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「17才の帝国」が魅せたもの


17才の頃、私は何を考え、何をしていたか。
最終回が終わったとき、こんなことを思った。たった5回で終わるにはもったいないドラマだった。もっともっと1人1人のエピソード深めて知りたかったし、あの帝国に浸っていたかった。そんなドラマを見て思ったことをつらつらと書いて見た。

▽俳優陣の光る演技

なんと言っても、今回のキャスト。豪華すぎる。その中でも私が心打たれたお二人のことを話させてほしい。

まずは山田杏奈さん。
ひょんなことから閣僚の1人となる"茶川サチ"と"スノウ"の二役を演じていた。
この演じ分けがとにかく素晴らしかった。本当に別人かと思ってた!

そして星野源さん。
ファンだから、というのを抜きにしても圧巻だった。のちに「月刊ドラマ」という冊子で台本を見た時に知るのだが、源さん演じる平清志のセリフ「…!!」とかとにかく三点リーダーと呼ばれるものが多かったのだ。

この絶妙なシーンを…カギ括弧内の三点リーダーを、目や眉の動き、顔全体の表情として見せていたのだから凄すぎる。

個人的には第4話の「僕の17才は…」のところで、どんどん目が死んでいくような、光が消えていくところがベスト・オブ平さんです。
スムージーを作る時の、オフな平さんもよかったですね。

▽見て感じたこと

土曜ドラマ「17才の帝国」
NHK「君の声が聴きたい」プロジェクトの一環として企画されたものらしく、「17才の総理」という随分と大胆な設定だった。

君の声が聴きたい

その17才の総理が就任したのが、UAという実験都市。元々ある、衰退した都市の再生も兼ねてのプロジェクトだった。
ここには、鷲田総理と平清志内閣官房副長官の「自分たちの株もあげちゃうぞ」という思惑も当初から見えていた。

総理を始めとする閣僚を選んだのが「ソロン」という政治AI。

AIというのは、私たちの社会の中でもよく聞くシステムとなり、既にたくさんの場所で活躍している。膨大なデータを集め、そこから最適解を導き出す。人間がやるより遥かに早く、正確だ。
ドラマの中でソロンが話すことは、本当に的確で「そうだそうだ!」「現実でもこれやってくんないかなー」と思うことばかりだった。

でも、AIには感情がなく、人間の感情の「揺らぎ」等を読ませることは難しいと言われている。
機械的に、効率的に人件費削減など打ち出すことは出来るが、真木くんが対峙したような「市民の怒り」「悲しみ」の緩和を図ることは出来ない。むしろ、機械的な音声ややりとりは、怒りを増長しかねない。
そこは人間にしか出来ないと私は思うし、AIに負けない部分だと思う。
(あくまで個人的意見です)

そして17才という年齢設定。

私の17才の頃は、政治の勉強(学校の授業)はしていても、数年後に自分がその一端を担うことなんて全然考えていなくて。
ただただ「青春だね~」なんて言いながら友達と朝から晩まで遊んだり、高校野球の応援に熱を入れていたり。勉強は全く出来ない子だった。。。

今は違う。
成人年齢が18歳に引き下げられたことで、「まだまだ子ども」なんて言ってられなくなったのだ。もちろん、私が17才の頃も決して子供
ではなかったのだろうが…

選挙権が持てる年齢の1つ前。
それが17才。
今回その17才を題材にしたことは、とても意味があることだったと思うし、総理や平さん、真木くんというそれぞれの世代で、ドキッとしたり気付いたことはあったのではないだろうか。

SFドラマとして放送された「17才の帝国」
17才が総理になったり、政策は無茶なものも多かったけれど、AIの活用は現実的に広がりつつあって。非現実的な設定の中の妙なリアリティが、ドラマの余韻を増幅させるものだったのではないだろうか。決して「ドラマでしょ?」「SFだし…」では終われない、私たちへの問題提起をしてくれたドラマだった。

以下、時々読み返す素敵な記事も。

制作陣インタビューnote

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