キャンプ・トラップ【ショートショート】1000文字

ありがとうございました~。
あ、さささん、私、フライヤーやっておくんで上がってもらっていいですよ。すみません、延長してもらって。
「あぁ、いいよー。どうせ帰ってもテレビ観て飯食うだけだしねー。亜希ちゃん、週末行くの?天気もちそうだね」
そうなんです~、ほんと良かった!実習も終わったんで自然の中でリフレッシュしてきますよ~。
「今回も一人?女の子一人だと怖くない?」
うーん、あんまり思ったことないですね~。私が行くとこって山の中って感じじゃないので。離れたところに家族連れがいたり、あ、笹さんみたいなおじい・・・いや、年配のご夫婦もいたりしますよ。
「じいさんって言おうとしただろ。そこはお父さんがいいなぁ」
いや、うん、えっと。笹さん、息子さんおいくつでしたっけ?
「あー、28かな。遅くにできた子だから。小さい頃はキャンプに連れてったなぁ。今は彼女も作らないで男同士でキャンプやってるみたいだよ」
いやー、それ嘘ですって!女の子いますよ、きっと。
いいなぁ、私も出会いたいな~。ここのコンビニバイトであわよくばって思ってたんですけどね。男の子って深夜時間帯がほとんどで、私は笹さんとばっかりだしー。
「ごめんねぇ」
冗談ですよ~。笹さんと話すの楽しいですし、仕事めっちゃフォローしてくれますし。一緒、嬉しいですよ~。
「亜希ちゃんは娘みたいだからねぇ。週末はどこのキャンプ場に行くの?」
万福森まんぷくもりです。紅葉はちょっと早いかもしれないけど、湖があってそこに映る月が綺麗なんですよ~。週末、満月なんです!
「万福森ねぇ。じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい。次は週明けかな」
はい!お疲れ様です~。

あ、おはようございます!笹さん!待ってたんですよー!
「おはようございます。どうしたの?嬉しそうな顔して」
出会いあったんです~!初めてキャンプしてて声かけられまして。
まぁ、ソロキャンしてる女の子に声かけるなんて、向こうも危ないと思われたくないですしねぇ・・・。でもね、今回着火剤切らしちゃってて焚き火するのに松ぼっくり初めて使ったんですよ。思ったより上手くいかなくて手間取ってたら・・・声かけてくれたんですー!
「何か話したの?」
しましたよ~。いつからソロしてるのーとか、寒いのどこまでいけるーとか。向こうもソロだったんで時間もあって。
LINE 交換しちゃいました・・・今度一緒に行く約束しちゃったんです~!
「ほぉ」
アイコンがパンダなんですよ、とおるくん。Toru Sasanohara・・・
「亜希ちゃん、本当の娘になるかい?」

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