見出し画像

ぼくが、あまり外食をしない理由

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

食に携わる仕事をしていながら、ぼくがあまり外食をしないのには理由がある。

違うな… 外食は、よくしている。
ご近所にやよい軒さんを見つけてからというもの、新宿で1人のときはほぼ毎日のようにやよい軒さんで食事をしているから「外食をしないか?」と訊かれれば、「かなりしています」ということになる。

ここで書こうとしている外食は、そういった大衆的なお店のことでなく「さすがにこの格好じゃまずいんじゃないか」とか 「財布にいくら入れていたっけ」といったことが心配になる外食で「そりゃ予約してから行くでしょ」という類いのお店 、つまりちょっといいお店のこと。

この「そりゃ予約してから行くでしょ」といったお店に、ぼくはあまり行くことがない。行かないことはないけれど、仕事柄を考えると頻度は少ない方だと思う。
これにはぼくなりのちゃんとした理由があって結論から書くと、ぼくがまったくお酒が飲めないから 。

美味しいと評判で人気のお店は、たいていこじんまりしたお店が多いので席数が限られることになる。
飲食店は限られた営業時間の中で売上を伸ばすことを考えるので、特にこじんまりとしたお店は1テーブルあたり、あるいは1席あたりの客単価が重要になってくる。まして予約困難とされるようなお店では、テーブルであれカウンターであれ、その貴重な1席を下戸であるぼくが確保してしまうのがなんだかとても申し訳ない気持ちになる。

ぼくの行きたいお店がアラカルト(単品)のあるお店ならまだよくて、こういったときには飲めない分、たくさん食べようとも思えるけれど、こじんまりしていて予約困難なお店は、たいていコース1本である場合が多い。
だからぼくは「一番高いお水をください」とついつい言わずにいられないけれど、こういったことはいまに始まったことでもない。

ぼくが駆け出しのころ、勉強のためにレストランなどへ行く際には、できるだけお酒の飲める人を誘うようにしていたし、予約を入れる際には「お酒がまったく飲めないんですが、いいですか」と必ず一言添えた。
お店の方は当然のように「もちろん、結構ですよ」と言ってくださるけれど、やはり申し訳ない気持ちになってしまう。
きっと気にしすぎだとは思うけれど、どうしてもお店側のことを考えてしまう。
ぼくはそちら側にいた人間だから。
いつかやりたいと夢に思う店が大箱なのも、きっとこういった理由もあるからなのだと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?