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『小さくて強い店』について考えてみた 6.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

本来パン屋さんの仕事は分業でやるからこそ必要な量を製造することができ成立するものだと考えれば、それを1人や2人でやろうとするのはやはりかなり無理があると思う。また、そうした無理をすることで成立させようとすると起こり得る弊害もたくさん考えられる。

例えば営業時間内なのに行っても選べるほどパンがなかったり完売しているといったことが続けば、その時間帯でないと行けないお客さんは恐らくもう来店されなくなる。いわゆる機会損失で、これが常態化すれば当然その後の業績が伸びるとは考え難いし、場合によってはいずれお客さんが減りただでさえ少ない売上が更に下がることだって十分に考えられる。

またパン屋さんに限らず飲食のお店をされる方は、自分たちの作るものに自信があるとか、少なくとも自分が美味しいと思っているものを多くの方に食べてもらいたい気持ちで作っている。ところがせっかく美味しいものを作ってもそれが届くのは手にしたお客さんだけということを考えれば、元々お客さんがそれほど多くもない小さなお店が品切れを起こしていたのでは、お店や味を知ってもらう機会もそこから広がる可能性も小さくなる。
売上という側面以外から考えてみても製造量が少ない、足りないというのはデメリットにしか思えない。

この話の最初に小さなお店のメリットとして初期投資やランニングコストの低さから損益分岐点が下がることを挙げたけれど、それらも売上があってのことだからどれだけ経費を抑えたところでそもそもちゃんと売上を確保できなければ、経費云々以前の話になる(経費を可能な限り抑えることは大切)。

結局お店を維持継続していくためにはしっかりと利益を出す必要があって、そのためには相応の売上が必要で、それは売れるというとても大切なこと以前に必要量を製造することが可能ということが大前提になる。
もしこの必要な製造量が作れていない場合、この先続けていくために否が応でもいずれ何かしらの対策を打つことになると思われる。

そのときに多くの職人さんがまずやろうとするのは、昔のぼくやその世代の人たちがそうであったように無理をする、気合いや精神論で何とかしようとする方が多いのではないかと思うけれど、それは絶対にしない方が良い、別の方法を考えた方が良いですよ、と思う話は次回。

つづく

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