えてもやっちゃうぜー、と。

おい、おい、本当に、ぼくの知っている植田さんなのか!?

迂闊な「はい」の時には「吉本新喜劇のようにコケそうになった」ぼくも、今回は椅子から転げ落ちて前転するほど驚いた。
きっと会見を見ていた世界中の人が前転したと思う。

うわっ、ハトやと思っていたらタカやった!まるで別人じゃないか。本当にあの植田さんなの?と思うほど、スタンスが180度変わった。

それに、見切り発車じゃないの?

これまで日銀が重視していたのは「賃上げと物価の好循環」で、それを確認してインフレ率2%を持続するなら利上げだったはずだけれど・・・
まだ実質賃金も個人消費も需給ギャップもマイナスなのに(需給ギャップマイナス=需要より供給が多い)。
一昨日、ニュースで「6月の実質賃金 27か月ぶりプラスに」って、やっていたけれど、これはボーナスが良かったからだろうし(中小零細企業は大丈夫なのかな)、それにこの統計調査が出たのは、日銀の会見より後だ。

この植田総裁の豹変発言で、ぼくだけでなく市場も何回転も前転をするほど驚いた。だから0.25%の金利が問題だったのでなく、「今後も利上げがある」と伝えてしまったことが大暴落の引き金になったのだと思う。

でもなぁ・・・

つづく



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