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3回目のラストマイル視聴で気付いたこと

映画「ラストマイル」公開から約1ヶ月が経った。ファーストマイル(1回目の視聴)後に、noteにその感想を書いたが、今でもリアクションしてくださる方がいて、この作品の凄さを感じているところで。

映画「ラストマイル」を見ました|圧焼きたまご

先日、3マイル目に行ってきたのですが、そこでまた感じたことが初回と違ったので、また残しておこうと思う。ネタバレ有りなので、嫌な方は読まないでくださいな。



2回目は、息子と行ったので、なんだかそわそわとしてしまい落ち着かなかった。息子は何を思うのか…そもそも内容理解はどの程度まで出来るのか、それがとても不安だった。
映画の前に、私が特に何か言った訳でないのにMIU404を全部見直したそうで(笑)
「思ったより出番少なかった」「俺には内容がちょっと難しかったかも」
が感想でした。まあそうだろうな。
メロンパン号が出てきた時、鼻で笑ってた!

そして3度目。また同じ映画観にいくの?という家族からの視線が嫌で、なかなか踏み切れずにいたところに、入場者特典の配布が始まるっていうので、それを口実に行くことができた。
ありがとうステッカー(笑)

3マイル目となった今回は、特に意識したわけではなかったんだけど、デリファスや羊急便で"働く人々"に感情移入してしまい、ボロボロと涙がこぼれてしまった。多分、おこがましいことではあるが、自分と重なってしまった。

中間管理職というと、ちょっと違うのかもしれないが、現場で実際に働く人達と、社長など経営側にある人達の、ちょうど間にいる役職。
どちらの言うことも分かるし、我々はその流れを止めるわけにはいかないのだから、その苦しさというかどうにもならなさというか…自分1人ではどうにもならない!!回すしかない!というこの感覚がよく分かるのだ。今まさにそれで苦しんでいるから。

そして八木さんの「昔は俺も誇りを持って働いていた」「遠いとこにきちまったなぁ」がやけに刺さった。現場で、お客様に直接荷物を届けていた頃は、誇りを持っていたということだろう。それが今は…。

エレナだってそう。3ヶ月の休職を経て、復帰後の仕事で気持ちだって前向きになって張り切っていただろうに、赴任初日に荷物が爆発。
会社としての利益、稼働率という数字にこだわった仕事をしなければならず、「止めませんよ、絶対」と力強く言うしかない立場。
「1年目はやりがいを感じた。2年目は順調。3年目、眠れなくなった。」
責任も重く、とにかくやるしかない…そんな立場なのだ。なので、稼働率をゼロにしたエレナは最終的に解雇された。会社の方針に反したから。

八木さんやエレナの言葉の端々に、その悲しさを感じてしまい、苦しくなった。

五十嵐さんだって。
最初見た時は、めっちゃ悪い人なんや…と思っていたけど、彼は彼で戦っていて。
飛び降りるという選択をした山崎を見て「自分もいつかそうなるかも」という恐怖心は持ったはず。でも、"山崎は弱い人間だった、弱い人間がやることだ"と思うことで自分を正当化して過ごすしかなかったのではないか。立場上。
自分だけは大丈夫、そうやって正常性バイアスを意識的にかけ、これまで自分を保ってきたのだと思う。

資本主義社会が生んだ歪み。
それぞれの葛藤が見えて、それで涙が止まらなくなっちゃった。誰もがその立場になりえるんだ。

今回の映画は、"配送"に焦点があたった作品だったが、配送業だけでなくどの業種、そしてどの会社の中にも「横たわっている」問題であること。その描写として、八木さん五十嵐さんが横たわって話すシーンがあったこと、そこに飛び降りた山崎が横たわるシーンを重ねてきたことに気付いて、鳥肌がたった。そこまで意図していたかは知らんけど。知らんけどね。

ここから先はただの箇条書きになるんだけど御付き合いくださいな。

・エレナが「警察権力の横暴さがよく分かりました!」て足早に歩き出す場面と、レーンが映る場面交互にがあって、それが同じ速さだった。早歩きの速度!!と感心してしまった。
たぶん、ここは意図してる?
後半にもう1箇所レーンの横を早歩きで行き来するシーンがあったような気がするけど、定かじゃない。

・冒頭と最後のシーンで、孔が同じようにロッカーに書かれた「2.7m/s→0」の数字を見つめるところがあるんだけど、最初と最後で表情が全然違った。
時系列に自信がないので、冒頭のシーンがいつかは分からないのだけど…役職に変化はあったと思う。
最後のシーンは、鍵をもらったあとだよね?センター長の命を受けてからだと思う。エレナが「眠れなくなった」と話していた3年目に、皮肉なことにも孔はそのバトンを渡された。自分だって山崎のようになるかもしれない、そんな不安も包含したような表情だった。

・エレナの「ねぇ、私はどっちだと思う?」
「知りたかったことはロッカーの中にあったのに」(最後の1つの爆弾に気づいたあとのセリフ)
の解釈をどのようにしたらいいのかが分からない。
「知りたかったことは…」については、筧まりかが知りたかった、山崎の飛び降りた理由についてだと思うんだけど…。あのタイミングで言う?うーん。誰か教えてください(笑)

・筧まりかが「贖う」という言葉をあえて使ったところにも、意味があると思ってて。

もし、そうだとしたら重い。重すぎるひと言だ…。

・筧さんが爆弾仕込むのに選んだ商品が、安眠のためのグッズだったんじゃないかっていうのを見かけてもう心震えてる。言われてみたらそう。羊の枕も、アロマディフューザーも、スピーカー?も。山崎佑が眠れないほどに悩んでいたことを隣で見ていたから、ゆっくり休んで欲しかったんだよね。うぅ…

・松本家の部屋番号が404なのは、見つからない爆弾のことを示してる。入れられたロッカー番号13というのも、「もう1つ爆弾がある」というセリフと重なるところもあり、こういうところは気付くと面白いねー。知らんけど。

ファーストマイルでは気付けなかったこと。
見れば見るほどに視点が変わり、沢山のことに気付ける。考えることを投げかけてくれている。犯人が誰か分かって良かったねー、配送料も20円上がって良かったねー!で終わらない。最後に「爆弾はもう1つある」と言っていた通り、社会の中に身近に爆弾はある。誰もがエレナにも孔にも八木さんにも五十嵐にも山崎にも、筧まりかにもなりえるのだから。
さあ、この作品をどう持ち帰る?という大きな問いを渡されたのだからね。どうやって処理しようかね。

…長くなったわ、このくらいにしとこ。
内容に関しての異論反論はどんどんください(笑)

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