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『TSUTAYAの謎 』 1.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

うちの店が新宿から出ることが決まったとき、最初に声をかけてくださり、お会いした方々がとても印象的だった蔦屋さん(CCC)の話。

実はCCCさんからの打診があったのは今回が初めてでなく、大阪にできる商業施設のお話を昨年暮れにいただいたのが最初だった。
そのときは、うちにまったく余裕がなかったため丁重にお断りをしたけれど、せっかく京都まで足を運んでいただいたので担当の方に業界の現状や「これくらいの規模になると〇〇さんとか、〇〇さんくらいでないと出店は厳しいと思いますよ」といった、ぼくなりの見解をお話させていただいた。

数日後、「今度は誘致の件じゃないですが一度お話を」というご連絡をいただき、お会いすることになったのがCCCの北島さん。
彼とはすぐに意気投合し、いろんな話をしてとにかく楽しかった憶えがある。
CCCの増田社長のお話やT-SITEさんの今後の予定、展開などを聞かせていただいた。
彼はとても頭の回転が速く、かなり仕事のできる方という印象だった。
また、会話の端々から事前にぼくのことをかなり調べてこられたという印象も受けた。

正直に書くとぼくはこれまでCCCさんをそれほど意識したことがなかった。
ぼくの中では本屋さんであり、CDやDVDなどのレンタル屋さんであり、T-SITEを展開されはじめてからは、随分かっこいいお店をつくられるな、という程度の認識だった。
ところが北島さんとお会いしたことでぼくは会社としてのCCCさんが気になりはじめる。彼から受ける印象にしてもCCCさんの展開のされ方にしても巨大な企業なのに、とてもベンチャーっぽいという率直な感想をお伝えした。無論ぼくは良い意味で言っている。

MBOによって非上場化されているとはいえ巨大な企業に変わりないのに、そのフットワークの軽さやそこで働かれている方々が本当に会社が好きで楽しみながら働かれている印象が強く、この会社にはいわゆる大企業病といったものがないのかな、と思わずにいられなかった。
「いつか機会があれば、何か一緒にやりたいですね」と言葉を残し、彼は東京へ帰られた。

それから約半年後、うちの店が新宿から出ることを告知した際、最初に打診をくださったのがCCCさんで、そしてお越しいただいたメンバーのおひとりがなんと北島さんだった。
立派な資料までご用意してもらい提案していただいた物件は、残念ながら面積の問題などで実現しなかったけれど、お会いした方々から受ける印象は以前に北島さんとお会いしたときと同様 、やはり良い会社なんだろうなと思わせるものだった。

北島さんはその後も電話やメールで連絡をくださり、「その後どうですか、良い場所が見つかりそうですか?」とお気遣いをいただいた。
彼をはじめCCCのスタッフさんとお会いして以降、多くの会社さんから物件をご紹介いただく中、最近お話をいただいたのは、またCCCさんだった。
今度は、堤さんという男性からだった。

つづく


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