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#アドベントカレンダー2021 花屋の店先に並んだ ポインセチアを見ていた【エッセイ】1300文字

クリスマスへのカウントダウンが始まっていくこの時期、真っ赤なポインセチアを見かける度に思い出すことがあります。


十数年前、入社一年目の私はOJTで先輩とERPシステムの導入をしていました。いろいろと難クセのあるプロジェクトで、先輩はかなり参っていました。
残業当たり前。ほぼ終電。さらに先輩からの風当たりは強くなっていくため、私は徐々にやられていきました。

12月、それは突然届きました。
当時の私は実家に住んでおり、日曜日でサザエさんを見ていました。
母親に呼ばれて玄関に出ると、宅急便のお兄さんが1メートル級の箱を抱えていました。
恐る恐る送り主を確認すると、当時の彼氏(現旦那)でした。
彼氏はそういうサプライズをするタイプじゃないと思っていたので、数秒間回想してヒヤッとする送り主を思い浮かべ、彼氏であったことに安堵しました。それでも。
ナニコレ・・・

箱を少し開けてみると、真っ赤な葉っぱが見えました。
箱を全部開けてみると、見たことのない1メートル級の大きなポインセチアの植木鉢でした。
ドウシヨウ・・・

母親は私に彼氏がいることは知っており好印象で対面もしていましたが、この贈り物への反応は冷ややかだった気がします。
恐らく「後先考えずに送ってきたな」と思っていたんでしょう。

すぐに、親のいない冷えた玄関で巨大なポインセチアと巨大な空き箱を見ながら、電話をしてお礼を伝えました。
驚き20+戸惑い20+嬉しさ20(ちゃんとあるよ!)+寒さ40で震えながら話していると、「泣いてるん?」と言われ、「だって・・・」とちょっと演技しちゃいました。
仕事にやられていた私を元気づけるために彼氏が贈ってくれたことは、承知しています。

ポインセチアは大きすぎるのでいったん玄関に置かせてもらいました。
実家は日本家屋なのもありますが玄関がかなり広かったんです。


一ヶ月ぐらいするとポインセチアの元気がなくなってきました。
よくよく調べてみると寒さに弱いらしいんです!
冬に咲く花で、クリスマスシーズンにはどこでも見かけるような花なのに。
実家はたまに日中でもマイナスになる地域です。

親にお願いしてリビングに入れてもらいましたが、日本家屋なので部屋全体が暖かいわけではありません。
リビングに人がいる時のみ、ファンヒーターとホットカーペットが稼働し、人間はそれで暖をとっていました。
ポインセチアは? 

お気づきの通り、元気になる気配はなく、春にはもう手の施しようのない姿になってしまいました。
その間、彼氏からは特にポインセチアの様子を聞かれることはありませんでした。


今度は彼氏からパキラをもらっちゃいました。
プロジェクトを離れることになり、転勤となって隣県に行く私へのプレゼントだったのです。
パキラと一緒にひとり暮らしをしていましたが、これまたパキラは段々と葉が落ちて元気がなくなっていきました。
今度こそは!と思って実家に持って帰りましたが、時すでに遅し。
実家に元々あったパキラは元気に育っているんですが。

パキラ以降、植物は贈られていません。
私には植物を育てるのが向いていないことを決定づけられてしまったのでしょう。
消えもの系以外のサプライズな贈り物も、そういえばそれからもらっていない気がします。

この時期、花屋さんの店先に並ぶポインセチアを見ると申し訳なくなります。
そして、買っていく人に伝えたい。
あなたの部屋は暖かいですか?水のやりすぎに要注意ですよ。



ナカタニエイトさん企画のアドベントカレンダーに参加しました。
12月1日~25日は下記のURLより様々な作品をお楽しみください。

https://adventar.org/calendars/6734


12月3日はちゃそ@0000studioとブロックチェーン&NFTさんです。

推しマンガを物語風に紹介してくださる予定です。
お楽しみに!

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