『小さくて強い店』について考えてみた 11.
※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。
2つめは、可能な限り価格を高く設定する。
東京だと「安い。もっと価格を上げればいいのに」と言われることの多いぼくが矛盾するかのようなことを書いているけれど、ぼくがやろうとしていることとミニマムにお店をやるのとでは方法論がまったく違ってくるので、同じような価格設定にならないのも必然だと思う。
繰り返し書いているけれど原材料や設備等、人件費の高騰(それがパートアルバイトさんだけであっても)、税金や保険料の上昇は自分の意思ではコントロールのできない外的要因になる。また、これらは事業所にとって年々悪くなる一方という現実も避けれない。そこでコスト上昇分を価格に転嫁する必要が出てくる。
この値上げは当然すべきだけれど、それが理に適ったものであってもスターシェフや有名店でもない限り個人で小さなご商売をされている方にとっては、実はこれがなかなか心理的にハードルが高かったりする。
おそらく大半のお客さんの可処分所得は良くて現状維持、人によっては下がっている方も多い現実を思うと、値上げを躊躇うことになる。
小さなご商売をされている方の心理としては、こじんまりとやっているのだから元々お客さんもそれほど多いわけでもない。なのに値上げをすることでこれ以上お客さんが減ってしまったら・・・と、こんな感じだと想像する。
とても気持ちはわかるけれど、適正価格という意味でもこういった値上げは不可避だし、それをしないとそもそも維持継続なんてできなくなる。
それに加え、付加価値をつけて可能な限り価格を高く設定することが小さなお店では必要とぼくは考えるので、振り出しに戻るけれどやはり「小さくて強い店」なんて本当にあるのかな、と思えてくる。
種類が少ないことも価格を可能な限り高く設定することも、お店をしている側からすればかなりドキドキすることだろうし、作っているものによほど自信がないと難しいとは思うけれど、小さなお店でギリギリの人数でやる以上、ちゃんと利益を出し続け長い間維持継続をするためには、それでもお客さんに選んでもらえるお店を目指す以外に難しいと思う。
「もし、ぼくならこうする」の3つめは、営業日を減らす(定休日を増やす)。日々食べるもの、買えるものがパン屋さんだとするとこの方法はいかがなものかと思わなくもないけれど、今の時代、必ずしもこうでなければいけないといったこともないと思うし、何よりもまず続けていけることが大切だと考える。
ぼくは実際、かなり昔に週末営業のみ(金、土、日、祝日)に切り替えた。
そこで、ぼくが週末営業へ切り替えた経緯を次回。
つづく